表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

5月2日:尾行

「こっちよ、夜音クン! 早く!」

緋澪先輩が、小さな声で僕を呼びながら、腕をブンブン振って僕を手招きした。

「っていうか……何で緋澪先輩までついてきてるんですか?」

「だって、尾行なんて面白いこと、一人でやるなんてずるいわ!」

そう、僕たちは今、日向さんの例の彼を尾行しているところだった。

名前は、後藤剛貴ごとうごうきと言う。背が高く体格もかなりいい。怯えるものなんか何もなさそうだけど……

「……高也、来たぞ」

学校から尾行を始めて、かなり離れた神社。僕たちが少し離れた木陰に身を隠していると、そこで彼は立ち止まり声を出した。声は若干震えている。

「おう、よく来たなー。ビビって来ないと思ってたんだが」

「……あぁ」

「んじゃとりあえず……」

緋澪先輩は目の前の光景に息を飲んだ。神社の裏から、十数人の男たちが鉄パイプやらバットやら、物騒なものを持って現れたのだ。

「これじゃまるで……」

緋澪先輩が、恐ろしそうに見ている。無理も無い、これは……リンチだ。

「……やれ」

高也と呼ばれた男が言うと、男たちがニヤニヤと笑いながら剛貴に近づいた。

彼は手を握り締めながら目を瞑った。

「嘘……」

次の瞬間、剛貴は地面に投げ飛ばされ、赤いものが飛び散った。

「夜音クン! 何とかできないの?!」

緋澪先輩は完全に動転した表情で僕に尋ねた。……そんな無茶な……

「緋澪先輩、ここから離れましょう。ここに居たら僕たちまで危ないです」

「でも……」

「早く」

僕は緋澪先輩の手を引いてその場を離れた。

ある程度神社から離れたところで、緋澪先輩は足を止めていった。

「夜音クン、放っておくの?!」

「あの中に入っていったところでどうしようもないでしょう? あの人数相手じゃ。それに……あの、高也って呼ばれていた奴。以前に聞いたことがあるんですが、あいつはかなりやばいらしいです……何で彼があんなのと関わってるのかはわかりませんけど……」

「やっぱり助けに行こ!」

この人は何を聞いてたんだ……

「こんなことにばっかりやけにこだわりますね……」

「当たり前でしょ! 私による世界平和その他諸々のための部活、それが呪術部なんだから!人助けくらいしなくてどうするの!」

まったくこの人は何を……

「いいですか? どちらかというとあれは警察沙汰でしょう? 僕たちが首を突っ込んでも意味がないんです」

「だからって、今放っておいたら、かなりやばい状況だったじゃない! ……大丈夫、私にいい作戦があるの」

「作戦……?」

「とにかく、私に任せて! 夜音クンは少し手伝うだけでいいから!」

……凄く不安なんですけど……

しかし、緋澪先輩の目はいつに無く本気……のように見える。

「ついてきてね!」

緋澪先輩は僕を置いて、神社の方向へと戻っていった。

「……そんな……」

正直、絶対に行きたくない。

怪我とか、そういう問題ではない。とにかく、僕があの場に行くことで、僕はやっと手に入れた何かを失う。

……最初からこの手の話だとわかっていれば、僕一人で来て、問題なく解決できたのに。

僕もてっきり緋澪先輩が言うとおり、浮気か何かと思ってしまっていた。

もう……帰ってしまおうか。怖かったと言ってしまえばそれで済むはずだ……

……。

「拒否権はなし! よ」

不意に僕の頭に、笑顔でそう言う緋澪先輩が浮かんだ。

「……そうですか」

僕は、既に緋澪先輩の姿は見えなくなった神社への道へと走り出した。





こんばんは、甘味です!

シリアスな感じですが、シリアスを書いてしまうと、所謂……中二な雰囲気になってしまうので、ちょっと見ている方も若干引いてらっしゃるんじゃないかと、かなりビクビクしております。。


でも、最初から考えてた絶対に必要な設定(?)が残されているので、頑張りますよ!


でも次話は少し小休止。番外編をお届けします!


それでは、次話もどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