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人間ですか? いえ、人外(ゴーレム)です  作者: 毬藻
一章:出会いと学年大会
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第一話:始まりの出会い

第一話です。

多少は良くなったと……思う?


それでは始まります!!

「はぁ~」


 俺は溜め息を吐いた。

 いや、吐きたくもなるもんだ。

 目線を移すと二人の女の子が俺に部屋で口論していた。


「貴女が作るのは本当に食べ物なんですか!? どうみたって岩で作ったものでしょ!?」

「そう言うあなたも、その緑色の気色悪い物体は何ですか!? それこそ(マスター)に出すなんで言語道断です!!」

「わ、私のは見た目だけです!! 味の方はちゃんとしてます。味見もしながらちゃんと料理したんだから」

「だったら、ちゃんとした【見た目】の物を持ってきてください。それは危険な物しか判断が出来ないですよ!!」

 そう言いながら言い争いをしていたのだ。

そんな感じの会話していた



 三時間も……



「「克夜くん(マスター)!!」」

 俺は、再度溜め息を吐いた。




 どうしてこんな事になったんだろうと、思い返した。
















 この地方は三つの国で出来ている

 北にある機械の国【ジャントセネ】

 西南にある剣の国【ソルビルト】

 東南にある武の国【ホルフェルク】

 この三国は友好的であり、貿易も盛んに行われていた。

 そして、この三ヵ国が平和の公約として作られた物がある。

 この三ヶ国の中心の場所にある物、それは・・・



【MG学園】


 正式名は【マジックアカデミー】

 三国から魔法使いを養成する学校だ。

 元々は、三国が力の共有という形で設立した学園だ。

 中央に学園が立っており四方に寮とかがある。

 ちなみにこの学園が立ってる場所は三国の丁度中央にある。

 この学園の広さは膨大であり、学校の正門前には寮までのテレポーターが設置してある。

 寮の方にも三国の入口までのテレポーターが置いてある。

 俺は、今年の4月よりこの学園に編入してきた。

 その理由は両親の転勤時の血液検査で魔力反応が検出されたからである。

 今は、ここの学生で頑張っているが。


「ま、この学校に入って一ヶ月、知り合いができたからいいんだけど」

 クラスも馴染みやすかったし。

まぁ、そのなじみやすくしてくれた人がいたのだが。


「けど、今月の行事が……」

 それだけ考えてるとため息しか出てこなかった。

魔法学園でなら当たり前か思いながらため息をを吐いていた。


「おす、おはようさん。朝からため息吐いてるのか?」

 テレポーターから出てきたとき、後ろから声が聞こえ振り返ると悪友の一人だった。

簡単に言うと俺の転校初日からの友人(あくゆう)で馴染ませてくれた人物の一人だ。


「なんだ、悟か……」

 声をかけてきたのは、この学園に編入して速攻仲良くなった友人(あくゆう)だ。


「おい、何かルビの付け方がおかしくないか?」

「うんにゃ、これで正解だ」

「ひどっ!」

 とりあえず、たわいのない話をして廊下を歩いた。

 学園も分かれており【初等部】【中等部】【修校生】【本校生】の四つのエリアでの学び舎がある。

 ただ、魔法の訓練及び先生のいる場所は監視塔と言われる中央部分にあるのだ。

 交流のための催しもするのだが。


「そういえば、もう相方(パートナー)は決めたのか?」

「ん? 確か、学年別の魔法大会だったよな?」

 学年対抗魔法大会。

 学年クラスから2組三人以内で出場する大会。

 魔法設定は非殺傷で使い魔の使用可。

 HP(ヒットポイント)18000(一人の場合)を持つことができる。

 ただし、三人の場合HPは振り分けが可能になる。

 そう、俺を悩ませていたものの一つだ。


「とはいっても、俺はここに来て一ヶ月しか経ってないんだが?」

「流石に野郎と組む気がないから……それに、もう相方(パートナー)がいるしな」

 そういって、悟は爽やかな笑みを浮かべていた。

 その相方はコイツの彼女だったりする。


「リア充は爆発しろ!!」

「とはいても、お前の場合は【優華の姫】と知り合いだから組んでもらえるんじゃないか?」



 【優華の姫】



 この学園にいる俺の知り合いが持つ一名だ。

 【姫】と付くからには想像がつくだろうが女性だ。

 そして、去年の優勝者でもあるらしい。

 この人も俺の学年に馴染ませることに協力した人の一人でもある。


「曖菓の場合は申し込んでる奴が多そうだぞ?」

「あはは、確かにな」

 そう言いながら、俺たちは教室に入ると。

 とある席を囲んで男女問わずいた。


「転校生の時に集まりを思い出したのは俺だけだろうか?」

「いや、残念だが俺も思った」

 ちなみにこれは毎日ああなっている。

 魔法大会があるからもあり、必死にパートナーを組むことを頑張っている。

 二人して、後ろの教室のドアでため息を履いてると。

 

