5月2日:酔っ払い
少し更新遅れてすみません!
今話はほのぼのと言った気がしますが、よくわからない感じになってしまいました!が、どうか読んでいって頂けたら嬉しいです。
「……えへへ……それぶーんぶーん……」
あれから僕は、緋澪先輩を背負って自分の家まで何とか帰ってきた。
あの連中に圧し掛かられていた剛貴は、とりあえず引っ張り出して、後は大丈夫そうだったから放っておいた。
とにかく何よりもこの状況……
「お花畑が見えるよぉ?……ふふ……それー!……あ……死んじゃった……」
何だか……頭が逝ってるみたいなんですけど……
「……だから……起きてるってば!」
とりあえず大事には至ってないみたいだけど、……いや、ある意味大事か。
「……ん……夜音……クン……?」
「起きました……?」
緋澪先輩は僕の顔を見るや否や、表情が一瞬固まり、言った。
「う……うん……ご、ごめんね……」
「……暫く休んだら、自分で帰ってもらえるとありがたいです。……失礼します」
見たくはなかった。僕に恐れる人の姿を。何度も見たことはあった。両親すら僕に恐怖の視線を向けた。……それでも僕は我慢できた。
……でも、何故だろうか。緋澪先輩がその目を向けてきたとき、我慢できる自信がない。
一生立ち直れないとすら思う。……でも、もう僕は緋澪先輩とは関係ない。
僕は部屋のドアへと足早に向かい、ノブに手をかけた瞬間。
「待ってよ!」
声が若干震えている……そんな気がする。
「あの、ここまで連れてきてくれてありがとう! あの後どうなった……の?」
「……どういう意味ですか?」
僕は足を止めて答えた。緋澪先輩の言葉に不自然な部分があったからだ。
「私、呪術を使うと、お酒に酔ったみたいになっちゃうみたいで……さっきまでのことよく覚えてないの!」
「そんな……? 意味がわかりません」
「私もわかんない! けど、そうなの! だから、何があったの?」
「……すみません……失礼します」
僕は逃げるように部屋を出た。一瞬……覚えていないという緋澪先輩の言葉に漬け込んで、当たり前のように緋澪先輩と接しようとしている自分に気付いたからだ。またいつこんなことがあるかもわからないんだ。もう……話さないほうがいい。きっと……
「だー! もう! 戻ってきて!」
緋澪先輩がドアの先から怒鳴った。僕はその声を聞いて、部屋から離れようとした。
「私、別に夜音クンのこと怖いなんて思ってないから! ちょっとは、驚いたけど……それでも、助けてくれたのには感謝してるの! 『こんなこと』でお別れ?!」
僕は立ち止まっていた。そして笑ってしまっていた。
『さっきまでのことは覚えてない』なんて、しれっとした顔で言っておいて、一分経たないうちにさっきの発言が全部演技だったことを暴露して。……まったくこの人は何をやりたいんだか……
「操の下の……形……い……」
ボソボソと緋澪先輩の声が聞こえたかと思うと、僕の体は言うことを効かなくなった。
「悪いけど、無理にでも話聞かせてもらうわね!」
結局僕の部屋の中。緋澪先輩は僕を縛りつけたままにまた、
「それー、水の上にジャンプをすれば地獄行きー……」
最初の状態に戻ってしまった。どうやら呪術を使うと酔っ払うというのは本当らしい。これは酔っ払っているというか、脳が溶けていると言ったほうが正しい気もするけど。
「……ごほん。つまり君はどうしたいの?」
いつしか正気に戻った緋澪先輩が、動けない僕に言った。
「……」
僕は俯いて何も答えない。自分でも……わからないから。
「私としてはさ、さっきのはただ依頼をこなしただけであって、明日も、明後日も、その次も、その次も、色んな依頼を一緒にこなしていこうと思ってるんだよ?」
「……」
「もしかして……夜音クン、私のこと嫌い?」
僕はハッと顔を上げた。
「そ……」
それは違います! ……咄嗟に大声で言いそうになったけど、恥ずかしいことを言っているような気がして、ただ首を横に振った。
「私も夜音クンのこと嫌いじゃないわ。それは、最初から今この瞬間まで変わってない」
緋澪先輩の目は、いつに無く真剣だ。僕が何度も見てきた恐怖の目線とはまったく違う、ちゃんと芯の通った目で、僕を真っ直ぐと見ていた。
「よかったらさ、何があったのか話してくれない?」
僕は、緋澪先輩の呪術の効力も働いてか、口を開いた。
こんばんは、甘味です。
先日少し地元を離れていまして、更新遅れてしまいました。……と、私事を持ち出してすみません。
ランキング、読んで頂けただけでも嬉しいのですが、
もし気に入っていただけたのなら、クリックをして頂けると、もっと嬉しいです!
どうぞ、たまに目についたときにでも、よろしくお願いします。