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信康放浪記  作者: 雪国竜
第一章
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第119話

 プヨ歴V二十六年七月三日。朝。



 傭兵部隊の各小隊の入隊挨拶が終わってから二日後。信康は傭兵部隊の養成所にある第四訓練場で、第四小隊の集団訓練をしていた。


 個々の力量よりも連携を重視した訓練で、信康も小隊員達と一緒に汗を流していた。訓練を暫くすると少し小休止するべきだと判断し、副官になったルノワに小休止を告げる。するとルノワは小隊員達に、小休止を告げて訓練を止めさせた。


 小隊員達は手を止めて壁に凭れて休んだり、乾いた喉を潤そうと水飲み場に向かったりとしていた。信康は水分を補給しようと、腰に下げている皮袋の口を開けて、中に入っている水を喉へと流し込んだ。


「ノブヤス小隊長。お時間宜しいでしょうか?」


 そう声を掛けるのは、サンジェルマン姉妹の妹の方であるメルティーナだった。そもそも姉の方のイセリアは、こんな丁寧な言動などしない。


 小休止を告げた時に話し掛けた所を見ると、話し掛ける時期を計っていたのだろうと思われた。


(こいつ等の案件は最優先事項なのだから、遠慮など無用だと言うのに・・・この二日間を過ごして改めて分かったが、こうして話して見ると姉妹でも性格が全然違うな)


 姉のイセリアの方は、どんな状況だろうと平然と話し掛けて来る。小隊の訓練中だろうと、信康が他者と話している最中だろうと、全く考慮しない。


 良く言えば唯我独尊、悪く言えば傍若無人という言葉が相応しい振舞いだ。その上キツイ言い方をするので、第四小隊の中には反発を抱いている小隊員も居る。


 対して妹のメルティーナは、慎ましく礼儀正しい性格であった。人形みたいな見た目なので、最初こそ小隊員の誰もが話し掛けるのに躊躇していた。しかし信康やルノワ、ジーンやコニゼリアにレムリーアと親しげに話しているのを見て、いざ話し掛けてみたら人当たりの良い対応をしてくれた。


 すると、段々と小隊員達から好感を持たれる様になった。イセリアのキツイ言い方に腹を立てている隊員にイセリアの代わりに謝り、時にイセリアに対して苦言を呈す。そういった事をするので、イセリアよりも遥かに信望が厚い。


 因みにイセリアにも一部の小隊員達には、好感を持たれていた。イセリアの態度がまるで女王様みたいなので、それを見て被虐嗜好を持つ隊員達が好意を持っているのだろうと思われた。


(しかしこうして話してみると、どうしてメルティーナまで恐れられるのだろうな?)


 姉のイセリアはまだ分かった。あの傍若無人さで、キツイ言い方。あれでは、好かれるのは難しい。しかしこの妹のメルティーナは、イセリアに比べて慎ましく礼儀正しい。それに人当たりが言いので、どうも以前に聞いた逸話の首謀者とは思えない信康。


(大方、姉のイセリアと一緒に行動しているから、イセリアがした事がこいつもした事にされたのかもな)


 そう思い、メルティーナに同情する信康。


「小隊長?」


「ああ、すまん。用は何だ?」


「頼まれた物が出来ましたので、お見せしようと思いまして」


「おおっ! 遂に出来たのかっ?!・・・随分と早く出来たな?」


 信康は思っていたよりも早く出来たので、驚きと歓喜の声をあげる。訓練中以外で大声など出さない信康の様子を見て、休憩中の小隊員達は何事かと自然と注目した。


「それで? 例の物は現在いま、何処に保管してあるんだ?」


「今、お出ししますね」


 メルティーナは誰も居ない場所に行き、手を翳した。


(ゲート・)開門(オープン)