「あ、九条くんに克夜~、おはよう!!」

「うっす」

「おはよう、曖菓」

 って、人の中心からよく俺らが見れたな。

 半分、呆れながら俺らは席に着いた。

 曖菓は人だかりを散会させてから俺らの所に来た。


「毎日毎日だが感心するな」

「にゃはは、そうなんだけどね。まだ、相方(パートナー)を決めかけてるの?」

「まぁな、なんで転校生の俺が出ないといけないんだ?」

「まぁ、お前の両親のせいだと思うが?」

 確かに、俺の両親は昔は凄腕魔法使いと話は聞いたことある。

 だが、これは両親から直接聞いたことはないのだが。

 噂ではどっかの称号持ちだとも聞いたことがあるが。


「お~っほほ、あらあらまだ決めていないのですの?」

「この高笑いって……」

「克夜が思ってる通りの人……だね」

 突然に聞こえた聞こえた声にげんなりした。1

 すると、取り巻きを率いた一人の女性が現れた。

 その後ろには執事調の服を着た男が後ろに立っていた。

 見た目はどっかの令嬢という感じだが。


「あら、【優華の姫】はまだパートナーを見つかっておりませんの?」

 レイナ=F=フランメルトが俺たちの場所に来たそう言い放った。

 フランメルト家といえば【古龍:火種】とつながりを持った家系だよな?

 昔の本か何かで見たことある気がする。


「悪かったね!!」

「いえいえ、そんなことはいてませんわ。ただ、今回は私が楽に優勝できそうと言っただけですわ」

「残念ですが、ちゃんとパートナー候補はいますよ?」


 うん、この二人は犬猿の仲だね。

 喧嘩するほど仲が良いとも言うけど。


「そこにいる克夜よ!!!」


そう言いながら曖菓は克夜の方を指を指していた。



 《なんだって!!!!》

 


