8 死後/叫び
…そのきっかけは、名越さんにはなかったのですか?
「なかった。全て妹にとられた」
静かに言った。あまり妹のせいにはしたくない。嫌いではないのだ。ただ、才能を持っているだけなのだ。それだけでなにもなかった俺にはなにも与えてくれなかった親が嫌いなだけなのだ。
声が聞こえた。
…なかったとは言い切れないですよね。名越さん、自分で死んじゃったんですから。
今までとは違った冷たい声だった。
否定できない。確かにそのまま生きていれば、変われるきっかけがあったのかもしれない。
でも、辛かった。暴力を振るわれて、周りのことは全てあり余るお金で解決する大人が許せなかった。
なにも言えなかった。言うことができなくなった。それで俺は自ら死を選んだのだ。
…変わりたかったんですよね?
声が言う。
「さっきも言っただろ!変わりたかったよ!誰でもいいから信用できる人がいて欲しかった!なのにあんな大人がいるから…あんな大人なんか大っ嫌いだ!見るのも嫌だった!終いには誰も助けてくれなくなったんだ!誰も…誰も…」
腹の底から出た言葉だった。強く言いすぎただろうか。
でも、俺は気持ちよかった。言いたいことを言えたことが嬉しかった。
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