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令和版 源氏物語(仮題)

常花の庭に君は眠る

作者: 日向 葵

「誰?」

 見上げた窓にかかる白いカーテン越しに人影が問う。

 屈んで人様の庭へ不法侵入を図っていた俺は、ぎくりと体を強張らせた。やばい。

 三十六計逃げるに如かず。逃走をはかるべく腰を上げる。

「待って」

 薄い布の向こう、少女の声が俺を引き留めようとする。

「あなたの名前は?」



「へぇ、罰ゲームで」

 カーテンを開いた窓越しに、「幽霊の花屋敷」に住まう少女が面白そうに声をあげた。

 幽霊の花屋敷。建物は古くどの窓もカーテンで鎖され人の気配は感じられず、それなのに広い庭は手入れが行き届き花々が常に咲き乱れている。

 ここいらの子供は、小学生あたりで冬でも花が満開だとか、季節外れの花が咲いている家があるだとかの噂話を小耳に挟むようになり、ついで不思議さと不気味さにふれた子はいつしか「幽霊の花屋敷」との呼び名を覚える。

 昼休み、友人の藤井を筆頭にフリースロー対決をした。この手の勝負で俺は負け知らずだったが、流石に藤井が「最終兵器」と引きずり出したバスケ部期待の星の原に初めての敗北を喫した。どんな手を使ってでも藤井その他は白星が続く俺を負かしたかったらしい。

 そうして自分が勝ったわけでもないのに藤井は得意満面で俺に罰ゲームを言い渡した。「幽霊の花屋敷から花を摘んでこい」と。

 小学生の肝試しかよと俺を含むその場にいた全員は呆れたが、割と小学生の藤井は気にしない。かくして俺は人気の無い裏庭の柵を越えた。

 この家の娘、福部(ゆう)()に言い訳と謝罪まじりの事のあらましを丁寧に説明し終えた俺は、見上げるようにしてその顔を見つめた。

 やや面長の顔は透き通るように白く、目は大きめでちょっとあどけない。窓枠に両腕を載せるようにしてこちらを覗きこむ福部夕花は、侵入者の俺に躊躇することもなく話をふった。

「光くんは、紫雲高校の人?」

 五月に入り陽気な気候が続きブレザーを脱ぐ生徒も増えてきたこの頃。俺もそのうちの一人で、上は白いシャツだけだ。ブレザーと違い胸でなく腕に校章が小さく縫い取られているが、この距離では分からないだろう。彼女の質問に俺は肯定した。

「そっか。いいなぁ、学校楽しい?」

「福部は行ってないのか?」

「福部じゃなくて夕花」

 ここにきて彼女は声のトーンを少しだけ落とし、初めて咎めるような雰囲気を出した。

「夕花?」

「そう。名前で呼んで。さんとかもいらない」

 初対面の俺をためらわずに下の名前で君付けし、さらに自分には呼び捨てを求める。しかしそれを馴れ馴れしいと不快を覚えるより人懐こいと受け止めるのは、丸い目が幼く、常に口角があがった顔は邪気の無い子供のようだからか。憎まれるより愛される方が得意そうだ。