 その言葉に教室にいた全員が叫んだのは言うまでもなかった。

 ってか、俺も叫んだし。


「お、おい。俺は聞いてないぞ!!」

「今、思いついたもん!!」

 売り言葉に買い言葉になってる気がするのだが。

 だが、こいつとやるのは楽しいからありなんだよな。


「あらあら、まだここにはいって数ヶ月しか経たない男子がですか?」

 そして、エリカを取り巻いていた生徒が大笑いしていた。

 俺は、その行為になんか腹が立ってきた……


「なら、俺が相方(パートナー)になってやるよ」

「あらあら、どこの日本猿がいってるのやら。良いでしょうその日までに覚悟を決めてもらいましょう」

 再度、高笑いをしてその場を去っていった。

 本当にムカついてくる。


「ほっんと、頭にくるんだけど……」

 ムスッとした顔で曖菓は愚痴をこぼしていたが。

 だけど……


「確かに、今の俺達では勝つ可能性は無理に等しいな」

「……どういう事?」

「今、後ろに控えていた右後ろの人。あれは『人』ではない」

 その答えに曖菓と悟は驚いていた。

 俺の予想でいうなら……


「たぶん、使い魔だと思う」

「ちょ、ちょっと待って!! 人に変化する種族って!?」

 まぁ、無理もない。

 人に変化でき、高度な知識を持つ種族は俺が知ってるので二つしかない。

 龍族と聖霊族の二つだ。

 ただ、付け加えることが一つ。

 『古代(エンシェント)』生物ではないと出来ないと伝えておこう。


「感じた限りだと【古龍・炎種】なんだけど。攻撃力が化物(チート)級なんだが・・・」

「おいおい、ほぼ無理じゃないか!?」

 俺の話を聞いていた悟は嘆いていた。


「私達に勝ち目はないのかな?」

 すると、携帯が突然に震えだした。

 まだ、朝のホームルームが始まる前。

 携帯を取りだし、サブ画面の名前を見た。


【着信:母】


 そう表示していた。


「一体何の用事だ?」

 そして、通信ボタンを押して、声を発生しようとしたとき。


『克夜~、お仕事手伝って。学校の方も連絡済んでるから大丈夫だよ~♪』

 のほほんとした声で伝えたと同時に通信が切れた。

 その行為に唖然とするしかなかったには言うまでもない。


「い、言いたいことだけ伝えて切っただと・・・」

 こんな事は何回かあるからもう考えるのはあきらめた。

 注意したこともあるけど焼け石に水っていうことを理解した。


「それじゃ、そう言うことで先生にはヨロシク言っててくれ」

「えっ、ちょっと克夜!!!」

 曖菓に引き止める前に俺は教室を出た。

 母がいる研究所に向かったのだ。



○●○●



 俺はシャントセネの北部にある研究所の方に来ていた。

 親が研究の手伝い=俺を呼ぶ方式はある程度理由がある。

 それは俺が所有している技能(スキル)である


 AMA【アンチ・マテリアル・アビリティ】


 簡単に説明すると【魔法無効化】と言うことだ。

 ちなみに無効に出来る属性は全てと言っておく。

 便利だと思うだろうが、実はそうでもなかったりする。

 相手の魔力と同出力の力を出さないといけない。

 逆を言ってしまえば【全ての魔法の対抗】する術を持っているって事になる。


「今回は一体なにをやらされるんだろうか?」

 そんなことを考えなら両親が居る部屋についた。

 そして、ノックをしようとしたときに勝手にドアが開かれ。

 そのまま、出てきた女性に抱き寄せられた。


「よかった〜。克夜が遅いから心配しちゃったわ」

「……来たな、克夜」

 出迎えたのは白衣を着た俺の両親だった。

 ちなみに助手さんは居ないので夫婦で研究をしている。

 研究についても何をしてるのか知らない。以前に聞こうとしたが極秘事項ということで教えられなかった。

 予想としては【古代(エンシェント)】の関係を調べてると思う。


「話は置いといて、俺にお手伝いって言うのは?」

 中に入り、来客用のソファーに腰掛けた。


「簡単な仕事。古代遺跡にいる【モンスター】を退治してほしい」

「モンスターの特長は?」

「確か、【古代種】のものだとは判明しているんだが、それ以外は判断が出来ない状態なんだ」

 そう言って、親父は苦笑いしていた。


「もしかしたら、そのモンスターを使い魔にすることが可能かもしれないわよ」

「ものすごく危険な香りがするのは俺だけだろうか?」

 その答えに両親は苦笑いしていたのは言うまでもなかった。

 いや、古代種を生物(モンスター)にすれば魔法大会は多少は有利に行けそうだけど。


「その部屋の前までは転移魔法で行けるように設定している。後は克夜次第なんだ」

「両親の手伝いでここに来たわけだし、そ・れ・に、行かないって選択はないからね」

 その答えに二人は頷いた。

 俺は、小さくため息を吐いた。


「では、行こう」

 すると、部屋の隅に転移魔法が展開され、俺達は目的の場所に飛んだんだ。


「そうだ克也、一言だけ伝えておく」

 そう言って、親父は言いにくそうにしていた。

 その隣には母親はニコニコしていた。何かあるのは明白だな。


「隔たりは壊すためにあるんだぞ!!」

「それをここで言う意味が分からん!!」

「まぁまぁ、行けば分かるわ」

 そして、嬉しそうな声で母親に背中を押され中に入れられた。

 いや、蹴り入れたのが正解だ。

 実の息子にそんな仕打ちをするか!?


『あら、次はあなたが相手してくれるんですか?』

 膝をついていた俺を見下ろすように見ている【モンスター】がいた。

 いや、モンスターなのか?

 どうみても普通の女性にしか見えない。肌の色や輪郭は普通に女の子の顔でしかないし。

 まぁ、一応は服を着てはいるが……ボロボロだけど。


「……えっと?」

『先に教えてあげる』

 すると、いつの間にかもっていた巨大な斧を振り上げていた。

 もしかして、一瞬にして武器生成(クリエイト)したのか!?


