第一話:スケルトンでいられるか!
目を開けると、そこは見知らぬ森だった。木々が生い茂り、薄暗い光が差し込む中、鳥の鳴き声と風のざわめきが耳に届く。
俺は地面に転がっていた。いや、正確には「骨」だけが転がっていた。
「転生……したのか? ちょっとまて! これ、俺の体か?」
急いで体を起こし、湖の水面に映る自分の姿を確認すると、そこに映っていたのは、完全なるスケルトン。白い骨がむき出しで、目は空洞。転生したいとは言ったけど、これじゃただのモンスターだ!
「なんで俺がスケルトンなんだよ! せめてドラゴンとかカッコいいやつにしてくれよ!」
不満をぶつけても仕方ない。とりあえず、この世界で生き残る術を探るしかない。俺は立ち上がり、周囲を見渡した。
足元に小さなスライムを発見した。これはチャンスだ。前世で持っていた「死者吸収」の能力がまだ使えるのか試してみるしかない。俺は手を伸ばし、スライムを掴むと力を込めた。
「っ……! くそ硬いが――」
スライムは弾け飛んだ。そしてその瞬間、体が気持ちい具合に、ゾワッと震えた。そして俺の視界にステータス画面が浮かび上がった。
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==「スケルトン」のステータス==
筋力: 0
HP: 1
MP: 0
俊敏性: 1
耐久力: 0
ジャンプ力: 2
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特殊能力:
・死者吸収
+スライム(1) ジャンプ力の向上(小)
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「なるほど……まだこの能力は使えるみたいだな」
スライムから得たのはジャンプ力の向上だけだったが、それでも希望が見えた。この能力を使えば、弱いスケルトンでも少しずつ強くなれるかもしれない。そして姿を変えることだって!!
俺はさらに森を探索し、次の獲物を探した。そして見つけたのはアルミラージ――一本の角を生やした、ウサギのような魔物だ。木の枝を折ろうとしたが、これがまた一苦労。骨だけの体ではまともに力が入らない。
「スケルトンよ……お前がこんなに弱いとは思わなかった」
なんとか枝を手に取り、アルミラージに音を立てず近づく。
「ゆっくり、音を立てずに……よし!」見事アルミラージの腹部に枝を刺すことができた。
アルミラージは倒れ、その能力が俺に吸収された。
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==「スケルトン」のステータス==
筋力: 0
HP: 1
MP: 0
俊敏性: 1
耐久力: 0
ジャンプ力: 2
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特殊能力:
・死者吸収
+スライム(1) ジャンプ力の向上(小)
+アルミラージ(1) 角を発射可能 クールダウン...30秒
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「角を発射? 面白そうじゃないか」
俺は試しに先ほど拾った枝を使ってスライムを狩り続けた。そしてアルミラージの角を発射してみた。
「え?」
角はそのまま直角に落ちていった。
「……もっと吸収して精度を上げないと、使い物にならねえ」
そのため、夕方まで狩り続けた結果、俺のステータスは急成長を遂げた。
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==「スケルトン」のステータス==
筋力: 0
HP: 1
MP: 0
俊敏性: 1
耐久力: 0
ジャンプ力: 4 (+2)
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特殊能力:
・死者吸収
+スライム(35) ジャンプ力の向上
+アルミラージ(21) 角を発射可能 速度:90km/時速 クールダウン...25秒
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ジャンプ力はやっと人並みに。角の発射速度も時速90kmと十分満足だ。しかし、その時遠くから咆哮が聞こえた。何かと近づくと、そこにはまだ幼いケルベロスの住処と思われる洞窟があった。
「やばそうだ……でも倒せばもっと強くなれるかもしれない。行くか!」
慎重に近づき、寝ているケルベロスにアルミラージの角を発射した。だが恐怖で手が震えてしまい、狙いがズレてしまった。
「? 骨だ! 骨!」ケルベロスは目を覚まし、俺に突進してきた。
「は、話してる!? まあ、なんとなく俺はスケルトンだから、そんな気はしてたけどさ!」
「骨! うまそう! 喋る骨〜」
「いやいや、骨って言うな! 骨だけどさ!」
俺は必死に森を逃げ回りながら角のクールダウンを待った。そして25秒後、再び角を発射すると命中した。しかし一発では浅く、さらに逃げ回る必要があった。
「骨だ! 骨!」ケルベロスの叫び声が追いかけてくる。
「骨はそっちじゃない。曲がれ!」
「じゃあお前がやれ!」
「骨〜!!」
まだ幼いこともあって、三体のケルベロスは言い争っていた。
そして、すっかり辺りは暗くなり、何時間もかけてケルベロスを倒すことに成功した。
散々だったが、その怒りは強化されたステータスを見ることで少し収まった。
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==「スケルトン」のステータス==
筋力: 1 (+1)
HP: 1
MP: 0
俊敏性: 3 (+2)
耐久力: 0
ジャンプ力: 4
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特殊能力:
・死者吸収
+スライム(37) ジャンプ力の向上
+アルミラージ(22) 角を発射可能 速度:90km/時速 クールダウン...25秒
+ケルベロス(1) 俊敏性の向上
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おおすごい! 俊敏性が向上し、普通の人間並みに走れるようになった。
「よし! これからもっと強くなってやる」
意気込みながらケルベロスがいた洞窟を進むと、中には大量のスライムがいた。倒しながら進むうちに、スライムとは話せないことも分かった。
「自我によって、話せると話せないに別れるのか?」
洞窟をかなり進むと、そこにはグールの住処があった。足元には大量の骨が散らばっている。
「人間……喰った?」
「喰った」「おいしい」「喰った」
グールは単調な言葉しか話せないようだ。呆れながら、俺はグールたちを倒し続けた。
結果、また新たな能力を得た。
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==「スケルトン」のステータス==
筋力: 0
HP: 1
MP: 0
俊敏性: 3
耐久力: 0
ジャンプ力: 5 (+1)
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特殊能力:
・死者吸収
+スライム(45) ジャンプ力の向上
+アルミラージ(22) 角を発射可能 速度:90km/時速 クールダウン...25秒
+ケルベロス(1) 俊敏性の向上(大)
+グール(7) 復活 クールダウン...998日
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グールの復活という能力は前世でも知っていたが、一度も使う機会はなかった。それでもわかる。この能力は最強だ。
「グールの先で隠れてたお前……グールキングか? 絶対倒す!」
俺はさらなる高みを、目指すのだった。が――