35 決勝
ヘイディア学園のトーナメント。シオンは順調に勝ち進んでいった。
「明日、決勝ですね。頑張ってください」
「見てくれてたの?ありがとう、頑張るね」
「1つお願いがあるんですけど、いいですか?」
シオンは「何?」と笑顔で聞いてくる。
「シオンさんの決勝、学校で見てもいいですか?」
「いいよ、今度は助けてあげられないのを忘れないでね」
俺は笑って「はい」と答えた。
「今度は私が質問していい?」
いいですよ、と答えると、
「ナユタ君は、将来学校に行くの?」
俺は父に剣を教わり、シオンさんに魔法を教わっているが、学校に行くかどうかはまだ決めてなかった。
「正直なところまだ決めてないんですよ。強くなるなら行くほうがいいと思うんですけど、まだ人に慣れてなくて…」
俺はそう言った。そうしたらシオンさんは
「ヘイディア学園は学園祭の後の1週間、普通の授業の一般公開がある珍しい学校なんですよ。よかったら来てみてはいかがですか?学校の雰囲気はつかめると思います。ただ、人が多いですけどね」
俺は少し考えて、
「行ってみようと思います。人にも慣れていかなきゃ、ですもんね」
そう言って、今日の練習を終えた。
*****
決勝当日、俺は闘技場に来ていた。
初日、俺が投げられているのを知っている人も多く、
「坊主、大丈夫か」「傷が浅くてよかったわね」
と、声をかけてくれる人も多かった。
この世界では、地球より人と人の会話が多い。
それで俺は人に拒絶することはなくなっていた。
そろそろシオンさんの試合が始まる。
*****
予定時刻を過ぎても試合は始まらなかった。
シオンさんが闘技場に現れなかった。
俺は心配になって立ち上がったが、立ち上がった時にシオンさんが現れた。
俺はシオンさんに手を振ると、シオンさんは手を振り返してくれた。
ついに、試合の開始の合図がなる。
シオンさんは先手の魔法を使うが、相手はそれを簡単に避ける。
その時、俺は違和感を感じた。いつもと違う魔法を使っている感じがしたのだ。
俺は立ち上がり前の方の席へ行く。
シオンさんは同じ魔法を連発していた。だが、その魔法はだんだん威力が強くなっていくようだった。
「今年の決勝は見応えがあるなぁ」
そう言って周りの人々は応援に力が入る。
だが、俺の見るシオンさんは、いつもと違うシオンさんに見えた。
(魔法に飲み込まれる)
ちょっと前の日にシオンさんと話したことを思い出した。
「みなさん!今すぐここから離れて!!」
俺は訳もわからず叫んでいた。
ただただ、その言葉が頭にあった。
読んで下さりありがとうございます(`・ω・´)
よければ、ポイント評価や感想を書いていただけると嬉しいです(o^^o)
今度ともよろしくお願いしますm(_ _)m