『ここで死ぬんだから!!!』

 そして、おもいっきり振り落とされた。


「うぉ!!?」




 ズドン




 その場から大きく飛び退けた。

 そして、その行動で命拾いした。


『上手く避けましたね……』

 その地面が半径5メートルほど陥没していたのだ。

 もし、上体反らしで避けていたら確実に天国へ招かれていたと思う。


「あの怪力……【古種・石動(ゴーレム)】で間違いないんだけど」

 だが、あのスピードは普通は出来るはずがない。

 石の重さで早く動くことが出来ないはずだが。

 それを軽減する魔術方式を組み込んでいるのか?


『……独り言は終わりましたか?』

 さっきまで消えてた大斧が再び握られていた。

 あれが魔法物質なら俺の力で対応できるんだけど。


「完全停止はあの方法しかないよな」

 俺的にはノーカン扱いが一番うれしいのだが。怪物(モンスター)なら大丈夫だよな。

 そんな事は許しを貰うつもりはないし。

 ましてや俺の生死にも関する事だからな。


『これで終わりです!!!』

 そして、俺の詰め寄り大きな斧が振り下ろされた。


「スキル開放!!」

 そして、猛スピードで振り下ろされた巨大な斧の右側面に回り込み右手で斧を叩いた瞬間。




 パリン!!