 メルティーナがそう言い手を翳した所から、黒穴が生まれた。


 その穴は段々と、大きくなっていく。そして、その黒穴から馬の形をした物体が一体その姿を表した。等身大の形を取っているので、遠目で見ると普通の馬みたいに見える。


 しかし近くで見るとそれは生物では無く、馬の形をした人形だと分かる造りであった。


「えっ?! この兵馬俑は何っ!?」


 壁に凭れて休みながら信康達を見ていた鈴猫(リンマオ)は、いきなり出て来た馬型の人形に驚き声を上げる。


「ヘイバヨウ? 何だ。それは?」


 初めて聞く単語に、信康は首を傾げながら鈴猫リンマオに訊ねる。


「私の故郷で昔の風習であった、死んだ偉い人と一緒に副葬品として埋葬される人形の事をそう言うのよ。その昔は使用人や奴隷や馬を一緒に生きたまま埋葬していたんだけど、残虐だからその兵馬俑を代わりに埋葬したのが、始まりだと言われているわ」


「へぇ。鈴猫が居た中華では、そんな風習があったのか・・・そう言えば大和も古墳が作られた大昔の時代に、そんな習慣があった気がするな」


 信康は出て来た馬型の人形を、軽く叩きながら話す。こうして触れてみたら生物では無く、何かの材質で作った人形だというのが良く分かる。


 因みに何故鈴猫が上官である信康にタメ口を聞いているかと言うと、信康が全小隊員にそれを許可したからだ。尤も大半の小隊員は遠慮してきちんと敬語で信康に接しており、この様にタメ口を使うのは極々一部の小隊員に過ぎない。


 信康は突然出て来たこの物体よりも、メルティーナが使った魔法に興味が湧いていた。


「メルティーナ。今の魔法は収納ストレージでは無く、転移門(ゲート)の魔法か?」


「そうですよ。良く分かりましたね?」


「俺の知り合いには凄腕の魔法使い(ウィザード)魔女族(ウィッチ)が居て、そいつらも転移門ゲートの魔法を使っていたからな。簡単に言えば転移門は収納(ストレージ)の上位互換って認識で間違い無いか?」


 信康は懐かしそうにそう思い出しながらそう言うと、メルティーナは驚きながらも首肯して頷いた。


「その認識で、間違っては居ないかと。収納は物の出し入れしか出来ませんが、この転移門の魔法は物だけで無く生物も出し入れが可能です」


「ふむ・・・あいつ等もやっていたのだが・・・その転移門の魔法は使い方次第で、転移(テレポート)の魔法みたいな芸当が可能なんじゃないのか?」


 信康がそう言うと、メルティーナは更に驚きながら信康を見詰めていた。信康の魔法の知識の深さが、メルティーナの想定を超えるものだった様だ。


「驚きました・・・はい。わたくしや姉様が一度行った事があると言う前提でですが、転移の魔法みたいに応用が効きます。そう言う意味では転移門は収納よりも転移の魔法の方に類似していると言っても、過言では無いかもしれません」


 信康はメルティーナからそう聞いて、思わず笑みを浮かべた。任意の場所への瞬間移動が可能ならば、それだけ選択出来る戦略や戦術の幅が広がるからだ。この事実を、信康が喜ばない訳が無かった。


「それは重畳、重畳・・・おっと、話が逸れたな。こいつには俺の要望通りの性能が搭載されているのか?」


 信康が話を戻す為に頼んだ物は要望通りに出来たのかと聞くと、パッと顔を輝かせた。


「はい。制作に二日掛かりましたが、性能は頼まれた通りです。御注文通り魔法人形(ゴーレム)の如く疲労を感じる事が無く、天馬(ペガサス)みたいに翼を出して空を駆ける事も出来ます。更に頑丈で熱にも寒さにも強く、どんな悪路でも気軽に進める魔馬人形(ゴーレムホース)です」


 メルティーナは自信満々に手で指し示した。


「頼んだ俺が言うのも何だが、良く作れたな。しかもたったの二日で」


 信康の中では最悪自分の分だけでも次の戦争が始まる前に出来れば良いや、としか思っていなかった。なのでサンジェルマン姉妹がこんなに早く出来上がるとは思ってもいなかった。


