65 技術試験とモンスター
次の日の朝になり、技術試験のある闘技場に向かう。
俺が行く頃にはもう人がたくさんいた。
「技術試験を終えれば、晴れて入学です。誰が集めたのか知りませんが、生徒がたくさんいます。見られていても、いつも通りのナユタ君の剣を見せたらいいですからね」
闘技場入り口にいたプルガさんが言う。
「昨日、あんな問題を出していて、今日もまたいつも通りすれば通る…か」
俺はプルガさんの横を無言で通る。
その時、プルガさんが俺に耳打ちをしてきた。
「昨日ナユタ君のお友達から聞きました。なんか怪しい!と、私に言ってきたので、筆記試験の問題を後でこっそりと確認したところ、私の見たものと、すり替えられていました。今日も何か良からぬことがあるかもしれませんので、私とシオンさんとリンネさんにはスパイをしています。なので安心して技術試験、頑張って受けてくださいね」
プルガさんは耳打ちをやめると手を振って見送ってくれた。
*****
闘技場に入ると、生徒から歓声が湧き上がった。それと同時に疑問の声が上がっていた。
「お待たせしました!毎年恒例のモンスター撃退講座を始まる予定だったのですが、急遽予定変更をして再試者の技術試験とします!」
「先に言えよ〜」
「どうりでいつもより時期が早いわけだ」
「あの小さい子が再試者?」
「あんなちっこいのだったら学校入れねえだろ」
生徒は口々に言っていた。
「それでは、技術試験はナシにしましょうか。そうしたらいいでしょう?この子は不合格になりますが、いいですか」
「別にいいだろ」
「再試って初めて聞いたぞ?」
「あの小さいの、何したんだ?」
口々に言いやがる。俺は苛立ってしまった。
「何もしてない上に不合格とか、ふざけんな。試験、受けさせろ」
「そう言われても、生徒がこう言っていることですし…」
「いいんじゃねえの?別に受けさせても」
「まあ、何もないよりかはマシだな」
このアナウンスもこの学校の生徒もみんなふざけてやがる。
「そうですねぇ、そう言われても、モンスターを手配してるんですよ。そうだ!それではそのモンスターを使った技術試験にしましょう」
そう言って、闘技場にモンスターが現れた。
「手配していたユニコーンです。コイツを倒したら合格にしましょう」
そのアナウンスを聞いて、生徒が騒めく。
「それはヤバいんじゃね?」
「あの少年、死んじゃうよ…」
「逃げろ!アイツは相手にすんな」
「じゃあ、試験は不合格でいいですか?」
恐らく、このアナウンスにいる野郎が主犯か。
「受けさせろ。生徒さんは手出ししないでくださいね。多分、それで不正とか言って、俺を学校に入れさせないつもりなんで」
まずはこのユニコーンを倒してあのアナウンスをぶっとばす。
「……それでは、初め!」
ユニコーンについていた首輪が取れ、ユニコーンが自由に動き回る。
ユニコーン。その名の通り、一本の角が生えている。でかい体をして動きが速い。おまけに空も飛びやがる。父さんのモンスター辞典があったおかげでモンスターの特徴は知っている。
「最初のモンスターがコイツか…」
ユニコーンは宙を舞って、雄叫びをあげている。
結局のところ、コイツは額についている角を切ってしまうのが一般の撃退法なんだが、今はそれどころじゃない。
「プルガさん!いますか?いたら返事をしてください」
「何ですか?」
生徒の中に紛れ込んでいたプルガさんに話を持ちかける。
「魔法、使っていいですか?」
「今回ばかりは仕方ないわね」
「ありがとうございます。それと、アナウンスのやつ、捕らえててください」
「それなら、もうシオンさんとリンネさんが捕まえていたわよ」
「さすがですね。ありがとうございます。では、ぶっ倒してきます」
「ほどほどにね〜」
魔法の使用許可が出たので思いっきりやれる。
ユニコーンの突進を避け続け、再び宙で態勢を整えるのを待つ。
ユニコーンが宙を舞い始めた。
「今!」
《無数の鎖》
俺は魔法を使い、ユニコーンの身動きを封じる。
一番危険な角を注意しながら切り取り、ユニコーンの腹をえぐる。
赤い血が返り血として服に着くが、そんなことは気にすらしなかった。
ユニコーンが消滅したところで歓声が沸き起こった。
「あの小さいの、すげえじゃねえか」
「誰だよ、不合格でいいって言ったの、あれを不合格にしたらおかしいだろうがよ」
「あの魔法、なんていうものなんだろ…ユニコーンの動きすらも止めていたわ…」
すると、アナウンスが聞こえてきた。
「全部不正だ!!あの馬鹿げた魔法も教えてもいない剣術も全部!全部!」
プルガさんが降りてきて、
「いったいこのアナウンスは誰がやっているんでしょうか?」
というと、
「新一年を持つ予定のライド先生です。自分より知識があって、技術があったため、認めたくなかったと言っています」
と、シオンさんが答える。
「そうですか…」と、プルガさんが呆れたように言うと、アナウンスのライドの声がする。
「死ねばいいさ、みんな死ねばいい!俺の集めたコレクションたちよ、アイツらを皆殺しにしやがれ!」
そういうと、闘技場のいたるところからモンスターが現れた。
それと同時にいたるところから悲鳴が上がる。
「皆さん、落ち着いてください!ナユタ君、全部魔法で捕まえることはできますか?」
「十数体ですよね?できないことはないと思い出すが…」
「じゃあ、よろしく。生徒全員、待機!!」
プルガさんがそういうと、生徒全員止まった。
「こっちの方が狙いやすいでしょ?」
「お気遣いありがとうございます」
素早くお礼を済ませて、俺は魔法を使う。
《無数の鎖》
「プルガさん、全部のモンスター、捕らえました。でも、長くは続きそうにないです。持って5分くらいでしょうか」
「それだけあれば十分です。ありがとうございます」
素早くプルガさんは腕を前にして唱えた。
《絶対零度》
すると、モンスターは一斉に消えて無くなった。
「ナユタ君、もう終わりましたよ」
俺は度肝をぬかれた。あの量の上級モンスターを一気に倒したと思うと。
「さすがですね…」
これしか言えなかった。
プルガさんは俺に笑顔を見せた後、生徒に向かって言った。
「ユニコーンとの戦いに勝ち、あの量のモンスターを一度に捕らえたこの少年の入学希望に反する者はいるか?」
そう言っていた。
長らく沈黙が続いた。
「だそうだ。入学おめでとう。ナユタ君」
「ありがとうございます。プルガさん」
その瞬間、闘技場は物凄い歓声に包まれた。
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