『えっ!?」』

 斧が見事なほど綺麗に粉々に砕けた。

 そして、彼女と距離を詰め寄った瞬間。



「……んっ!?」

 彼女の唇を塞ぐ。




 十秒……二十秒……

 時が止まった感覚があったが実際はそれほど経ってない。

 そして、思いっきり突き飛ばされた。


『な、ななな!!!!』

 そして、彼女は思いっきり赤面していた。


『お、乙女の(ベーゼ)を強引に奪うなんて、どんな神経してるんですか!!』

「モンスターで乙女って言うのもあるのか!!?」

『そんなの、感情あるものなら備わってるものです!!』

 そして、再度斧が生成された。

 大きな斧を両手で持ってるのだが。


『あ、貴方を細切れにして自然界にかいして……!!?』

 すると、彼女の動きが止まった。


【DNAの確認が終りました。ただいまをもってマスターとされました】


 機械的な声と共に両手に持っていた斧が消失されていた。

 あ、危なかった。数秒遅れていたら本当に細切れになって自然界に戻っていたと思う。


「し、死ぬかと思ったぞ」

 そのまま。尻餅をついて小さくため息をついた。

 これで、任務完了だな。

 ついでに使い魔が増えたっていうのもある意味で複雑……あとで何かありそうで怖いけど。


【データ構築開始・・・・・・全てのリンクを完了し再起動します】


 すると、開いていた目が閉じて再度開いた。

 そして。


『あぅ……マスター酷いです。いきなり唇を奪うなんて』

 その少女は頬を染めていた。

 その場に座り込んで少し頬を膨らませながら上目使いで言われた。


「って、さっきの性格と全然違う!?」

『えっ? あ、さっきのは迎撃モードだったのであんな口調になってたのです』

 ある意味で思った、女は怖いって。

 モンスターではあるんだけど。


『けど、もうマスターなので身も心もマスターの物ですので大丈夫です!』

「それ、何か違うから!!」

「貴方の物になったので合ってると思いますよ?」

 確かに、【物】と言う表現はあながち間違ってはいないと思うが。

 そして、口論してる時に俺が投げ飛ばされた入り口が開かれた。


「……上手くいったみたいだな」

「大丈夫って言ったじゃない。私と貴方の息子なんだから♪」

 その理屈はおかしいとツッコミを入れたいぞ。

 そう言って洞窟の中に入ってきたのが俺の両親だった。


「突き飛ばされて、良くそんなセリフが言える!!」

『あ……』

 そう言うと、彼女が母さんの所に駆け寄った。


『始めましてお義母(かあ)さま。 私は【エリシア=フォーラトリエ】って言います』

「「……フォーラトリエ!?」」

 エリシアは嬉しそうに挨拶をしたが。

 エリシアの名前を聞いた時、二人は驚いていた。


「どうしたんだ?」

「あぁ、フォーラトリエ家は今より魔法が栄えていた時の家系でそこではとある【石】を研究していたんだ」

『はい。その石で作られたのが私です。全ての魔法を無効化にできる力を持つといわれるのです』

「他に【成長する石】とも言われている」

 その言葉に俺はマジマジと彼女を見ていたが。


『マスター、視姦(しかん)はある意味で犯罪行為ですよ〜』

 ジト目で俺の方を見ていた。


「お前にするか!!」

『私だって人権ぐらいあります』

「お前は人じゃないだろ!!」

 二人を漫才を親は見守ってた。


「なんか、若いときの俺達を見てるような気分だ」

「やり取りもそっくりですしね」

 そんなのほほんと会話をしていた。

 ほんと二人はのんびりやだよ。

 親父がパンパンと手を二回叩いた。


「さて、今日は撤収だが克夜はどうする? 学校は今だと二限目の途中になるが?」

「今日は休みって言ってるんだから、エリシアに色々教わりたいし」

『そう言うことなら私も協力させてください!』

 そう決断した後は全員家に戻った。

 家に戻り、俺とエリシアは実家の俺の居室に来た。

 寮に帰るのが当たり前なんだけど、手続きとかいろいろあるらしくって両親が暮らしている家に来ている。

 因みに両親は家財道具の買い出しに出掛けた。


『それでは、何が聞きたいですか?』

「簡単にモンスターを使い魔にしたときのメリットとデメリットを」

『分かりました。簡単にメリットは使い魔が相手に攻撃していてもマスターは固定式が使用になりますが、この場合のデメリットは10メートル以内にいることと使い魔が固定式の詠唱してないことが条件ですね』

「なら、二人とも移動式は唱えられるの?」

『問題ないですね。ある方法で使い魔とマスターが固定式を行う方法も存在しますけどね。ある意味で反則並ですが』

 そう言って苦笑いしていた。


『そう言えば、マスターのワンドって【指輪】ですね。見せてもらっても良いですか?』

「かまわないよ。昔に母さんがどっかの洞窟で拾ってきた指輪だとさ」

 指からはずし、エリシアの手に乗っけた。


『……って、吸引紋のプロセスが平行じゃなく直列型!? しかも書き込み出来る移動式が30個!!?』

 元々、ワンドには書き込み出来る移動魔法がある。

 基本的には10個程度なのだが。


『しかも強度は私の石とは素材は違いますが同等の強度を誇ってます!!』

 そう言いながら指輪をまじまじと見ていた。


『……マスター、これを使って魔力切れって一回も起こしたことないですね?』

「いや、残念ながらある。俺の技能は【相殺型】だから同等の魔力が必要になるんだ」

『この指輪を使って魔力切れって……どうやったら』

 その言葉を呆れながら返してきた。


『親の手伝いで古龍種やら突然変異の化け物と戦う機会があるからその時に相殺スキルで打ち消すからね』

「あぁ〜、なるほどです」

 そう言いながら苦笑いしていたのは言うまでもなかった。

 しかも、その敵の高出力の魔法攻撃を回避できない場合は受け止めないといけないから一気に枯渇してしまう。

 すぐに魔力を収集し始めるから大丈夫なんだけど……


『それでは、後で良い方法を教えちゃいます』

 笑顔でそう言ってくれた。


『それでは他に聞きたいことはありますか?』

「今のところは無いかな」

『後は訓練をすればいいと思うので、練習をしましょう』

 そう言ってエリシアは立ち上がった。


「訓練ってどこでするんだ?」

『亜空間です。時間のズレも考慮して60倍にしておきます』

 そう言い、魔法陣を展開させた。

 って、亜空間って次元の門を作り出すってことかよ!?


