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第2話 求婚される聖女

「いくら何でもこの国に尽くしている聖女様を追い出すなんて、そんな薄情なことはできないじゃないか」


 私の裁判に突然乱入してきたレムレス殿下は、私の弁護を始めました。昨年、先代の皇帝陛下が死去されました。彼は戴冠式を控えるだけの身の上で、今のこの国の最高権力者と言ってよい男です。


「ここはどうだい、穏当に僕の監視下において追放処分は撤回するということで」

「しかし殿下、この女は竜を生かし、我が国を危険に陥れてます」

「竜なんて聖騎士団がやっつけるよ、それがこの女の罪だなんて聞いて呆れるね」


 レムレス殿下は鎖で戒められている私の前へやってきました。


「こんな姿にされてしまって、哀れな聖女様……今僕が救い出してあげますよ。あなたにお似合いの法衣もすぐに取り戻してあげる」


 そして殿下は私の眼前で宣言しました。


「僕の妃になるって、それだけここで宣言すれば今すぐ君は自由の身だ」


 私は殿下の自信たっぷりな顔を見ました。私と同じ白金色の髪に氷のような薄青の瞳。そこに慈愛は感じられず、ただ弱い者を好き勝手弄ぶ性悪な男としか私には思えませんでした。


「その申し出、お断りさせていただきます」

「何だって!?」


 断られると思っていなかった殿下は狼狽えているようです。


「私は神に仕えるために生まれた身。私の身体を自由に出来るのは神のみです。それは皇太子と言えども覆らない定めでございます」


 大聖堂がしんと静まりかえった。皇太子が面前で振られる形になったのだ。顔を真っ赤にした殿下は大声で叫びました。


「ふざけるなこの魔女め! ……決めた、司祭長。この魔女を竜の生け贄に捧げろ。これは勅令だ」


 殿下はそう吐き捨てると、大聖堂を後にしました。


「判決は出た。執行は明日後。せいぜい神への祈りを捧げておくんだな」


 司祭長はおおよそ神職らしからぬ台詞で法廷を締めました。国教会の聖騎士が、私の身柄を教会の地下牢へと引き立てます。


 一体私が何の罪を犯したと言うの……?


 聖女の力の源である聖法衣を奪われて、抵抗の出来ない私は大人しく従う他ありませんでした。


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