第68話
それからの三日間、信康は店の外で密かにカルレアを警護し続けた。
簡単に予定を言えば、こうだった。
朝は午前八時に起床して、朝ご飯を食べるなりアパートメントの敷地内の掃除。
それが終わると、今度はブーランジェリー・グランヒェルに向かった。
昼からは夜の仕事まで、ずっとブーランジェリー・グランヒェルで仕事をしていた。
前は朝から正午までだったのだが義理の弟夫婦が現在入院している所為で、ブーランジェリー・グランヒェルの人手が足りないので、夜まで働いてるそうだ。
観察をしてみると、どうやらカルレア目当ての客も少なからず居る様だった。
夜はブーランジェリー・グランヒェルを出て、本来の仕事先の賭博場に向かう。
其処でディーラーの仕事を、閉店時間まで勤めていた。
閉店時間である朝の三時まで仕事を済ませると、賭博場を出て真っ直ぐアパートメントの自室に向かい眠りつく。
以上がこの三日間のカルレアの行動予定だった。
ちょっとハードじゃないかと思うが前にさりげなくカルレアに聞いた所、もう少ししたら弟夫婦が退院出来るのでそれまでの辛抱だと言っていた。
(・・・・・・ちょっと仕事きつくないか?)
其処まで考えると信康はそうしてまで働いて、何かしたいのだろうかと思った。
金銭に関していえばアパートメントの家賃収入だけでも、女性一人だけならば十分に食べていけるくらいの収入はある筈だ。
なのに此処まで熱心働く、その理由が分からなかった。
だがどれだけ考えても、信康の頭の中には思いつかなかった。
(他人の踏み込んでいけない所まで踏む込みそうだからな。誰しも諸事情と言うものはある。これ以上は考えたり詮索するのは止めるか)
信康はそれ以上何も考えずただ、約束の日までカルレアの警備を続けた。
プヨ歴二十六年六月十四日。
ブラベッドとの約束の日が来た。
信康はブラベッドの伝手で、勝負の場所であるケル地区にある賭博場に来た。
「此処が例の賭博場だな・・・・・・」
事前に貰った住所が書かれた紙を見ながら、信康は呟く。
もう時間は夜の帳が下りて、深夜になろうかという時間であった。
「此処で勝負が行われるそうだ」
「そうですか。でも、よろしかったのですか? 私を連れて来て」
信康の隣には、シエラザードが居た。
こういった場所では、意外と男性一人で行く方が目立つのだ。
なので誰かを連れて行こうと思ったのだが、信康は誰を連れて行こうか悩んだ。
男性を連れて行こうかと思ったが、このプヨ王国で知り合ったリカルド達男性の同僚達は居ても兵舎が改築中の現在、リカルド達が何処に居るのか知らないので却下になった。
ならば、連れて行くのは女性だ。
候補としてはルノワ、セーラ、ティファの三人だ。
しかしああゆう刺激が強い場所は、純情なセーラには向いていないので却下だ。
残るはルノワとティファの二人だが間の悪い事に二人共、所用が出来て同席出来ないと言われた。
仕方がなく一人で行くかと思っていたら、丁度シエラザードにバッタリあった。
駄目もとで事情を話して一緒に来てくれないかと、シエラザードに訊ねたら快く承諾してくれた。
なので信康は現在、シエラザードと一緒なのである。
「ああ、問題ない。あんた、魔法を使えるのだろう? だったら、相手が魔法を使った不正行為イカサマをしても分かるだろう」
「そうですね。どんな魔法を使うかによりますが、大抵のものでしたら」
「なら、良いな。今回の勝負を負けたら、俺の報酬もパーだからな。頼むぞ」
「畏まりました」
シエラザードの返事を聞いて、信康は一緒に賭博場に入った。