『悠久の門よ、黄昏により今ここに契約を結ぶものなり。時と次元の融合の門よ、今開けれん!!』

 すると、変哲のないただの扉が出現した。

 ただ、言うことがあるなら扉【だけ】があるって事だ。


「時間と次元の結合門を作り出すゴーレムってありなのか?」

『昔取った杵柄みたいなものですから』

 それは多分例えになってないと思う。

 しかも次元門(ディメイション)は時の魔法でこの世界には存在していない。

 そして、空間の中に入ると周りは暗くなくドーム型の空間になっていた。

 その中は青色の空間になっていた


『さっき言ったとおりで外が1秒動くたびにここは1分進むと考えてください』

「魔法を覚えたい時には便利な空間だな」

 そう言うと、エリシアは俺と対峙した。


『少し肩慣らしです。まずは、使い魔との同調(シンクロ)を行いましょう』

「お互いの呼吸に合わせればいいんだな?」

 その言葉にエリシアは頷いた。

 そして、ゆっくりと深呼吸すると二人のあいだに青い紐が浮かんできた。

 具現化して克夜の左の手首に巻かれた状態に収まった。


『ちゃんとシンクロが出来てます。紐の色は使い魔の状態を表します』

「状態、青は?」

『青は異常なし、赤は瀕死、黄は麻痺、緑は毒という感じになってます』

「それと、使い魔も同じように着きますから」

 そう言って、左手には青色の紐がついていた。

 エリシアの左手首にも同じように青い紐がついていた。


『そして、これが外れるときは使い魔かマスターが死んだ時だけになります』

 その言葉は重たく、俺の中にのしかかった。

 だが、その直後エリシアはにっこりと笑い。


『マスターを一人にはさせないです。何があってもマスターを守りますから』

「……そっか、ありがとうな」

 そして、二人は一度魔法陣を消した。


『次は、相殺型の効率の良い使い方です』

「効率的?」

 その言葉に俺は驚いていた。


『マスターはその使い方は独学ですよね?』

「それはまぁ、こんな属性を使うのはいないと思うが?」

 全属性を打ち消す力……そんなのが居たら本当に教えて欲しいよ。


『それはそうですね。私はその属性に近いので教える事は可能かもしれないです』

 その言葉に、俺は驚いていた。


『簡単にいえば、相対魔法を相手の魔法の中心を狙えば良いということです』

「??」

『砕いて言いますと、火の魔法がありその中心を狙うように水魔法を撃ち込むってことです』

 対魔法は相対する魔法のことを意味する。

 違うところの場所の言葉だと【相剋】と言葉がある。

 これは五行による【水は火を剋する】という言葉が存在して、簡単に言えば【水は火を消す】という事だ。

 大まかなことを言えば自然の摂理が一番当てはまることだ。


『では、固定式魔法を行きますので相殺して下さい』

「えっ!!?」

 そう言うと、エリシアの足元から魔法陣が展開していた。


「ちょ、まっ……」

『ちなみにマスターは固定式ではなく移動式で相殺して下さい』

「むりだーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 その言葉で、俺は叫ぶしかなかったが。


『時の龍を我が声に応えよ。全てを付属し今解き放つ力とならん!! フォーラトリエの遣いにより……』

 しかも、今の呪文から考えて属性を全部ぶつけるって前に失われし大精霊魔法だし!!

 失われし元素がこの世界には存在する。

 それは、【時】と【龍】だ。

 龍の場合は【古龍種】と言うものがあるがそれ自体は【魔法】ではなく【種族】という表示で魔法の元素とはほぼ関係ない。

 けど、使える人はぞんざいする。

 【仙人】とか【英雄】とか【怪物】と呼ばれる人だが、ただこの世界に存在してるとは思えないんだけど。

 まぁ、ただ目の前にその【怪物】級が居るのは確かなんだけど。


『一言だけ言い忘れていました。この空間は殺戮回避に切り替えてますので『死ぬこと』はないですが』

 巨大な虹色の光を左手で高々とあげた。


『死にそうなぐらいの痛みはあるのでそこはご了承ください♪』

 その後の事?

