第399話
信康とリカルドは隊を率いて、傭兵隊の陣まで戻った。お土産付きで。
信康を出迎えたルノワとコニゼリアは気を失っている敵の捕虜を見るなり不満気な表情で。
『溜まっているのでしたら言って下されば、夜にノブヤス様のテントに行きますのに』
『そうですよ。ルノワ姉様もテイファさんもわたしも喜んでいきますよ』
と言ってきた。
違うと言っても信じて貰えなかったのが、内心悲しいと思う信康。
しかし、今はそんな些細な事で悲しんでいる暇はないと思い直し、直ぐに信康は捕まえたグリフォンを厩舎に預けた。そして、捕まえた捕虜を自分のテントに運ぶように指示した。
「ああ、それとイセリアとメルティーナにこれを渡してくれ」
信康は隊員に幾つか丸い玉のような物を渡した。
「こいつは?」
「銃で撃たれて死んだ奴の死体から傷口を開いたら出て来た弾丸だ」
「へぇ、これが砦の敵軍が使ってる銃弾ですかい」
「魔鉄で覆った盾や鎧をも貫く魔弾だ。イセリア達にこの弾丸を解析しろと言ってくれ」
「分かりましたっ、じゃあ、隊長。お楽しみください」
敬礼しながらニヤニヤする女騎士をテントに運んだ隊員。
何か勘違いしているのではと思い、信康は訂正しようとしたら、隊員は振り向きもせずイセリア達の下に向かった。
「・・・・・・・仕方がないか」
信康は自分のテントに入った。
テントに入ると、信康は横になっている女騎士を見る。
とりあえず、起こす事にする。
身体を軽く揺らして見たが、起きる気配はない。
なので、少し強めに揺らした。
「う・・・・・・うう・・・・・・」
反応があったので、信康は激しく揺らした。
「うんん・・・・・・ここは?」
瞼を痙攣したと思ったら、目を開ける女騎士。
「起きたか?」
「っ⁈あっ、剣がっ⁈」
信康が声を掛けると、女騎士は身体を起こして、剣を差していた所に右手を動かしたが、其処には剣はなかった。
「悪いが、没収させて貰ったぜ」
「くっ、わたしは何も話さないわよっ」
「そうかい。じゃあ、名前は?」
「・・・・・・」
女騎士は顔を背けた。
その態度を見て、これは意地でも言わないなと思った信康。
「仕方がない。生憎、俺は紳士ではない。なので、手っ取り早い方法を取らせて貰うぞ」
信康は女騎士を指を差した。
「『赤き炎の棘』」
女騎士を指差した指から赤い棘が出た。
その棘が女性の身体に絡みついた。
「く、くあああああっ」
喘ぐ女騎士。
その棘から逃げようと身体を捩らせるが、棘は解く様子はない。
「無駄だ。これはそう簡単に解けはしない」
「くっ、何をするつもりか分からないけど、わたしはそう簡単に負けたりしないわっ」
キッと信康を睨む女騎士。
「さて、その威勢は何時まで続くかな?」
「が、があああああああっ⁉」
それから数時間。テントからは女騎士の悲鳴が聞こえ続けた。
翌日。
真紅騎士団とカロキヤ軍飛行兵部隊『独立鷲獅子騎兵隊』が駐屯している砦。
その砦にある一室にて。
ゲオルートはベッドで眠っていた。
ベッドには、ゲオルート以外にも女性が多くいた。
全員、全裸で眠っていた。
ゲオルードは喉が渇いたので、水を取ろうとベッドから降りようとしたら。
「ゲオっ、大変よっ」
ルディアがノックも無しに部屋に入って来た。
「おわっ、ビックリした。何の用だよ。ルディアっ」
「ああ、実はって、お前は、また隊員としたのか、少しは抑えろっ。その内、女性隊員が全員、戦闘に支障が出るぞっ」
「って言われてもよ。こればっかりは無理だな」
全裸で肩を竦めるゲオルード。
「あああっ、お前という奴はっ」
ルディアは怒髪天を突かんばかりに怒っていた。
「それよりも、何の用で来たんだ?敵襲じゃあなさそうだが」
「ああ、そうだった。とりあえず、服を着ろ」
服を着たゲオルードを連れたルディアは物見櫓に連れて来た。
其処には望遠鏡で敵陣を見ている独立鷲獅子騎兵隊の隊員達が居た。
「隊長。副隊長」
「どうだ?」
「間違いありません。あいつです」
「そうか」
ルディアと隊員との話に付いて行けず、ゲオルードは話に割り込む。
「おいおい。俺にも分かる様に話してくれるか?」
ゲオルードがそう尋ねると、ルディアが隊員に望遠鏡を貰いゲオルードに渡す。
「敵陣を見ろ」
「あん? ああ、分かった」
ルディアに言われて、ゲオルードは望遠鏡でプヨ軍の陣地を見る。
特に変わった所はないなと思いつつ見ていたら。
「っ⁈ これはっ」
昨日は建っていなかった物が陣地の柵の外に建っていた。
それは磔台だった。
その磔台で縛られているのは、この前の戦闘で死んだと思われたゲオルードの情婦であった。




