第二話:骨の者、最初の命令!
グールたちがいたところの中央には巨大な玉座が鎮座している。その玉座に座るのは、グールキング――その姿は他のグールとは異なり、威厳と狂気を纏った存在だった。
「……骨のものよ。引き返せ」
グールキングの声は低く、洞窟全体に響き渡る。
「お前がここのグールたちを統べる王だろ? 俺はお前を倒して、能力を吸収する!」
俺は挑発するように言い放った。だが、その言葉にグールキングは笑いもしない。ただ静かに立ち上がり、その瞳に暗い憎悪を宿していた。
「……能力を吸収だと? ならば問おう。お前は、この世界の『シナリオ』というものを知っているか?」
「……!! ……いや、なんだそれは」
「愚かな者よ。この世界は、運命という名のシナリオによって支配されている。俺もかつては人間だった。国を治め、妻と子を愛し、平和を築こうとした。しかし……シナリオによって全てを奪われた。俺の国は赤き龍によって滅び、俺自身もこの醜い姿に堕ちたのだ」
その言葉に俺は息を呑んだ。彼の声には深い悲しみと怒りが混じっていた。まるで俺自身が感じていた、前世での屈辱と重なるような感情だ。
「……それでも俺は抗う。この醜い姿になろうとも、シナリオに逆らい続ける。それが俺の存在意義だ! 命令! そのものを囲め!」
グールキングは叫び、その瞬間、洞窟内の腐敗した肉片が動き出し、無数のグールたちが俺を囲んだ。
「……! やっぱり、お前の能力は欲しい!」
俺はアルミラージの角を発射し、迫り来るグールたちを次々と撃ち倒していく。しかし、打っても打っても一向に減る気配がない。
「骨のものよ、その程度では俺には届かぬ!」
「このままじゃ勝てない……! どうする! ――いや、全力で行くのみ」
俺は周囲のグールたちを一体ずつ倒し、どんどんその力を吸収していった。その度にステータスが少しずつ強化され、俊敏性や耐久力が向上していく。
==「スケルトン」のステータス==
筋力: 1 (+1)
HP: 2 (+1)
MP: 0
俊敏性: 4 (+1)
耐久力: 1 (+1)
ジャンプ力: 5
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特殊能力:
・死者吸収
+スライム(45) ジャンプ力の向上
+アルミラージ(22) 角を発射可能 速度:90km/時速 クールダウン...25秒
+ケルベロス(1) 俊敏性の向上(大)
+グール(26) 復活 クールダウン...993日
==================
「これならどうだ!」
強化された俊敏性でグールキングの攻撃をかわしながら、アルミラージの角を連続で発射する。そしてグールキングの腐敗した体に、深い刺さった。
「っ――俺はまだ倒れん! 命令、分裂!」
グールは倍に分裂し、素早く飛びかかってきた。しかし、分裂しただけでは止められない。俺は分裂したグールを踏み台にした。
「終わりだ……!」
俺は構え、アルミラージの角を発射した。見事に彼の胸を貫ぬいた。その瞬間、「死者吸収」が発動した。グールキングの能力が俺に流れ込み、その魂が解放された。
「ありがとう、骨の者よ……シナリオをどうか――」
彼とグールは消滅した。そして俺には新たな能力が宿った。
==「スケルトン」のステータス==
筋力: 2 (+1)
HP: 3 (+1)
MP: 1 (+1)
俊敏性: 5 (+1)
耐久力: 2 (+1)
ジャンプ力: 6 (+1)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特殊能力:
・死者吸収
+スライム(45) ジャンプ力の向上
+アルミラージ(22) 角を発射可能 速度:90km/時速 クールダウン...25秒
+ケルベロス(1) 俊敏性の向上(大)
+グール(30) 復活 クールダウン...993日
+グールキング(1) 死者命令 クールダウン...700日
==================
「死者命令……死者に命令を下し、操る能力。ふふっ、生き返れ!」と言えばよいだろうか。実に、かっこいいな。
だがクールダウンは700日と、とても長い。いつか使うとしよう――!?
そう、俺は洞窟の枯れて朽ちたツタに、死者命令を下してしまったのだ。