戦闘の予兆
翌日、予定通り冒険者ギルドで集合したのち、ダンジョンに向かうことになった。道中、リーダーのアベルさんから、簡単にパーティーメンバーの紹介とダンジョン探索における役割について教えてもらった。
リーダーのアベルさんは剣士でパーティーの最大火力のアタッカー役。副リーダーのジルさんは攻撃、防御、支援を行う万能の魔法使いでパーティーの大黒柱。ガスさんは、盾使いで前線を維持するタンク役。アンジュさんは継戦能力を上げ,万が一の事態を避ける治癒師。リリーさんは索敵や敵の撹乱を担う盗賊。
戦闘の時は、パーティーの連携を損なわないように2人の後衛に挟まれる形になる。
移動の時は、前衛と後衛の間にいることになった。今回の目標は復活草がある地点まで探索し、採取することだ。安全マージンをしっかりととり、無理をしない探索になった。
ダンジョン探索というのに危険をほとんど感じない進行だった。黄金旅団は1人ひとりがずば抜けて強いとは言えないが、優れた連携で強力なモンスターを苦もなく倒している。かといって一人ひとりが弱いというわけでない、パーティーの総合力が高いということである。
順調な探索で復活草が生息している地点まであと少しというところで大きな事件が起きた。
通常とは異なるモンスターが奥から襲ってきた。このモンスターは他のモンスターとは明らかに異質でこのダンジョンで生まれる一般的な狼系とは似つかわしくない様相を持ちつつ、戦闘力が段違いであった。また、最大の違いは狼系のモンスターを手下と従えている点だ。
「あれは、なんだ? 見たことないぞ」
アベルは背中に冷や汗をかきながら言った。
「俺は知らん。特殊個体である今年からからん。」
ガスは油断せず、神経を研ぎ澄ましてそれを見た。
「私も知らない。」
アンジェは恐怖しながらも何が起きても対処できるように治癒魔法の準備をした。
「どうする。早くしないと!」
リリーは斥候として先行していたため、判断を仰いだ。
「確かに、戦うか逃げるか早く判断しなければ、、、、死んでしまう。」
ジルは、戦闘でも逃げでも対処できる魔法を準備しつつ、現実を示した。
テオは恐怖のあまり体の自由がきかず、死という負のオーラに囚われていた。
アベルはこれまでの人生で最大の死の危険を身に受け、考えを巡らせた。アベルたち黄金旅団は長年の経験で冒険者として大成したパーティーである。その経験から一つの希望を見出した。
「テオ君! あれを鑑定してくれ!」
アベルは情報こそが冒険において最大の武器であることを知っていた。
しかし、アベルの声はテオには届いていなかった。テオは死の恐怖で感覚が麻痺し、周りが見れなくなっていた。
「テオ! しっかりしろ!」
アベルはテオの肩をたたき、目を覗いてきた。
怖い。ここで死んでしまうのか。まだ、夢のスタートラインにも立てていないのに。この探索で何かつかめると思ってたのに。ああ、ここで終わるのか。
濃厚な死の恐怖を前にして諦めかけていたとき、体をたたかれた。目の前には、アベルがいた。
「まだ、諦めるんじゃない。君の鑑定であれを見てくれ、もしかしたらいい情報がわかるかもしれない。」
そうだ。アベルさんの言う通りだ。まだ、諦めるには早い。僕には鑑定がある。これを駆使すれば助かるかもしれない。
「すいません。ご迷惑かけました。鑑定します。」
「よかった。君の力がなければ、こちらも困るとこだった。」
アベルさんは笑った。
こんな時だというに笑えるのか。なんて強い人なんだろう。
テオはアベルの信頼とか細い希望の光を胸に鑑定した。
齎された情報は、理解するのに苦労するものだった。
名称:狼帝
スキル:感覚同調(配下のモンスターの感覚と同調できる)
狂争Lv.5(敵を倒すことでステータスを強化、狂暴化する)
感覚鈍化Lv.2(感覚を鈍化せることで痛みを和らげる)
恐怖支配Lv.1(相手を恐怖で支配できる)
魔物支配Lv.2(屈服させたモンスターを使役可能)
ステータス:攻撃力 250
防御力 120
俊敏性 50
魔力 0
魔力耐性 80
装備:なし
特徴:狼王の特殊個体。狼王が人型に進化し、巨大化、狂暴化した。
自身より下の狼系モンスターを使役できる。
どういうことだ。この情報は、、、ステータスとはなんだ、スキルについても。
まったくわからない。僕自身はどうなってるんだ。
名前:テオ
スキル;鑑定Lv.2(+アクセス権限を獲得(一部のステータス・スキルの正体を可視化))
ステータス:攻撃力 10
防御力 10
俊敏性 25
魔力 50
魔力耐性 15
装備:なし
特徴:知のアクセス権限を獲得。???????X(+Y)%の未来。
次話 スキルアップ
これからやって欲しい話などありましたら、
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ーー作者からのお願いーー
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