179 店員の魔力
「ええっと、了承してから言うのもなんですが、なにをする気なのでしょうか?正直言って、何も言われずに何かをされるの、めちゃくちゃ怖いんですけど…」
「大丈夫です。一瞬ドーンと痛みが来るだけですから」
「それ、一瞬に来る痛みの量じゃないと思いますよ!お客様とはいえ、こんなことをされるのは違うと思うんです!だからやめましょう?やめましょうよ!」
「さっき「わかりました」って言ってくれましたもんね?」
サーラが店員のロッドを抜き取り、その場に置く。
「大丈夫です。壊さないですから。店員さん、腕を前にして掌を開いてください。それから全身を使って魔法を使ってください」
「だから私には魔力がないの…」
「いいから、使ってください。全身を使ってこの掌に絞り出してください」
「…分かりました」
店員はおとなしく、サーラの言っていることを聞いてくれるようだ。
「カウントダウンしてから5秒間、必死に絞り出してくださいね。3、2…1……0!」
店員は真面目にサーラが言ったことをやってくれた。
3、4秒した頃に、サーラがある魔法を使う。
《青の世界》
「ゔあ"ぁぁぁっ…!」
店員がお腹を抱えて座り込んだ。
「大丈夫ですか?痛かったですか?」
「うん、へその下の方がね…なんだか私、遊ばれてるようにしか思わないんだけど…」
「ここで店員さんに朗報があります」
「何…?」
「店員さんの魔力がどこに溜まっているかが分かりした」
「何を言ってるの?私には魔力がないの。だから魔法を杖で使うのよ。なのに今魔力が溜まっているところがって?」
「1人、僕のパーティーの中に凄い勉強が好きな男の子がいるんです。その人から言っていたことが、「魔力って誰でも少なからず持ってるんだって〜使えない人は魔力がないとか、適性がないとか言うらしい。それを悪事に働いている人とかも最近多いらしいよ。まあ、これを話したところで俺ら、みんな魔法使うんだけどね」って。だから店員さんの魔力がどこにあるか調べたよ」
「調べたって…溜まっているのがこの痛いここ?」
「そうですね。どんな魔法かは分からないですが、使った魔法は魔力操作の魔法です。魔法を全身で使おうと思えば魔力、ちょっとは働きますからね。そこをズドンとやったら、魔力がドーンとわかるってわけです。じゃあ、僕のロッド探しに戻っていいですか?」
サーラは店員が昔から思っていたことを瞬間で覆し、それをあたかも普通のことのようにしている。そんな客を店員はなんて思うのだろうか。
「貴方は私に舞い降りた神でしょうか…?」
「いいえ?ロッドを探しに来た普通の冒険者ですけど…」
「ありがとうございます!また、魔法の練習、してみようと思います…!」
「は、はい…?頑張りすぎは良くないですよ…?」
「一番お好きなのをロッド一本どうぞ!実は、このコーナー、私の趣味で出しているコーナーなので、恩人の方には全部差し上げてもいいくらいです…!」
「いやぁ、それは困るな…」
サーラは一目見た時から「これがいいな」と思っていたものがあった。
「これにするよ」
青緑色をしている魔法石が埋め込まれた短めのロッドを手に取る。
「どうぞ。持って行ってください。私にはこれくらいしかできないんですが…」
「はい、これ。おつりは無いと思うけど…」
「いや、いいんですよ?」
「商売、そんなんじゃ、ダメですよ。もし僕が騙していたらどうするんですか…」
「そう…ですか」
店員がおつりが無いことを確認する。
「丁度です。ありがとうございます」
「一緒に持ち運んで帰りましょうか」
そうして店員とサーラは武具店に戻った。
後日、その店員は生まれて初めて杖の力を借りずして、魔法が使えたらしい。
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