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『リア。お前はこの家に生まれたからには、お人形みたいに生きていくしかないんだ』
冷たい皿。蛍光灯を反射する、テーブルの上の銀食器。
昨日は箸と丼だったのに、今日はなんで外国風なんだろう。
『美味いか?』
お父さんにそう言われて、慌ててフォークを握り、料理を口に詰め込んだ。
でも、あれ?
どうしてか、噛んでも噛んでも、柔らかくならない。
というか、私は今、何を食べたの?
『美味いか? と聞いているんだよ』
そう言われた途端、冷や汗が吹き出し、心臓の鼓動が早くなる。また一口、詰め込んだ。けれど、やっぱり飲み込めない。
苦しさに流れてきた涙を、父が笑った。
『泣いてどうするんだ? 泣いたって、誰も助けてくれないぞ』
『お母、さんは?』
『母さんなら』
父が皿を指差した。すると、皿の上の何やらわからないものが、赤黒く湿った何かに変わり、その中に、何か丸いものが浮かんできた。
人の、眼球。
『今、お前が食べているだろう?』
「は、」
息苦しさに、目が覚める。
夢。
「……」
私は起きた後も、しばらくぼうっと、見慣れぬ天井を眺めていた。おそらくはもうこの世にいない、父と母のことを思い出しながら。