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第9話 そして求婚される聖女

 大聖堂から脱出した私たちは、ひとまず人気の無い森に降り立ちました。


「はぁ、はあ……いい気味だったね」


 竜の姿から再び少女の姿に戻ったティアは聖法衣を纏った私を抱きしめます。


「素敵だよ、リーベ。聖女のキミは、やっぱり美しい」

「でもティア、私たちは女同士ではないの?」


 ずっと気になっていたことを私は尋ねました。


「ごめん……黙ってて悪かったんだけど、ボク男なんだ」

「ええ!?」


 目の前の可愛らしい少女から放たれた言葉に私は衝撃を受けました。ティアはしどろもどろになりながら話し始めました。


「だってリーベが可愛い名前を付けてくれたから、ティアって感じの可愛い女の子の方がリーベは怖がらないかなって思ってそんな感じの人間の姿になってみたんだけど、ずっと言い出せなくなっちゃって……それに、やっぱりボクは竜だ。さっきのボクの本当の姿見ただろう? 怖かっただろう? だからやっぱり聖女のリーベには嫌われちゃうんじゃないかなって、それで……」


 私はティアが私のために一生懸命「ティア」になってくれていたのだと悟りました。


「ティア、いいえ、キラ」


 私はティアの本来の名を呼びました。


「私は聖女リベリアとして生まれたけれど、貴方の前ではただのリーベでありたい。だから貴方も竜のキラとしての貴方と、そして私の前ではただのティアであってほしい……それではダメかしら?」

「それはつまり、ボクのお嫁さんになってくれるってこと?」


 ティアの顔が輝きました。やっぱり、この子の笑顔はとても美しい。どんな姿であっても、ティアはティアだ。


「その前に、竜と人は結婚できるのかしら?」

「さあ? 大丈夫なんじゃない?」


 私とティアはくすくす笑いました。


「大竜様がお待ちになっているわ。急ぎましょう」

「うん、しっかり掴まって!」


 ティアは竜の姿に戻ると私をしっかり抱きかかえて飛び立ちました。これから2人なら何でも出来る、そんな気がしました。


≪了≫

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