23 男
今か今かと待っていると、俺は誰かに話しかけられた。
「おい、坊ちゃん、ちょっとどいてくれねぇか?」
そこには、ニヤニヤしながら立っている男が2人いた。
「あ?聞こえねぇのか?お前だよ、ガキ」
男の1人が俺の髪を引っ張り無理やり顔を合わせる。
「やめて下さい!私たちが先に座っていたじゃないですか!」
母が言うけれども俺の髪を掴んでいる男は聞こえていないのか、聞こえないふりをしているのか、俺に対してだけこう言った。
「どかないなら俺がどかしてやる」
そう言って俺を抱きかかえてから闘技場の下の方に投げた。
「ひゃひゃひゃ、お前やべーよ、あのガキ死ぬんじゃねーの?」
「どかねーのがわりーんだ、知ったことないね」
「ナユタ!」
母の声とあの男らの笑い声だけ聞こえる。
ここの人は知らない人でもこう言うことをするのか。やっぱり外に出ない方が良かった。人は酷いことしかしない。
闘技場の1番上から投げられた俺は地球のことを思い出していた。
宙に浮いていた身体は人のいない地面につき、俺は呼吸ができなくなるくらいの衝撃を受けた。血を吐いている。そのまま1番下まで転がって行った。
周りから、
「なんだ?子供が転がってきたぞ?」
「あの子大丈夫か?」
「誰か医者呼べ!!」
ところどころからそんな声が上がっていた。
痛い。身体全体が痛い。受け身をうまくとれなかったせいだ。意識が遠のいていくが踏み止まり、ゆっくり立ち上がろうとした。だが、打ち付けたせいか、上手く力が入らない。
でも、試合が始まるだろう、俺は闘技場から出ようとして動かない体で出口へ向かう。体を動かしてないと意識が遠のいていくと感じた。
出口に少しだけ近づいたとき、俺は誰かに抱えられた。
「痛っ…」
「ごめんね、少しじっとしてて」
そう言われた。
誰かに抱えられたまま、俺は気を失った。
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