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どうしてこんなことになってしまったのか——
舞い散る血飛沫と、焼け付くような胸の痛み。
世界がゆっくりと動き、右手から銃がこぼれ落ちた。
ああ、本当にどうしてこんなことに……
「ごめんね、お兄さん」
背後から、獲物だったはずの男が囁く声が聞こえた。
「君に恨みはないけど、これも仕事だから」
首に当たる刃の冷たさに、諦めて、空を仰ぐ。星ひとつない都会の夜空を彩るように、赤い血がまた飛び散った。
ああ。
薄れていく意識の中で、俺は生まれて初めて、泣きたいような気持ちになる。
こんなことになるのなら、あの時、あいつにちゃんと話してやればよかった。
俺のずっと隠していた、秘密の話を。