120 一本の剣
ほんの少しだけ遅れました…
次の日の朝。俺はユナさんを連れてギルドに向かう。
「私はクエスト決めてるから」
「分かりました。ありがとうございます」
そう言って、受付に行く。
「すいません。ギルドマスターはいらっしゃいますか?」
「奥の部屋でお待ちですよ。どうぞ、こちらへ」
そう言われて、俺は奥の部屋に行く。
「ギルドマスター、お客様です」
「入れていいぞ」
扉を開けると、明日にギルドマスターが座っているのが見える。
「どこでもにでも座っていい。ゆっくりしな」
「ありがとうございます。そこで、相談があるのですが…」
すぐに本題に入る。ギルドマスターが座っている前に剣を広げる。
「この剣を見ていただけないでしょうか?」
「どうして俺に?」
「剣使いの当てがなかったからです…」
「そうか。一応見てみるが、何も分からなかったらごめんな」
それから見てもらうのを頼んだ。
「腕のいい職人のものだな。どこで?」
「この街の武器屋です」
「こんな武器、あったかな。待ってみてもいいかい?」
「どうぞ」
ギルドマスターが剣を持つと、顔が強張った。
「だいぶ重いな。長剣でここまでの重さ。ほんと、鈍器で殴るようなものだよ」
「そうですかね?俺が持った時はそんなに重たくなかったんですが…」
そう言って俺が持って振ってみる。
「筋力がすごいのか、それか、剣が一級品なのか…」
「一級品なら何が違うんですか?」
「剣の声が聴こえるらしい。まあ、迷信だがな」
それを聞いて驚いた。剣の声が聴こえてこの剣に決めたからだ。
「剣の声、聴こえました。沢山の剣を握りましたが、それを握った瞬間だけ、なんだかこれにしなければならないと思ったんです」
「そうなのか。なら、これは君だけの剣だ」
「どういうことですか?」
「一級品は使い手を選ぶんだ。使い手を決めたらその人にあった剣に変わるらしい。俺が持てないのも道理がつく」
「なるほど…その一級品ってなにか特殊な能力とかって…」
「ははは!大人びていると思ったが、君もまだ子供だな。だが、その能力というものは付くらしいぞ。どんななのか、分かるか?」
「昨日、モンスターを斬ったんですけど、表には傷が全く付かなかったんです」
「ほお、興味深いな。君に傷つけたくないみたいな想いがあるのかもな」
ギルドマスターは笑ってそう言った。
「大事にしな。これは君だけの素晴らしい剣だ。君にしか使えない剣だ。大事にするだけでなく、しっかりと使んだぞ」
「ありがとうございました。失礼します」
そう言って、部屋を出て、ユナさんのところに行った。
「どうだった?」
「「いい剣だ」って言われたよ」
「なら、使って問題ないとかはないんだね?」
「うん、むしろ使っていけって」
「わかった。じゃあ、今日分のクエスト、発注しに行ってくるね」
ユナさんが受付に行った時、俺は独り言を呟いた。
「改めてよろしく」
〈こちらこそ〉
そう、聴こえたような気がした。
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