43 模擬戦 (後編)
「始め!」
躊躇なく開始の合図をした学園長。
それと同時に相手は突っ込んでくる。
「マジでやばいですって!」
そう言っている間に距離を詰めれらてしまったが、彼女の攻撃は父よりは遅かったので、意外にもさばくことができた。
「あの子、リンネの剣を捌いてる…」
「マジか、あんな小さな子でも捌けるのか…」
「リンネが手抜いてるんじゃないの?」
見ている生徒が声を上げる。
しばらく捌き続け、俺が疲れてきた頃、リンネと呼ばれる生徒は俺と距離をとった。
「なんで攻撃をやめたんですか。そのまま続けてたら、何回か当たりますよ」
「ずっと捌くから、楽しくない。次はあなたの番」
「こっちは捌くのでいっぱいいっぱいなんです。カウンター入れる隙もありません」
「いいから来て」
この女の人、血気盛ん過ぎだろ…
俺は仕方なく女の人に向かって行った。
俺には一つ作戦がある。父がこの前の稽古で、俺に見せた技を、見よう見まねでしてみようと思う。
相手の剣がギリギリ当たらないところで相手がどのように剣を振るかを見る。
構えていたので、大きく振らないと俺は見た。
そうしたら俺は屈んで相手の懐に入る。
よし!反応できてない!
そしてそのまま、相手の横腹を切るように剣を振る。
…何かに当たる感覚がした。
「狙いはいいですが、もうちょっとスピードを上げましょうか」
女の人は俺の剣を弾いて、俺の首に剣を突きつけた。
少しの沈黙が起きた。そして、
「やめ!」
という合図で模擬戦が終わった。
*****
「模擬戦の相手をしていただき、ありがとうございました。初めて父以外の人と対人ができて、嬉しかったです」
「礼をされるほどではないさ。いい剣だったぞ」
俺は挨拶を交わした後、流石に疲れたので、その場で倒れた。
「お疲れ様です。ナユタ君。いい試合でしたよ」
「ひどいですよ、学園長。あんなに強い人と戦わせるだなんて」
「やりごたえありましたか?」
「もう、体力の限界ですよ」
俺は笑顔でそう言った。
楽しかった。体力の許す限り模擬戦をしたいと思うほどだった。
俺と学園長が話しているところに生徒が何人か来た。
「ナユタ君でしたよね。私、ナユタ君の魔法に興味があるんです。見せて欲しいんですが、いいですか?」
そう言われると、学園長が
「ダメだ。ナユタ君は魔法が使えない」
と言っていた。
俺も続けて、
「使いたいんですけど、まだ使えないんですよね」
と微笑みながら言った。
「そんなぁ、シオンがすごい自慢してくるんだもん。「私の教え子はすごい魔法使いになるんだ」って。魔法が使えるようになったら見せに来てね」
そう言って去って行った。
俺が動けるようになってから、学園長が
「ちょっと話があるんだが、いいか」
と、行ってきた。
俺は「いいですよ」とだけ言って、学園長の後を追った。
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