表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社MPD  作者: 名取
秘密結社MPD
6/139




「秘密結社SSM、って知ってる?」



 ダイニングで、3人でミレの作ってくれたオムライスとサラダを囲み、会話をしていると、ユウと名乗った例の男が聞きなれないワードを出してきた。

「SSM? それはまたなんの精神病の名前なの?」

「いやこれは違うよリアちゃん? これは、Secret Society Murderersの略。日本語で言うと、『秘密結社・秘密結社殺し』だね」

「ややこしい」

「秘密結社を探し出しては、メンバーを片っ端から殺していく……そんな恐ろしい結社があるんだって」

 オムライスをもぐもぐとやりながら、ミレが声をあげた。

「え、それやばくね? マジ困るわ」

「そうだよねー」

 僕ら多重人格者は、基本的に自分しか愛せないからねぇ。

 そう言うとユウはナイフとフォークを手に取り、付け合わせのブロッコリーと人参を器用に切り始めた。

「チームワークとかネットワークとか、壊滅的にないから。我らが頼みの綱、天下の会長様がやられないことを祈るばかりだよ」

「いや、まず自分の心配しろよ、ユウ。おめー、この世で一番恨みを買ってるに等しい職業してんだからよ」

「僕? 僕は返り討ちにするから大丈夫でーす」

 ひらひらとナイフを振るユウに、私は尋ねる。

「何もしてないのに殺すの? その人たちは」

「ん? まあ、たぶんね。でも過去に秘密結社に何かされて、それで逆恨みしてるってこともあるのかも。あるいはそんな恨みなんてなくて、社会不適合者に秘密結社があるという時点で気に食わないから、殺してるだけなのかもしれないけど……だからとにかく、変な人に会ったら気をつけるんだよ?」

 すると突然、ユウはミレにナイフを向けた。

「それとミレ、僕は何もあの病院にいた全員を殺してはいないぞ! ちゃんと人気の無いところで、リアちゃんのご両親だけ殺りました!」

「え、じゃ本物の医者は?」

「眠らせただけですー! 無事ですー!」

 もー、すぐ話に尾びれがつきまくるんだからこの秘密結社はー、とユウはスプーンに持ち替えてオムライスをがっつく。

「あー、やっぱりおいしー、ミレの作ったご飯!」

「……」

 それを聞いて、なんとなく私も、オムライスを口に運ぶ。確かに、今まで食べたどのオムライスより、ずっと美味しかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