 見事に吹き飛ばされ意識が吹っ飛んだと言っておこう。

 痛みはまさに傷口に塩を塗るとか傷に指を突っ込むとかそんな表現が合ってるだろう。

 その痕も何回か同じ訓練を行いタイミングと要領をつかんでいった。

 一回一回攻撃が終わる度にエリシアは回復魔法を使用してくれた。


「流石にキツイ……」

『お疲れ様ですマスター。だいぶ要領を掴んだと思いますので後は実戦経験だけで大丈夫と思います』

「普通、固定式の魔法を移動式の魔法で相殺するのは不可能な事なんだぞ?」

 本来なら、現場の魔法使いは三人ひと組で戦場を行く。

 その三人も二種属性保持者が行動だ。

 その理由は簡単だ。相手の魔法に対抗する魔法使いがいないと死を意味するからだ。

 三組でもそれぞれ違う種類の力を持てば相手との交戦しても生き残れる確率が上がる。

 ただ、力量の問題とかが出てくるが、その場合は運と思うしかない。


『それが相殺出来る者の力だと思います』

 本来なら、固定式と移動式ではいろいろと違う。

 固定式は最大火力で撃てる【砲台】

 そして、移動式は牽制で【足止め】と思えば良い。

 他にも詠唱の有無とか魔力の充填時間とかもあるが基本的にはさっき言って通りで火力の違いが一番大きい。


『あの力が打消せるようになったのですから後はさっき言ったように実践で鍛えれば問題ありませんよ』

「実践といっても……今の学生では現場に行くことはないぞ?」

『学年対抗魔法大会がありますよ』

 エリシアの言葉に俺は『あぁ~』と言いながら思い出していた。

 確かのんなのがあったな。


「って、なんでエリシアが知ってるんだ!?」

『先ほどお義母様からお聞きしましたからですが?』

 うちの母親、どうやって行事の情報をリークしているのやら。


『本来なら、こう言う大会は外部からの見学者が来て引き抜きを行うのが普通なので技能(スキル)があるなら使うのが得策だと思いますよ』

 確かに、上位の環境に入りたいなら使っていったほうが得策たな。


『さて、そろそろ頃合なので一旦この空間から出ましょうか?』

「……そうだな」

 そして、二人はこの亜空間から出たのであった。 

 亜空間から出て、ダイニングの所に向うとテーブルに一枚の紙が残されていた。

 そして、エリシアの家財道具は買ってきたのだろう。

 ただ、3分間に荷物を片付けたのかは謎だが。

 そう、俺たちが亜空間に居た時間は3時間ぐらいだ。


「母さんの文字だ」

『マスターどうしたんですか?』

 遅れてダイニングに入ってきたエリシアは不思議そうに聞いて来た。


「ん、母さんからの置手紙。今日は研究室の方で泊り込みになるから今日は帰らないって帰途だそうだ」

『そう言えばマスターのお義母(かあ)さまの研究って言った何をしてるんですか?』

「俺も詳しくは知らないんだけど、【古代細胞】にまつわる研究と言っていたけど……」

 だが、俺の方も本当に詳しくは知らない。

 何回か聞いたことはあるんが簡単に回避されてしまい、いまだに聞けないのだ。


『……現段階で変なことを聞くのは野暮ですね。あ、そう言えばお義母さまたちが帰ってこないのでしたら二人っきりです』

 その途端、エリシアの目が輝きだしたのは言うまでもない。


「腰を折るようで悪いが残念ながら誰かお手伝いさんがくるみただぞ?」

 その手紙の文末には。


 【私の昔馴染みの友達の子が来てご飯作ってくれるので楽しみにしててね】


 と書いてあるのだ。


「だが、昔馴染みの友達って誰だ?」

『マスターでも知らないのですか?」』

「ここに来ての昔馴染といえば一人しかいないのだけど」

 ここで出てくる名前は【優華の姫】だよな?

 曖菓が来るのか?


