第245話
ディアサハとクラウディアに引きずられた信康は、自分様に充てられた独居房に着くなり床に投げられ尻餅を付く羽目となった。
「いてて・・・何なんだよ、いきなり」
顔を顰めながら、信康は顔を上げる。
「「・・・・・・・・・・・・」」
信康を見下ろすディアサハとクラウディア。それと面白そうな顔をするラキアハが居る。
しかしディアサハ達は信康を見詰めこそするが、何も言おうとはしない。
無言で何も言わずに沈黙を貫き続けるので、余計に怖くて不気味だと思う信康。
「おいおい。何か言いたい事があるんだったら、遠慮せずに言ったらどうだ?」
信康がそう問い掛けると、漸くディアサハとクラウディアが口を開いた。
「だったらあんたに聞いても良いかしら?」
「お、おう。何だ?」
「このエルドラズに入る前は、どんだけの女と関係を結んだの?」
「・・・唐突にどうした? それってそんな事に重要な事か?」
「あんたがどれだけ節操無しの女ったらしなのか、良い機会だから聞いておこうと思ってね」
「そう難しく解釈する事は無い。これも純粋な興味本位でな。英雄色を好むと言うし、どれだけの女を誑し込んだとしても、儂は怒らぬぞ。それで? 何万人居るのだ? それとも、数千人か?」
「待ってくれ、師匠。流石に数千とか何万も居ないから。大和に居た時から遡っても精々数百人で位で、千には流石に届かなかっ・・・あっ!?」
「ふうぅん。へぇ~~そう・・・・・・数百人。数百人かぁ・・・」
「・・・」
ディアサハの安直な誘導に引っ掛かって、馬鹿正直に答えてしまった信康は思わず顔を反らした。
「ははははっ。まだまだ修行が足りぬな。我が弟子よ」
「・・・ふんっ!」
信康から大雑把にとは言え関係性を持った女性の人数を、無事に聞き出す事に成功したディアサハは機嫌良く笑みを浮かべていた。一方のクラウディアは、不満そうに信康を寝台に押し倒した。
不意を突かれた信康は、反応に遅れてそのまま寝台の上に仰向けで押し倒された。信康は身体を起こそうとしたが、腹の所をクラウディアに座られ起きる事が出来なくなった。
「おいっ!」
「ふん。その数百人がどれだけ良い女だろうと、あたしも負けてない事を教えてあげるわ!」
信康はクラウディアの行動に、不思議に思いながら見ていた。
それからはエルドラズ島大監獄乗っ取り計画を決行する日が来るまで、ディアサハと鍛錬を続け過ごす事にした。




