36 制御
「何言ってんだ?坊主。そうか、怖くなったのか」
いちばん前に座っていた、大柄な男は豪快に笑い、「まあ、おとなしく見ときな」といい、隣に座らせてくれた。
「シオンさん、頑張れ!」
「坊主は、あのねーちゃん応援しに来たんか?姉弟か?」
俺は「いえ、違います。強いて言うなら知り合いでしょうか」と答えると、
「そうか、あのねーちゃんちょっと今日は危ないな、ちょいと焦ってる。全試合見てるから分かるよ」
「ナユタ!人の迷惑にはならないようにって言ってたでしょ!」
母が上から降りてきて、そう言った。父も、
「うちの息子がすいません。おそらく、少しばかり興奮していただけだと思うんです」
そう言うと大柄な男は、
「おう!ラグ、来てたのか!母校が恋しくなったか?」
「ガインか?装備外してると、わかんなかった」
どうやら父の知り合いのようだ。
「この坊主は任せとけ。お前もこの坊主くらいの頃は前で観たかっただろ?」
父は少しの間を開け、
「すまんが、よろしく頼むよ」
そう言って、もといた席に戻っていった。
「昨日まで初手の一発で決勝進めたが、あれは相手がよかっただけだ。今回、初手で当てられなくて、焦っている。周りの奴らは気づいてないかもしれないが、魔法の操作も難しくなってきてるな」
「ガインさん、魔法の操作ができなくなったらどうなるんですか」
「さあ、わからん。最近わかったんだ、魔法操作ができなくなることに。確か三年前くらいだったな」
「それって何かをもとに出たデータなんですか?」
「いや、急に出てきたデータなんだ。そのため、本当に数人しか知らないことだ。お前もその一員になったな!どうだ?嬉しいか?」
そんなデータを易々と子供に話しているのはどうかと思うが、そんなことよりシオンさんが心配だった。
三年前という言葉が出すぎじゃないか?もしかすると、そのデータはシオンさんのお兄さんからとったデータなんじゃないか。
そう考えていると、シオンさんは攻撃を受けていた。
「…ゔっ…」
シオンさんは距離を取り、魔法を使った。
《エクリクシス》
今までと違う魔法を見たようだった。
「なんだ⁈今までと雰囲気が違うぞ!これならねーちゃんが勝てるかもな!坊主って、あれ?坊主〜!」
シオンさんがだんだん威力を強くしているのではなくて、だんだん弱体化できなくなっていると俺は見た。
俺はシオンさんの近くに行き、叫んだ。
「止めてください!シオンさん!このまま続けると死んじゃいます!」
シオンはその声が聞こえていた。
だけれども魔法を打つ手を止めなかった。
いや、シオンはその手を止めれなかった。
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