「いえ・・・何時、また戦争が始まるか分からなかったので、姉様と力を合わせて急ピッチで作り上げました。因みにペースやコツと言ったものは掴めましたので、次回からはもっと早く作れます。数を揃えるとなると、流石に少しばかり時間が必要になりますが」


「そうか。それはありがたいが・・・無茶はするなよ?」


 信康はメルティーナの顔をジッと見た。


 真剣な眼差しで自分の顔を見るので、メルティーナは少し頬を赤く染めて狼狽えた。


「あ、あの、何か?」


「・・・・・・目の下に隈は無いな。別に徹夜した訳でも無いみたいで、安心したぞ」


「え、ええ・・・姉様が『徹夜はお肌の大敵よ』と言うので、徹夜する事はありませんでした」


「そうか。流石に徹夜してまで造って、体調を悪くされたら本末転倒も良い所だったからな」


 信康は言い終わると、魔馬人形に触れる。


「で、操縦方法などはどうするんだ?」


「あっ、はい。先ずは、魔馬人形の額に触れて下さい」


「分かった」


 信康は言われた通りに、魔馬人形の額に触れた。


「認証確認。主人(マスター)登録シマス」


 いきなり、魔馬人形から声が聞こえだした。


「今度は何っ!?」


 隣で見ていた鈴猫が、驚きながら狼狽していた。魔馬人形が声を出すとは、微塵も思わなかったみたいだ。それは信康も同様であった。其処でメルティーナが、魔馬人形の声に関して解説を始めた。


「今のは、主人登録です。額に触れた者を主人にする為のものです。これを済ませておけば、盗難防止になりますから。因みに解除する方法は、別で用意しています」


「そうか。因みにこの声は何だ?」


「主人マスター認証登録の際は、声を出せる様にした方が分かり易いと姉様が言ったのでそうしました。外しますか?」


「いや、あった方が良い。それではこの魔馬人形とは、会話をする事も可能なのか?」


「其処まで自律思考出来る様に設定していません。精々、簡単な受け答えが出来る位ですね」


「まぁ別に会話出来なくても構わんな。しかし・・・俺の想像を遥かに超える、素晴らしく立派な代物が出来たものだな。それで、次はどうしたら良いんだ?」


「はい。魔馬人形の主人登録は完了しましたので、魔馬人形に乗りたい場合は屈め(シット)と言えば、魔馬人形が乗り易い様にしてくれます」


「じゃあ、早速・・・屈め(シット)


 信康が言われた通りに言うと、魔馬人形は目を輝かせると、四本の膝を屈めて人間でいう正座の様な体勢を取った。


 本物の馬からしたらこの様な体勢はキツイだろうが、魔馬人形からしたら。何の問題も無い。


『おおおおおおおおおおおおおっ!?』


 遠巻きで魔馬人形を見ていた小隊の小隊員達は、魔馬人形が膝を曲げるのを見て驚きの声を上げる。


「これで跨れば良いのか?」


「ええ。そして立て(スタンド)と命じれば、立ち上がります」


 信康は魔馬人形に跨り言われた通りに立てと言うと、魔馬人形は立ち上がった。


 立ち上がる際は少し揺れたが、乗馬経験がある信康にしてみたら問題は無かった。


 寧ろ魔馬人形の方が、普通の馬よりも乗り易いと思えた。


「ほう、中々の乗り心地だ。歩かせたい場合は、何と言えば良い?」


歩け(ウォーク)と言えば歩きます。走らせたい場合は駆けろランと言って下さい・・・そのまま駆けろと命じたら壁に激突する恐れがありますから、『敷地内を駆けろ』とだけ命じて下さい」


「分かった。先ずは、歩け(ウォーク)


 信康がそう言うと、魔馬人形はゆっくりと歩き出した。


 その速度はゆっくりとしていた。


(歩きで、常歩なみあしと同じ位の速度だな。この速度なら、駆けたら駈歩(かけあし)と同じ位速いと考えても大丈夫かな?)