「夕花は学校どうしてるんだ?」

 改めて問う。

「行ってない。病気のせいで、受験も諦めた」

 聞けば同い年だった。色白なのは病気や闘病生活に由来しているのかもしれない。

「ねぇ、光くん」

 夕花が目を細める。

「不法侵入をして、悪いと思ってるんでしょ?」

「それはもう」

「じゃあさ、お詫びに話し相手になってよ。放課後私に会いに来て?」

 詫びを求めるのに語尾をあげまるでおねだりのように口にする夕花。そのあざとさは、無意識の産物かそれとも。

「これは約束の証」

 一旦窓辺を離れた彼女は、片手に花を携え戻ってきた。差し出されたそれを受け取りくるりと弄ぶ。花びらの大きな白い花だった。


 果たして翌日藤井に無事証拠を預け、俺はその日から彼女の元へ通うようになった。週に二日は部活のため、一日おきに会う約束で今日も今日とて足を運ぶ。

「光くんは何部なの?」

「ディベート部」

 頭上の窓から降ってくる声を、俺は壁に寄りかかりつつしゃがんで受け取る。

「へぇ、どんなことしてるの?」

「二つのグループに分かれて、一つのテーマを討論して、その判定をして……って感じ」

「たとえばどんな内容?」

「昨日は五十音の中で使えなくなったら困るのは「あ」か「ん」のどちらかを討論した」

「おもしろそう。光くんはどっちだったの?」

「俺は「あ」」

 平和な高校生の私生活なんてそうそう代わり映えしない。授業、先生、クラスメイトと友人、部活。

 でも夕花は一介の高校生の、他愛ない日常をなんでも楽しそうに聞いては感想を述べ、次々に質問を投げかけてきた。打てば響くとはこんな感じか。おかげで打ち解けるのに時間はかからなかった。

 会話が退屈ではないかと内心一抹の不安を抱えながら大きな窓辺へと通い詰めていたが、その不安もいつしか霧散しここに来るのに心を弾ませる自分がいた。

 ふ、と会話が途切れる瞬間がある。そんな時は決まって夕花を見上げる。

 初夏の黄昏時の黄色い日差しも届かない裏庭では、夕花の白い横顔は陶器のように滑らかで手に馴染まない冷たさを宿しているようだ。

「なあに?」

 視線に気付いた夕花があどけない笑みをたたえる。

 義務教育も病気で休みがちで、今も昔も人との交流が少なかったという夕花は、年の割に挙動が幼い。時々そのいとけなさに心臓が狭くなる。

「いや、見惚れていただけ」

 美人が歩く様を百合に喩える慣用表現がある。けれど俺は、ぞっとするほど病的に細い腕を窓枠から垂らし、視線を結ぼうと華奢な首を楚々とした角度に傾け少し俯く夕花の静止した姿にこそ百合を想起した。

 ずっと見ていられそうな佇まい。そんな魅力に初めて出会った。俺に全てを預けることを厭わない甘えた雰囲気を出しているのに、俺が触れた先から砕けてしまいそうなか弱い少女。会えば会うほど優しくしたいし、望みに応えてやりたくなる。

「お世辞がじょうず」

「本音だよ。夕花がクラスにいれば男子はほっとかない」

 学校や家では流れない和やかな時間に俺は夢中だった。



「ねぇねぇ、光くんって彼女いるんでしょ?」

「なんで断定口調?」

 その日は珍しく、夕花から話題をふってきた。面喰いつつこれまでの会話をさらうが、俺の彼女姫川(なつ)()について触れた記憶はない。

「だってこんなにかっこよくて、頭も良いならいない方が不自然でしょう?」

「お褒めいただき光栄です」

「だからその人について話してよ」

 真上に首を上げるとにこにことした顔。どうしてそんなに楽し気なのか。

「だめ?」

 口を開かないとはちっとも考えていない期待の眼差しに、話さなければならない気持ちになってくる。

「駄目ではないけど」

「一言で言うとどんな人?」

「才色兼備」

「わ、お似合いなんだ」

 俺の言葉に偽りはない。

 入学後早々にお付き合いをさせてもらっている夏葵さんは、紫雲高校のマドンナ(お姫様)との通称に相応しい美貌の持ち主だ。

 更に夏葵さんが姫扱いされるのは、その見た目からだけではない。

 弓道部ではインターハイ出場の実力を発揮し、試験は常に五本の指に入る結果を出す。模試の結果も、全国レベルで上位に入る優等生らしい。高校生らしからぬ乗馬・茶道・琴などの心得もあると本人は口にしていた。その完璧な何もかもに誰もが憧れ、尊敬し、「お姫様」と呼ぶ。

