160 洞穴
「ユカが居ないと灯りがなくて困るな」
1人で洞穴を歩いていると、いつものパーティーが大事なことがよくわかる。
「何も居ないな…」
焦げ跡を追ってこの洞穴にたどり着いたものの、何も火の発生源は分からなかった。
これにより、ナユタが持つ恐怖感がほとんどなくなっていて、どんどん奥に奥にへと歩いて行った。
「お?灯りがあるな…」
洞穴を進んで数分、松明か何かの灯りが見えた。
ナユタはそこに向かって走っていった。
「敵は…居ないか」
その灯りがあるところがその洞穴の最深部だった。
「特に何もなかったか…?」
ナユタはその灯りがあるところを見渡してみたが、本当に何もなかった。
「…帰るか」
ナユタが振り返った瞬間、声が聞こえた。
…こんにちは、お久しぶりですね。
ナユタの知っている声だった。
…どうですか?今、そちらで楽しんでいますか?
「ええ。おかげさまで、楽しく過ごせています」
…懐かしいですね。名越さん、前は人は誰も信じれないなんて、言っていたんですよ?
「そんなこと、言ってたんですか…」
…他にも、いろんなことを言っていましたね。人を信じれたら〜とか、汚い大人は〜とか。
「今聞くと恥ずかしいですね…」
…でも、それほど思いつめられていたんでしょう。
「恥ずかしく思えるほど、今が楽しいんでしょうね。
…これから色々と辛いことがあるかもしれません。名越さんも小さい頃はちゃんと可愛がられていたでしょう?
「そう…ですね」
…その時、仲間を大切に、昔のことも思い出してみて下さいね。地球でのことがあなただけでなく、周りの人も助けることができると思いますよ。
「俺に出来るでしょうか?」
…出来るかどうかを悩むなら、先にやった方がいいですよ。行動は早めにですよ。
「分かりました…」
…私はいつでも見ていますからね。苦しい時には話しかけてくださいよ。
「…ありがとうございます」
洞穴を抜けた時にはもう、洞穴は無くなっていて、あたりは暗くなっていた。
「早く戻ろう」
ナユタは足早にギルドに帰っていった。
*****
「どこ行ってたのよ」
「ヴィーパーが弱すぎてな、何かあるんじゃないかと思ってユカらを探していたんだよ」
「お姉ちゃん、弓撃ってないんだから、何もないってことわかってよ」
「…俺が悪かった」
「なんかやけに素直ね…何かあった?」
「いや、何も」
ナユタは嬉しそうにしていたが、パーティーのみんなは静かに黙って見ていた。
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