 全く疲れないという事を考えれば、これぐらい問題ないと思う信康。


 更に歩いていも、壁にぶつかる事はなかった。


 もう少しで壁にぶつかるという所で、左右のどちらかに勝手に曲がる。


 手綱を操らなくても、これが出来るなら問題ない。


「よし、敷地内を駆けろ」


 信康がそう言うと、先程の歩きと違い駆け足になった。


 その速さに、信康は魔馬人形の身体にしがみついた。


(こ、これはっ!?・・・速度に差があり過ぎるぞっ!? 駈歩どころか、襲歩(しゅうほ)じゃねえかっ!?)


 しかし命令通り敷地内を駆けているので、機能としては問題は無い。


 だが、速度に難があると思った。これでは駆けた瞬間に、魔馬人形から振り落とされて落馬してしまう。


(降りたら、メルティーナに相談するか)


 最初こそ魔馬人形の駆ける速さに驚きしがみつきはしたが、駆けている内に速さに慣れていった。


 信康は慣れていく内に、しがみつくのを止めて前のめりに背を倒す。


「すげえな、ノブヤス小隊長」


「ああ。俺達の中には馬に乗った事が無い奴とか、馬に触った事も無い奴も居るのに・・・もう乗ってる姿が、様になっているぜ」


「ノブヤス小隊長ってやっぱり、馬に乗った事があるんだな」


「だろうな。それも只の乗馬経験者じゃないぞ。じゃなかったらあんなに速い中、馬具を一つも装備していない中で乗れる訳が無い」


 小隊員達は敷地内を駆ける信康を見て、口々にその馬術の腕前を称賛していた。


 信康からしたら昔、野生の裸馬や魔馬を捕まえて乗りこなした事が何度もある。それに比べれば、この魔馬人形はあまりに簡単であった。


 一頻り乗り信康はそろそろ降りたいと思っていると、メルティーナは察した様子で声を張り上げた。


「停まりたい時は停止(ストップ)です!」


 信康は言われた通りに停止と言うと、魔馬人形は直ぐに停まる事はしないで、徐々に速度が落ちて行きやがて停まる。


 信康は屈めシットと言うと魔馬人形は膝を曲げたので、信康は楽に降りれた。


「お疲れ様でした。小隊長。魔馬人形の乗り心地は如何でしたか?」


 メルティーナが、信康に聞いて来た。その様子は、両親に褒められるのを待っている子供の如くであった。


「ああ、素晴らしかったぞ・・・魔馬人形から見付かった、二つある問題点を除けばな」


「二つある問題点・・・何処と何処に問題点が?」


「先ず一つ目の問題点だが、速度に差があり過ぎる。良いか? 馬の歩法には遅い順から常歩(ウォーク)速歩(キャロット)駈歩(キャンター)襲歩(ギャロップ)の四種類があるんだが・・・この魔馬人形には常歩と襲歩しかない。どうだ? そう聞くと、速度が極端である事が分かるだろう?」


「成程、分かりました・・・後で調べて、中間の速度を新たに付け加えますね。もう一つの問題点とは、何でしょうか?」


「後は、この見た目だな」


 信康は魔馬人形の身体を叩く。


「と言うと?」


「この見た目だと、鋭い奴にこいつは普通じゃないと感付かれる。戦場で感付かれたら、敵から集中攻撃を受けるぞ。そうされたら、鹵獲される危険性も高くなる。普通の軍馬と思われる様に馬の革でも貼り付けて擬態(カモフラージュ)させて欲しい」


