表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信康放浪記  作者: 雪国竜
第一章
106/397

第102話

 千夜楼を出た信康達は、直ぐにケル地区に来ているヘルムートの下に向かった。


 ヘルムートは繁華街の入り口に近くで、連れて来た傭兵部隊の者達と共に待機していた。


 信康達は合流して、手に入れた情報をヘルムートに報告した。


「それが犯人を匿っていると思われる、娼婦名簿(リスト)か」


 名簿を上から順に見ていく。ある程度見たら「誰か、紙と書く物を」と言って、紙を数十枚とペンを渡されたので、ヘルムートは名簿に書かれた名前を紙に貸し記していく。


 書き記すを止めると、ヘルムートは隊員達に書いた紙を見せる。


「調べる対象が十二人だからな。四人一組になれ。一組ごとに紙を渡す」


 傭兵達は直ぐに四人一組になった。


 ヘルムートはその一組に書き記した紙を渡していく。


 渡された傭兵達は、その紙に書かれた名前を見る。


「へぇ、こいつはまた・・・・・・って、俺の馴染みの女も居るじゃねえか!?」


「俺もだ。最近、どうも愛想が悪いなと思ったけど、まさか男を囲っていたなんてっ」


「この間会った時は、男が居る素振りなんかなかったのに!?」


「俺はこの間一緒に遊んだ時、高い鞄を買ってやったばかりだぞ!?」


「げっ、俺の馴染みもいやがるっ!」


「誰だ? あっ、そいつ俺の馴染みだわ」


「えっ!?・・・じゃあまさかお前が、あいつが前に話していた俺と同業者の包茎野郎なのか?」


「てめっ、ぶっ殺すぞ!?」


 全員が、阿鼻叫喚の悲鳴を上げている。一部では身体的特徴をあげられて殺気だっている隊員達も居た。


「こらっ!? 馴染みの娼婦の名前が挙がっているからと言っても、まだ犯人を匿っているとは断定した訳では無い。そもそもっ、脅されて隠匿を強要されている可能性もあるんだっ! 良いからちょっと落ち着けっ。それとどうしても喧嘩したいなら、兵舎に帰ってからしろ!! ケル地区此処でしたら、民間人にも迷惑になるだろうがっ!!?」


 ヘルムートの一喝で、漸く全員が静まった。


「よし、静かになったな。じゃあ、早速紙に書かれている名前の娼婦が住んでいるアパートに、各自手分けして行け」


「本人が居なかったら、どうするんで?」


「その時は誰か一人、此処に寄越せ。残りはそのアパートを監視しろ」


「監視? 踏み込まなくて良いんですかい?」


「俺が其処に増援と一緒に家宅捜査状を渡すから、その家宅捜査状を大家に見せて入れさせて貰え」


「了解」


「もし、住んでいる住人が居たら「犯人が潜伏していると思われるので、家の中を探させてもらう」と言え。それで素直に探させてくれたら。何も問題は無い。だが、もし断ったら・・・」


 全員が、生唾を飲み込んだ。


「俺が許す。そいつを拘束して、そのまま強制捜査に移行しろっ!!」


「「「了解」」」


 退院達は敬礼して、組ごとに行動した。


 信康達もヘルムートから紙を貰い、捜査に向かった。


「何処から行きますか?」


「取りあえず、上から順に向かうぞ。他の傭兵達も動いているから、会う度に情報を交換していけば、直ぐに終わるだろう」


「本当にグランは居るでしょうか?」


「さてな、それこそ神のみぞ知るだ」


 信康は紙に書かれている、住所に向かう。


 信康と同様の考えている隊員達が居た様で、最初の家には何組かの隊員達と共に捜索したが何も見つからなかった。


 そのまま一緒に行動していき、とうとう後三軒で終わるという所まで来た。


「残りは三軒か」


「これで居なかったら、どうする?」


「その時は、その時で新しく考えるとしよう」


 ティファのそう答えていると、突然悲鳴が上がった。


「悲鳴っ!?」


「あっちの方からだ!」


 信康達は悲鳴が聞こえた方向に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