122 仲直り
ユカは次の日、朝早くから宿を出て、ギルド前にいた。
同じくナユタもギルドマスターに呼ばれて、朝早くからギルドに出向いていた。
「いたた…すいません。俺の不注意でした」
「こちらこそすいませぇぇぇぇ!!」
「なんでここにユカが居るんだよ」
「私がどこにいようと勝手でしょ!ところでお姉ちゃんは?」
「宿に居るが、何の用だ?茶化しに行くのならどこの宿かは教えねぇぞ」
「そんな事をしにきたわけではないわ」
「じゃあ、あのプライドが高いで有名なユカさんが仲直りをしにわざわざ来たと⁈」
「言い方が悪いわよ…昨日仲直りしたほうがいいって思ったからしに来たのよ。悪い?」
「分かったよ。このままギルドで待っていれば会えると思うよ」
「ナユタはなんで早くきたの?」
「ギルドマスターに呼ばれた。急ぐから、それでは」
そう言って、急いでギルドに入っていった。
「ギルドマスター、何の用ですか?」
「この前の剣の話だよ。ちょっと興味があってね。分かったことがいくつかある」
そう言って、資料を渡してくる。
「この前持ってきてくれたティーグルを解析した時のものだ。コイツはおそらく腹部を斬っているな?」
「はい。前方から攻撃をするのは危険なので…」
「そこでだ。次の資料を見てくれ。斬って中を見たものだ。内臓全てが斬られている。どういうことかと言うと、この前、鈍器で殴っているとか、傷つけないとか言ったが、この剣の真意は、「隠蔽」と言うことだな。それを決定付けるのが次の資料」
次の資料をめくって驚く。
「あの剣とこの剣を照らし合わせてみてくれるか?」
持っていた剣と照らし合わせる。
「似ている…」
「これを知っているか?剣の中でも特に強く、魔力を取り込んで使う剣。いわば魔剣と呼ばれているものだ。最近は魔剣を作る人はいなくなり、出回らなくなったもの。伝説とまで言われたものだ。これはどうやって見つけた?」
「剣の倉庫があり、おそらく一番奥で埃を被っていました」
「たまたまそれが魔剣だったのだろう。俺が剣を持たなかったかも道理がつく。俺は魔法をうまく使えないからな。まあ、俺のことはいいか。この剣の説明を見てくれ」
「使用者の魔法の能力を取り込んで威力を発揮する」
「これの意味は、他の剣と違って魔法が強くなければ、この剣は強くならないと言うもの。魔法と武器を同時に使う人なんてほとんどいないからこの剣は駄作だった。しかし、剣士のナユタ君の魔法は強かったからこの剣は素晴らしいものとなったんだろうな」
「では、さっき言っていた「隠蔽」とは?」
「ナユタの魔法の能力だよ。鎖だったな。正確には、今わかる能力が「隠蔽」だけ。傷口を鎖の能力で繋いでいるのだと俺は考えている。傷口を隠す事を、俺が勝手にかっこいいと思って「隠蔽」と言っているんだけどな」
ギルドマスターが笑っていう。
「俺が言いたい事を簡単にまとめると、これは凄え魔剣だと言うこと。それと、対人戦では絶対に使うなという事。傷口見当たらないのに中身がぐちゃぐちゃになってしまうからな」
軽く怖い事を言った…
「他にもこの剣には大いなる可能性がある。魔法の練習も怠らないようにって事だな。話はそれだけだ。俺の話に付き合ってくれてありがとな」
「こちらこそ、いろいろと調べてくれて、ありがとうございます。では、失礼します」
「おう。活躍を期待しているぞ」
俺がギルドを出た時、まだユカが立っていた。
「まだ来ないのか?」
「うん」
「遅いな。じゃあ、一度帰ってみるか」
ユカが俺の袖を引っ張る。
「ついて行っていい?」
「ああ。いいぞ」
それから少し歩いたところの路地で人影を見た。
「何してるんですか」
顔が少しずつこちらを向く。
「バレた?」
「バレバレです」
ユナさんがそこにいた。
「ビックリするじゃない。学園祭でなく、こっちにいるから…」
「だとしても、隠れることはないんじゃ…」
「こんなに長いこと口聞かなかったことないから…」
ユナさんがおどおどしているのを見て、俺がため息をつく。
「ユカが何か言いたいらしいですよ」
俺はそう言って席を外す。
「お姉ちゃん、ごめんなさい!勝手なことばかり言っていろんな人に迷惑かけて」
それに対してユナは驚いたように見えたが、
「私もみんなの意見を聞かなかった。反省しているわ」
と、続けた。
「ナユタ君には謝った?」
ユカが首を振る。
「後でちゃんとナユタ君にも謝っておくんだよ」
ユカが頷いて2人は俺のもとに来た。
「これからどうするの?ユナさん」
「学園長終わるまで自由期間にしましょう。それからはしっかりと冒険者として」
「そうしましょう」
「そもそもアンタが馬車を勝手に手配するからこうなったのよ」
「うっせーな。ついてきたのはそっちだろ」
こんな言い合いができるのも、幸せなのだと感じれた。
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