「そう言われれば、小隊長が仰っている事もご尤もですね。直ぐに馬の革を用意します」


「ああ、出来れば簡単に燃えない用にしてくれ」


「革に防火対策ですね。分かりました。最後に万が一敵の手で鹵獲されたら、遠隔操作で自壊出来る仕組みにしておきます」


「現状だと、そんな所だな。速度に付いてだが、百聞は一見にしかずと言うし・・・ジーンに馬に乗って走って貰える様に頼んで、実際にその速さを見て来たらどうだ? それが一番分かり易いだろう?」


「分かりました。そうします。ノブヤス小隊長、御指摘ありがとうございました」


 メルティーナはそう言って、出した時と同じく転移門の魔法で黒穴を生み出して魔馬人形を黒穴に収納した。


「早速ですが、ジーンさんに頼んで来ますね」


 メルティーナは信康に一礼してから、ジーンに声を掛ける。そして二人同時に、第四訓練場から出ていった。


「あの魔馬人形が、第四小隊の騎兵の馬になるのね」


 鈴猫が信康に話し掛けて来た。


「ああ、そうだ」


「じゃあ、歩兵や弓兵などの武具も用意していると考えて良いのかしら?」


「それについても一応頼んでいたが、イセリアの続報次第だ」


「お~ほほほほほほほっ♪ 待たせたわね!」


 高笑いしながら、女性の声が響いた。


「おっ、噂をすれば影が差すって奴だな。今度はあいつか」


「はぁ~、面倒なのが来たわね」


 信康と鈴猫が声をした方に向くと、予想通りイセリアが居た。


「よお、何か用か?」


「ふん。当然でしょう。じゃなかったら、貴方なんかの所に来る訳無いでしょう?」


 上官である信康に対してこの物言いは、どう考えても問題がある言動だ。


「貴女ねっ! 信康小隊長がタメ口でも良いって言ったからって、限度ってもんがあるでしょうが!? 幾ら何でも小隊長に向かって、その物言いはっ」


 鈴猫は流石に一言物申そうとしたが、信康が手で制した。


「いや、構わぬ。鈴猫も落ち着け・・・それで、こうして来たんだ。何かしら出来たと思って良いのか?」


「勿論よ。弓兵用の弓矢の方はまだ出来てないけど、小隊員用の魔鎧の方は言われた通りの物を製作したわ」


「じゃあ、早速見せて貰おうか?」


「今に持って来させているから、少し待ちなさいね」


 イセリアの言葉に、ガクッと前のめりに倒れそうになった信康。


「・・・・・・本当に頼んだ物を作って来たんだろうな?」


 何かイセリアならば、頼んだ物よりも凶悪な物を作ったのではと思う信康。


「失礼ね。流石に頼まれた物を勝手に改造する事なんてしないわよ」


「そうか。なら、来るまで待たせて貰うか」


「でも小隊長。そろそろ、小休止が終わりになる時間よ」


「うん? ああ、そうだな。・・・・・・・どんなのか出来たか気になるからな。今日はもうこのまま訓練は終わりにしよう」


「えっ!? でも・・・」


「良いんだ。このまま訓練を再開させた所で、イセリアが開発した試作品の方が気になって集中出来ないだろうからな。それに訓練なんて、明日でも出来る事だ」


「・・・・・・・・・・・」


 鈴猫は何か言いたげな顔をしていた。


「あら、中々見所があるわね。貴方」


 イセリアは何処からか、羽根扇子を出して口元を隠した。


 褒められているのだろうかと思いながらも、信康は何も訊かなかった。


 信康はそのまま、小休止を終えた小隊員達に今日の訓練は終了の旨を知らせた。


 すると小隊員達はいきなり訓練が終ったので、殆どの小隊員は喜んだ。しかし小隊員達は全員、第四訓練場から出て行く者は一人も居なかった。


 第四訓練場に残った小隊員達は、イセリアが開発した試作品に興味が湧いていたみたいだ。何より上官である信康が非常にイセリアへ期待した様子を見せるので、自然と興味を抱いていた。


 小隊員達にそう見られている信康はそんな事を知らず、イセリアに頼んだ代物が来るのを今か今かと待っていた。

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