 夏葵さんは私生活について核心にふれさせないよう徹底している雰囲気があるし、家柄についての噂は流れてこないが俺はどこかのお嬢さんじゃないかと推測している。

 とはいえ夏葵さん本人を知らない人に話す内容ではないだろう。とりあえず当たり障りのない情報を搔い摘む。

「一つ年上の弓道部で、今は夏の大会出場目指して練習に励んでいる」

 だから最近は一緒に下校できず、代わりに俺は応援の念をひっそり飛ばしている。夏葵さんの実力なら出場はそう難くないだろうが。

「運動部なんだ。光くんは運動得意なの?」

「体育で扱う種目なら得意な方だけど、夏葵さんみたいに乗馬や弓術はやったことがない」

「なつきさんっていうんだ」

 見ず知らずの人の名前を口ずさむように紡ぐ夕花が不思議でならない。思わず「こんな話で楽しい?」と聞く。

「楽しいよ。女の子は恋バナが好きでしょう?」

「ならいいんだけど」

 学校にも通えぬ病弱な女の子に、日を空けず興味のある話題を提供するのはなかなか大変だ。夕花が楽しめるならこちらとしては一応安心できる。

「なつきさんはキレイ系? かわいい系?」

「綺麗系」

 夏葵さんの姿を思い描く必要も暇もないくらい即答する。

 真っ直ぐ腰まで伸びた黒髪は、一本も抜かりなく手入れされ太陽の下艶めいている。夕花とは対極の吊り目であどけなさとは無縁だが、はっきりとした二重が印象的で、黒く長い睫毛は隙間なく丁寧に並びその才覚に相応しい理知的な雰囲気を醸す。女子高生の流行り廃りとは無関係に手入れされた新月のように細い眉も賢そうだ。

 夏葵さんも色白だが、夕花が血の気のない不健康な白さなのに対して彼女の白さは生来の血の気の通った色だ。

「なつきさんには私のこと言ってる?」

「言ってない。必要も無い」

 夏葵さんはその美しさゆえ少々奔放というか、どうも恋愛関係は抜きにしても男の影がちらつく人で、一般的に付き合うには向いていない。しかし俺も秋波を送られることが多いため、お互い自分が相手の本命である自覚を持ちながら異性との友情をあちこちで築くという、ちょっとばかし変則的な交際を継続していた。だから夕花のことなど、夏葵さんが知っても知らなくても大した問題じゃないのだ。

「信用されてるんだ」

「まあ」

 形は多少いびつかもしれないが、充分信頼の枠には収まるだろう。

「いいなぁ、私も恋人ほしいな」

 ずっと家に閉じこもっている夕花に恋愛は難しいはずだ。同年代の話に憧れが募ったようで彼女は年相応の願望を口にした。

「夕花のタイプは?」

 恋愛の話となればこの手の質問はよくあるだろう。深く考えず、反射のように話の接ぎ穂にした。

「光くん」

「うん」

 最初、呼びかけられたのだと思った。

「だから、光くん」

「うん?」

「付き合うんだったら、光くんがいいな」

 正面を向いていた顔を勢いよく振り仰ぐ。

「だめ?」

「駄目だろ」

 悪意の見当たらない表情を凝視する。

「だめかぁ、残念。じゃあ、私のために花畑を作ってくれる人」

「は? 何が?」

「何って、好きなタイプの話をしてたでしょ?」

「ああ、うんそうか」

 同じ話題のはずだが、そうとは思えないほどの落差に困惑してしまった。反対に夕花はいたって平然としていて、形だけでもとりあえず納得しておく。

「花が好きなのか?」

「うん。前は私も庭の手入れをしてたんだけど、もうそれもできなくなっちゃったから、余計に。お花もらったらきっと嬉しい」

夕花の部屋から見える景色には何も咲いていない。打って変わって表は四季折々の花が咲き誇っているというのに。その対照が余計にもの悲しさを増す。



 一日おいて今日も律儀に夕花のもとへ来た。が、今までなら開け放たれていた窓が閉ざされている。

 これまでにないことだったのでどうしようか逡巡する。待つか、帰るか。少々悩んで、帰るにしても無言では後々気掛かりになりそうだったので、ためしにガラスを拳で小さく連続で小突いた。

