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長さバラバラですみません……。
「うう……」
重い瞼を開けると、見知らぬ人の顔がドアップで視界に入ってきた。
「きゃあっ!?」
「お嬢様!お目覚めになられましたか」
その言葉から、ドアップになっていた顔の正体は侍女だったらしいことが分かった。
「……シエラ?」
「はいっ、シエラでございます、オリヴィアお嬢様!」
口が勝手にそう呼んだ彼女、シエラは、私の専属侍女だ。彼女は平民で、家族はなんと十人の大家族。下にいる弟や妹たちを養うため、親とともに働きに出たらしい。
ちなみに、私は公爵令嬢なので、本来であれば平民が、公爵令嬢の専属侍女になどなれるわけがないのだが、私の両親は心が広いので雇ってくれたそうな。以前シエラ本人がそう話していた。
「体調はいかがですか?」
「……良好よ。シエラ、起きて早々申し訳ないのだけど、少し一人にしてもらってもよいかしら?」
とりあえず、今後のことを考えるため、そう頼んでみる。
「なりません、お嬢様。まだ体調が安定なさっていないのですから、また五男倒れになるのかわかりませんもの」
真顔でシエラが言った。めんどくさ……っ!
どうしようかしら。何とかして一人にならないと……。そうだわ!
「シエラ、少しのどが渇いてしまったわ。何か持ってきてもらえるかしら?」
「……承知いたしました。くれぐれも、安静にお待ちくださいね」
そういわれてしまっては仕方がないと言わんばかりの顔で、シエラはしぶしぶ部屋を出て行った。
「…………よし、これで一人になれたわね」
問題は、今後どのように攻略対象たちをかわしていくか。絶対に絶対に、かかわりたくないわ。誰かヒロイン変わってくれないかしら、悪役令嬢とか……。
「……そうだわ」
そもそも、ゲームの舞台となるのは魔法学園。ということは、魔法学園に行かなければそもそも出会いもないし、かかわることもないのではないのかしら!?
ふふ、モブ令嬢様、悪役令嬢様。「あとは皆さまのご自由にどうぞ」よ!
「お嬢様、失礼いたします。お飲み物をお持ちいたしました」
ノックオンの後、タイミングよくシエラが戻ってきた。
「ありがとう、シエラ」
ふう、本当にのどが渇いていたのよね。眠るとどうしてそうなるのかしら……。人間って面白いわよね。魔法学園に行かないで済んだら、その時は研究者にでもなろうかしら?
「オリヴィア!」
そう叫び声が聞こえた瞬間、誰かが部屋に入ってきた。
「お父様、お母様!!」
子の両親は基本私に甘い。それはもう、イチゴのように甘い。何を言っても聞いてくれるのである。勿論私は心優しいヒロイン様なので無茶なことは頼んだりしていないが。
「大丈夫なのか、オリヴィア?」
「急に倒れたと聞いたわ。体調はどう?」
「大丈夫ですわ、お父様、お母様」
ちなみに、サンチェスト公爵家には男児がおらず、次期公爵となるものがいないのだが、何でも親戚から養子をとるそうだ。手続きはすでに進められており、あと四か月ほどで我が家にやってくるとかなんとか。
「もう、そこまで心配なさらなくても大丈夫ですわ。……一つだけ、お願いをしてもよろしいでしょうか?」
「え!?あのオリヴィアが、お願い?? ああ、うれしくて昇天してしまうわ!」
「なんでも叶えるさ、めったにないお願いだからね」
私ってそんなにお願いしていなかったのね……。偽善者ヒロインのくせに、そこらへんはちゃんとわがままじゃないヒロイン様をやっていたらしい。ちょっと見直したわ。
「私……魔法学園に通いたくないのですわ」
「え、そんなことか!?学園は受験制だからな。別に受験しなければいいだけの話なんだが」
え、そうなの!?てっきり強制かと思っていたわ……。ゲームでは貴族なら全員が入学していたから……。
まあ、なんにせよ学園に行かず、攻略対象たちともかかわらず、学園に行く代わりに悠々自適に家で自分のペースで勉強ができるのなら、めちゃくちゃいいじゃないの!
まさかの隠し設定発覚……。実際どうなのかはわからないものだわ。乙女ゲームの世界、捨てきれない。
面白いな、続きが気になる、などと思っていただけたら幸いです。
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