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「じゃあ、家でお勉強をしましょうね、オリヴィア」
「あ、はい。そのことなのですが、家庭教師は不要ですわ。独学でもよろしいでしょうか?」
「……オリヴィア、あなたって子は……」
な、なんだなんだ。説教でも受けるのかしら?
「何って素晴らしい子なの!?自ら勉強する姿勢を見せる子なんて同世代にはいないそうよ?ああ、あなたは自慢の娘だわ!」
……ただ学園に行きたくなくて、家庭教師も攻略対象たちとかかわりを持つきっかけになったら困るから断っただけなのだが。
なんかお父様も頷いているし!
娘を溺愛してくださるのはうれしいけれど、曲解が過ぎますわよ、お父様、お母様……。
「もちろんいいわよ、さっそく教育本を手配させるわね!」
「ありがとうございます、お母様」
「わからないところがあれば私に聞くといい。いつでもいいぞ!」
過保護ね……。本当に過保護ね……。前世の両親と真逆のタイプだわ……。さすが、ヒロイン。くつゲーはくつゲーでもこういうところだけは褒めるに値するわ。
「はあー。これで攻略対象たちに会う心配もなくなったわね。まあ、もしあったとしてもかかわらなければいいだけだけれど」
お父様たちが部屋から去ったあと、私はひとり呟いた。
「失礼いたします」
シエラ……?
「お嬢様、お手紙が届いております」
「手紙??」
何かしら……。すごく嫌な予感がするのだけど……。
「………………」
なんで今まで忘れていたのかしら。攻略対象たちとの出会いの場は、デビュタントだってことを!
そしてこれはデビュタントの知らせだわ。
………………………………いえ、これはきっと見間違いね!ええそうよ、見間違いよ!
何事もなかったかのようにふるまう私を見たシエラが、手紙をのぞき込んできた。これ、本来ならば許されることではないのだけれどね。まあいいけれどね。
「お嬢様、これはデビュタントの知らせではないですか!早急に旦那様に報告しなければ」
うーん、やっぱりそうなのよね。現実逃避はできなかったわ……。
この国のデビュタントは、主に十二歳の貴族の男女を対象としている。
縁談のお相手を探すための場でもあり、「公爵家の長女でーす」といったどこの家の子であることを示す場でもある。
でも!
そこへ行ったら、絶対に、まず確実に、攻略対象たちと出会いイベントを起こしてしまうのよ!
「シエラ、お父様たちには言わないで頂戴。私にも事情ってものがあるのよ」
「いえ、私の雇い主は旦那様ですので。申し訳ございません」
なんでよー!!!!
「いやよ、私は行かないわよ!」
そんな私の叫びは、シエラが閉じたドアの音にかき消された――。
※この世界ではデビュタントと成人は違う年齢になっております。
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