 無反応。諦めきれずもう一度ノックすれば、あの日のようにカーテンの奥で人影が揺れた。

 やがてカーテンがめくられ夕花の顔が垣間見える。異変はすぐに察せられた。普段生白い頬は真っ赤に上気していた。

「具合が悪かったのか、ごめん」

 紅潮した頬はだからといって健康には映らない。彼女が発熱している事実を伝えてくる。

「うん、せっかく来てくれたのにごめん……」

 最小限の隙間から聞き取れないほどの声量で謝罪が届く。不調で声を張れないのだろう。

「気にするな、しっかり休んでまた会おう。次はいつ来ればいい?」

 約束を取り付けようと気軽に問えば、夕花は表情を曇らせた。

「たぶんしばらくは無理だから……もう来なくていいよ」




 絶縁宣言から二日後、夏葵さんを迎えに彼女のクラスに足を運んだ。部活が休みなのを見越して久しぶりに一緒に帰ろうと誘ったのだ。

 教室後方のドアから覗きこめば、こちらに背中を向ける夏葵さんは数人の女子と机を寄せお喋りに興じていた。その内の一人と視線がぶつかり、反射で微笑む。俺の素性は十分知れ渡っているらしく、微笑み返してくれた彼女は夏葵さんの肩を叩いて俺を指差した。首を後ろに回し俺の来訪に気付いた夏葵さんが手招く。

「帰らないんですか?」

「その前にちょっと手伝って」

 入室して背面から夏葵さんの手元をのぞけば、机の上には色折紙やシール、のりなどの文具が散らかっていた。ただ単にお喋りに花を咲かせていただけでなく何か工作をしていたようだ。

「それ、何ですか」

 隣の座席をちょっと移動させてもらい並んで座る。

「風車。今度ボランティアで老人ホーム行くから、お土産に作ってるのを手伝って貰ってた」

 その手が握るのは、赤い風車。四枚の羽には丸いシールが貼られ、回転したら彩りを添えるよう出来ている。

「分かりました。作り方教えてください」

 自作した経験はないが青い折紙を手元に寄せて手を貸すことを了承する。

 カッターやラジオペンチを使うのは実に久しぶりで、いざ教えられた手順をなぞっても一つ目は慣れない感じが風車から如実にあふれていた。

 初めて知ったが、風車を作るには必要な道具が意外にも多く、夏葵さんは針金やビーズなんかも用意していた。紙の端切れや割箸、のりのキャップなどがとっちらかる机に小学校の図工の授業を思い出す。

 折紙を使い切る頃には手もスムーズに動き随分様になっていた。

「ありがとう。助かった」

 完成品を丁寧に紙袋に収めながら夏葵さんが礼を言う。「お礼に、よければ貰ってく?」と作ったばかりの風車を要るか聞かれたので、その場にいた全員が折角だから貰うことにした。俺は白を選んだ。

 この小さなおもちゃを手にするのもいつぶりか。思わずふうっと息を吐き羽を回す。

 白い風車は一見味気ないが、回転すると羽のシールが残像として混ざり合い新たな色を生み出した。幼い頃も、手の中でくるくると回る見た目からは想像つかないカラフルな色彩にはしゃいだ。

 「きれい、花みたい」「だね」夏葵さんの友人も、素直に感嘆の声をあげ俺以上にはしゃいで喜んでいる。

 ――――あ。

 その一言に、俺は閃いた。


 灰色の雲が頭上に広がる。本州もいよいよ入梅宣言が下され、天気予報では明日の日付欄から暫く雨のマークが並んでいた。何とか間に合ったようだと胸を撫で下ろしながら雨模様の空の下を進む。

