表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信康放浪記  作者: 雪国竜
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/412

第239話

 数時間後。


 信康の瞼が、唐突に震え出した。


 そして瞼を開けると信康は自分の胸の中で眠っている、ディアサハを見て目を疑った。


「師匠?・・・・・・何時の間に、俺の胸の中に移動していたんだ?」


 思わぬ状況を前にして、少し動揺する信康。


「・・・・・まぁ良いか。こうして身体を預けてくれるのは、信頼してくれてる証だろうし・・・何より、悪くない」


 信康は考えるのを止めて、ディアサハを起こさない様に身体に腕を回して優しく抱き締めた。


 それから暫くディアサハの美髪を撫でたりして過ごしたが、ディアサハは起きる様子は無かった。


 そうしている内に飽きたのか信康はディアサハを移動させて身体を壁に凭れさせると、ゆっくりと身体を起こして背筋を伸ばした。


「さて、良く寝たし。ちょっとあいつ等と話をするか」


 独居房を出る前に信康はシキブに頼んで、セミラーミデクリス達の独居房の扉を全て開けさせた。


 ドアノブが開いた順から、独居房からセミラーミデクリス達が出て来る。


「一体、何だ? いきなり扉が開き出してよ」


 スルドが周りを見ながら独居房を出て直ぐ近くにある広い場所で、其処に居るセミラーミデクリス達に訊ねる。


「さぁ、わたくしにはさっぱりです」


 そう言いながら、何となく自分が独居房を出て来れた理由を察するラキアハ。


「まぁ、ノブヤス(あいつ)が企みを実行に移すんでしょうね」


 クラウディアは自分の予想を話し出した。


「ほぅ? 本当に行動するとはな、我も予想しなかったぞ」


 しかしそう言った言葉とは裏腹に、その顔には予想通りの展開になった事に喜ぶ顔をしているセミラーミデクリス。


「・・・・・・」


 フィリアは腕を組み、一言も発しない。


(アルジ)、起キテ来タ」


 カガミが言葉を発した。


 それを聞いて、皆驚いた。


「おおおっ、すげぇ。こいつの声、初めて聞いたぜ」


「この高位蛇美女(エキドナ)、喋れたの?」


「我も初めて聞いたぞ」


「・・・・・・大方、誰かが言葉でも教えたのだろう」


「そうですね。その用な酔狂な事をする方と言えば」


 フィリアとラキアハの言葉を聞いて、残りの三人はの頭に一人の男性の顔が浮かんだ。


「よぅ、お前等。おはよう」


「おはようございます。ノブヤス様。って、あら」


「ふん」


「・・・・・・」


 ラキアハは驚き、セミラーミデクリスは鼻を鳴らし、フィリアは呆れた様子で溜め息を吐いた。


「ねぇ、何時の間にこの高位蛇美女(エキドナ)に言葉を教えたの・・・」


「てめえ! どうやって、こいつに言う事を聞かせるようにしやがっ、た・・・・・・」


 クラウディアは言葉を区切り、スルドは目を疑った。


「・・・・・・・・」


 カガミは信康の下の方に目を向けた。


「どうした? お前等」


 信康は皆の反応がおかしい事に気付き訊ねた。


「・・・・・・あんたね」


「あん?」


 クラウディアは顔を赤くさせて、身体を震わせる。


「おい手前っ、そんな趣味があるのか?」


「はぁ? すまんが、言っている意味が分からん」


「「全裸であたし達らの前に来るなっ!」」


 二人は、信康を見ながら叫んだ。


「・・・・・おおっ」


 信康は言われて、自分が全裸だという事に気付いた。


 そして慌てて、自分の独居房に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