第1話:空白の継承者
――ガサッ。
静かな部屋に、紙をめくるような音が響いた。
……いや、そんなはずはない。
あなたは今、スマホかPCで、デジタルの文字を追っているはずだ。
紙の音なんて、するはずがない。
だが、あなたは確かに聞いた。
自分の指先が、画面ではなく、「古びた皮膚のような紙」に触れているような、奇妙な感触。
ふと、あなたはスマホから目を離し、周囲を見渡す。
部屋はいつもの通りだ。
……本当に?
壁の隅。
先ほどまで無かったはずの、小さな「水滴の跡」のような染みが、じわじわと広がっている。
それは、どこか「㦸」という漢字の形に似ている。
あなたは今、佐藤健太の物語を読み終えた。
いいえ。
あなたは今、佐藤健太の「続き」を、生き始めている。
【読者への汚染:欠落のパズル Lvl.6】
佐藤健太という「盾」は失われました。
ここから先、物語の矛先(㦸)は、直接あなたへと向けられます。
次の行動を選択してください。
1. このまま読み続け、パズルを完成させる。
2. デバイスを捨てて逃げる(※無駄です。既に「音」を聞いてしまいましたから)。
第2章 第2話「視界の裏側:隠された隣人」へ続く。
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