 こんこん。微かな祈りを込めて硝子を叩けば、白いカーテンに細い隙間が生まれる。そこから僅かに覗いた黒目と視線がかち合い、透明な狭間の向こうそれは大きく見開かれた。

「光? どうして……」

 頼りなげな痩せた腕が慌てたように鍵に手をかける。

「花を贈りに」

 少しこけた頬に嫌な気配を覚えながら青白い顔を見上げ堂々と告げる。

「花……?」

 ガラリと窓を開けた瞬間、雨の気配を孕んだ湿った風が吹きカーテンがふわりと膨らむ。同時に、俺の背後から軽やかな音が聞こえる。

「かざ、ぐるま……」

 表と違って殺風景な裏庭に、鮮やかな色彩が広がっていた。正体は、夕花が口にしたとおり風車。持ち手の割箸を地面に刺し、カラカラと風の流れるままに羽を回し花畑のような光景を生み出した。

「どうしたの、これ」

「作った」

 風車を花に見立てて夕花に贈ろうと決めた俺は、あの後すぐ寄り道して必要な道具を買い集めた。特に折紙は見て楽しめるよう何色も揃えた。

 自宅で黙々と作業に励んでいる途中、ふと風車は四枚羽だけじゃないことを思い出し試しに調べたところ、八重の作り方を見つけた。他に五枚羽や花の形をあしらったものも。基本の手順は四枚羽と変わらないので、夕花が望む光景が少しでも華やかになるよう指先を動かし続けた。

「きれい」

 灰色に薄暗い景色の中、場違いな程彩り豊かな小さな世界を夕花はいつもみたいに笑って受け止めてくれた。

「花について詳しくなったら、今度はちゃんと夕花が好きなのを持ってくるから。だから最後なんて勝手に決めないで――――」

「光くん」

 言葉を遮られたのも、弦のように張り詰めた夕花の声も初めてだった。

「もうずっと、好きだよ」

 朝露のような涙が夕花の生気の無い頬を滑る。痛々しいのに何故か目が離せないのは、儚さと表裏一体だから。虹、雪、花火、流れ星。美しいものは人の心を惹き付けてあっという間に消えるのだ。きっと――――……




 梅雨の合間の晴れ間、夏葵さんと久しぶりに肩を並べて下校した。向暑の候、夕方と言われる時間帯でも日差しは厳しい。

 途中交差点で赤信号になったので待つ。高校から下った先の交差点は真っ直ぐ進めば駅、右に曲がれば幽霊の花屋敷に続く。

 横断歩道の手前で足を止めながらとりとめもない話をしていてふと対向車線に目をやった時、それに気付いた。

 縦長の看板。昨日までは確かに無かった白いシンプルなそれには、黒々とした矢印と短い文言がはっきり書かれていた。

「福部家式場」

 その文字を視認して、胸の中に湧いたのは。

 ――――ああ、死んだのか。

 諦めのような納得だった。

 あの白い花のように可憐でよわよわしい少女が、近く死ぬのは最後の逢瀬からなんとなく勘付いていた。

「光?」

 信号の色が変わり車道へ踏み出した夏葵さんが、動かない俺を気にして振り返る。

「あ、すみません」

 数歩分離れたその背に追いつく。

「夏葵さん、今度花屋に一緒に行きませんか。いろいろ教えてほしいです」

 言うまでもなく夏葵さんは華道も嗜んでおり指導を乞うには打って付けだ。

「いいけど、急にどうしたの。気になる子にでもあげる?」

 唐突な申し出にいたずらっぽく笑ってこちらを見上げる夏葵さん。

「いえ、部屋に飾ろうと思って」

 夕花以外の親族からすれば俺はまったくの部外者だ。式への参列はできないし、福部家の菩提寺も知らないから墓参りもかなわない。

「そう。どんな花がいい?」

「白い花がいいです」

 それなら一人、彼女に似た花を側に悼もう。

源氏物語を現代を舞台に再現したいと長年思ってましたが、書き始めると四苦八苦しました。

最初のメモとは大分違った話に仕上がりましたが、半ば諦めつつ完成とします。

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