93 対策と実力
あと10日。それを聞いて俺は謎のやる気に満ち溢れていた。
店から宿に帰った後にサーラと話をした。
「聞くけど、サーラってまともに戦えるの?」
「失礼だなぁ。いくらリーダーが強くて戦ってくれているとしても、僕でも戦えるよ。一応、これでも魔法は使えるし、運動神経もいい方なんだよ」
「わかった。なら、安心して明日から対策ができるな」
「え?なに?」
「なにって昇格試験の対策をするんだよ。俺も付き合うから」
「いやぁ、対策はいいかなぁ?」
怪しい…とてつもなく怪しい…
「やるよ!合格して欲しいからね!」
「そ、そんなことより今日はもう遅いから、早く寝よ!ほら、布団入って!おやすみ!」
「あ、まだ話は…おやすみ…」
絶対に対策させると、心に決めた…
俺は朝早くに起きてギルドに出向いた。
「マスター、昇格試験とは、どのようなものなんでしょうか?」
「サーラ君のことが気になるのか?今回はサーラ君のところを入れて、2つのパーティーが昇格試験に参加する。2つのパーティーで力合わせて、Dランクモンスターを討伐すれば昇格試験が合格になる。これでいいか?」
「サーラが申し込む時になにが言ってましたか?」
「確か、他に誰かいるかを聞いていたな。私はてっきり他にいる、と言ったら断ると思っていたのだが、いると聞いたらすぐに昇格試験を受けるって言ったよ」
なるほど…そう言うことか…
「ありがとうございます。では、後ほど」
俺は宿に急いで帰っていった。
宿に帰ったらサーラがちょうど起きた。
「どこいってたの?」
「ちょっと用事を思い出して、済ませてきたよ。ところで、話があるんだ。聞いてくれるかい?」
寝ぼけているから都合がいい。なんの話でも聞いてくれるし、なんの話でも答えてくれる。
「本当に戦えるんだよね?」
サーラは少しして頷く。
「じゃあ、どれだけ戦えるか、見せてよ」
そうしてサーラを抱えて森に来る。
「ほら、早く見せて」
サーラは少ししてから逃げ出した。
「ほんとは戦えないんだろ?今逃げるよりも、大人しく対策を一緒にした方がいいぞ?」
それでも、サーラは森を逃げ続ける。
整備を一切されていなかった森なので、足場が悪い。
とうとう、サーラは地表に出ている木の根に足を引っ掛けて、こけてしまった。
「だから、逃げないでやったほうがいい、っていったんだよ」
サーラを抱えて元いた広い場所に帰る。
「そんなに厳しくしないから、一緒に対策するよ」
「はぁ〜い」
気の抜けた声が帰ってきた。
「まずはどこまでの敵を倒せるかを見ていこう。ちょっと、Fランクモンスター、捕まえてくる。逃げたら厳しくなるよ」
そう言って、そこらを散策して、ライトバニーを見つける。
俺はそれを掴み取り、サーラのところに戻る。
サーラの前でライトバニーを放す。
「討伐しろ!」
サーラは魔法を使って討伐をしようとするが、ライトバニーの素早さに間に合っていない。
「Fランクモンスターはいわば、ほぼ無害のモンスターだ。ゆっくりと攻撃を当てれば討伐することは容易い」
「ゆっくりと…だね?」
そう言って放った魔法は明後日の方向に飛んでいき、ライトバニーは逃げていった。
「まあ、予想通りの実力だな…どうせ他のパーティーと一緒なら任せればいいや、なんて考えていたんだろうが…」
サーラがピクッと反応する。…図星か
「俺はとある人に剣を教わった。その時言われたのが、『次の攻撃のことも考えて剣を振れ』だったかな。まあ、相手が人の場合だし、剣と魔法では違うところも多々あるだろうけれどもね」
「へぇー、リーダーが教わった人ってどんな人だろ?」
「サーラがまじめに対策をしたら教えてやるよ」
こうしてサーラの特訓が始まった。
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