『とは言っても、曖菓ってご飯って作れたのか?』

「残念だけどちゃんと作ろうと思えば作れるよーーだ!!」

 後ろから声が聞こえ振り向くとそこには大きな紙袋を抱えた曖菓がいた。

 なにか表情は不服そうだが。


「その前にどうやって鍵を開けた!?」

「小母様から『マジックキーに曖菓ちゃんの名前を登録したからいつでも入れるわよオホホホ~』って言ってたけど?」

 マジックキーとは、普通の鍵ともう一つこの世界には主流として広がってく鍵だ。

 家主が信頼できる人なら家の鍵として登録して使えるシステムだ。

 しかも、ある意味で防犯鍵としても役に立つ。

 もし、家主が登録してない者が鍵をこじ開けて侵入した場合、転送魔法が発動する。

 そして、飛ばされる先は魔法発動が出来ない牢獄の中に入るというシステムだ。

 ただ、知らない人が行く場合は家に登録してる人がいて開けてもらうか、音声認証で開けてもらえば入れるがこれはある言葉を言わないと解除できないという物になる。


「とは言っても小母様は変わらないね」

「あの天然は変わらないと思うけど……!!?」

 そして、次の瞬間に首元に冷たい物が当てがられていた。

 小型の斧を首元に当てられているのだ。


『マスター、そろそろ、除け者にするのは感心しませんよ』

 その笑顔の中にある黒いオーラが感じられて背中に冷たい物が流れた。

 だが、俺は手を触れずにその小型の斧を消し飛ばした。

 さっきの練習である程度の物と知ってる物は移動式程度の魔力で消すことが可能になったのだ。


「さっき言っただろう、母さんの昔馴染みの娘さんだ……俺の友達でもあるけどな」

『えっと、そうなんですか?』

 その言葉に俺は軽く二回頷いた。


『克夜くん、その子がマスターって……』

 多分、曖菓の方も気がついたのだろうエルシアがどんな存在ということを。


「二人と自己紹介しろ」

『そうでした。私は使い魔の【エリシア=フォーラトリエ】と言います』

「私は【美月(みつき) 曖菓(あいか)】です……美しい月と書いて。克夜くんとは幼馴染で今は同じ学園に通って……」

 そして、二人は目を丸くしながら相手の顔をまじまじと見ていた。


「美月/フォーラトリエ家!!?」

 そして、同時に大声で叫んだ。


『つ、月の加護に守られし家系!?』

「生命の石を保有した家系」

 生命はさっきエリシアから聞いたからわかるが。


「月の加護っで」

『二大家系と言われた家系です。昔は月の者のサポートが一人居ただけで戦場が一転すると言われていたほどの力のあった家系です」

「フォーラトリエといえば失われし力を駆使できた家系と聞いたことがあるよ」

 何、この化物の家系の二人(?)って。


「けど、使い魔って?」

『私は【古種・石動(ゴーレム)】です。そして、その生命の石は私の心臓に使われています』

「けど、使い魔って感じはしないわね?」

『ま、まぁ……色々です』

 笑ってごまかしていた。

 その言葉に深く追求しなかった。


「さてと、頑張ってご飯を作るから少し待っててね」

 そう言って、曖菓は持ってきたカバンからピンクのフリルがついた可愛らしいエプロンを取り出した。


『何かお手伝いしましょうか?』

「大丈夫よ。二人で待ってて頂戴」

『……分かりました』

 そして、俺とエリシアは別室で待つようにした。

 待っているんだが、どうもエリシアがそわそわしていた。


『え、あ……何でもないんですけど、曖菓さんから同じ感じがしたので』

「同じ感じ?」

『えっと、私の予想が正しければですけど……何が出てきても心を乱さないでくださいね』

 その顔には苦笑いのようにみえた。

 い、一体どういうことだ……





 そして、30分後に曖菓がりょu(ry





 料理なのか……これ?

 一つの皿に緑色の形状し難い【料理(?)】があった。

 俺が思えることはこれは料理なのか?

 そう思わすほどの存在感なのだから。


『こ、こんなの食べさせられないですよ!!!』

 横にいたエリシアがいきなり怒鳴り上げた。


「だ、大丈夫だもん!! 味見をしながら作ったから!!!」

『大丈夫かもしれないですが、見た目的には食欲が起きないですよ!!!』

 そして、エリシアは立ち上がり台所の方に歩き出した。


『そんなの食べさせてマスターが食中毒をおこすかもしれないので私が作ってきます!!』

 そう言い残して、台所に消えた。


「えっと、エリシアさん大丈夫かな?」

「さ、さぁ?」

 曖菓の顔を覗くと不安そうな顔をしていた。


「何か心配事があるのか?」

「何か私と同じ感じがしたから?」

「同じ感じ?」

 そういえばエリシアも同じことを言っていたな。


「取り敢えずだけど、何が出てきたとしても平常心でいてね」

 曖菓の表情は真剣そのものだった。

 な、何が出てくるんだ一体??

 てか、エリシアも同じことをさっき言っていたんだけど……




 そして、30分後料理……g(ry




 見た目は料理なんだけど、土色?


『はい出来上がりです♪』

 お皿をテーブルに置いた時に『ゴトッ』と音がしたと思うと何かが分離した。

 それは、家の近くに見るものだ。


「い、石!?」

 普通に驚くものが皿の上でしかも集合体となりそこに存在していた。


「これはちゃんと【食用石】とグー小父さんとかウェキ小母さんに乗ってます!!」

「ある訳がないでしょうが!! こんなの食べさせたら克夜くんが病気になるでしょ!?」

 何かが曖菓の中で切れたのか怒鳴り上げた。


『貴女だって同じでしょうが!! あんな物をマスターに食べさせたらそれこそ体に毒ですよ!!!』

 そして、そこから口論が始まった。




 ……それから三時間も。




 俺は、危機に反していた。


「『克夜くん/マスター!!』」

 そして、二人は真剣な表情をしながら俺の方を見て。


「『私の料理が美味しいか食べてみて!!』」




「そんなの食えるかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」




 その日の夜空に俺の声が響いた。

 そして、この日から俺の日常が一変したのは言うまでもない。


閲覧していただきありがとうございました。

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