灰と塵
父さんが死んだ。
とても寒く、星が綺麗な夜だった。
何で死んだかは小さい僕には大人が教えてくれなかった。
ちょっと癇癪がひどい人だったけど、死んでからはいい思い出しか頭に浮かばないものだ。
父さんの命日には母さんと一緒に空を見上げるのが日課だった。
小さい僕は、星を指差して「どれがお父さん??」と母さんに言っていた。
その度に母さんは笑うだけで何も言わなかった。
今度は母さんが死んだ。
僕が13歳の頃だった。
今度は僕のせいだ。
父さんと母さんは空で会うことが出来ただろうか。
多分そんなの夢空事だ。
人は死んだら星になるなんて誰が言った?
人は死んだら灰と塵にしかならなかったよ。
-終-