今宵月は綺麗ですか? 序章
この作品を読んでいただきありがとうございます。
まだまだ初心者ですがよろしければ今後ともよろしくお願いいたします。
あなたは月夜に起こる奇跡を信じますか??
僕は"信じたい"と思っています。これから側にいたい人、もう二度と会えない人…
僕の住む町では夜空に月が登っている間のみ、その人が今一番会いたい人と会うことができるという伝承があります。
僕は会いたいもう一度あの子に
これは一人の少年と少年が恋をした二人の少女の物語である。
少年は一人夜の道を歩く。
12月23日今日はクリスマスイブのさらに前日、人けの無い街頭の照らす道どこかもの悲しく見えた。
ふと鳴り始めたスマホに耳を当てる
「もしもし、希島今なにしてんの??」
またお節介なやつから電話がかかってきた
「夜の散歩だよ」
「相変わらず好きだな~じいさんか」笑
都心から少し離れた所にある"月ノ瀬町"この町に引っ越して来て初めての友人となった[高坂 巧]だ
「いつもの日課だし、遊び人のお前にだけは言われたくない」
多趣味な上、女癖が悪い今も三人の女子と交際してると噂がたっている。
「いやいや、もう一人の女の子しか見てないよ!ただ片想いで終わっちゃうんだろうけどな~」
少しだけ印象を撤回しよう。多趣味で惚れやすい遊び人に
適当なやつだが悪いやつじゃない。ムードメーカー的存在で転入時から話かけてくれたとても親しみのもてる友人だ
「ゴメンそろそろ着くから切るな」
「あーいつもの場所か。了解、風邪引くなよ」
「ありがとう。また明日」
「おう」
いつもの場所、一本の電灯が照らしている小さな公園
遊具が数点、ドーム状の大きな遊具があるくらいだ
だがここに来ると落ち着く、なんだか懐かしい気分になるからだ
それに…僕は月を見るのが好きだからだ。
なぜかは分からない。ある事故をきっかけに両親を失い僕も事故の後遺症で前後の記憶を失っていた。
だけど覚えている、この場所で誰かと月を見ながら他愛もない話をしていたことを。
「今夜も月が」 「綺麗だね」
「え?」
ふと横にあるドーム状の遊具の上を見る
誰かいる。腰の当たりまで伸びている夜空のように黒い髪、見た目も細身でとても綺麗な女の子が遊具の上で座っている。
だがその瞳は一言で言うなら死んでいるような瞳をしていた。
「こんばんは。すまない眼が幾分か不自由なものでね」
僕は何も言えない。いや頭が真っ白になったのだ
でもこれだけは分かった。
「間違ってたらゴメン。君もしかして前に会ったことがあるかな」
少女は再び口を開く
「奇遇だね。僕も君に会ったことがある気がするんだ。"希島星次"君」
恐ろしいと思った、怖いと感じた。なぜ自分の名前を?
いや、それ以上に相手のことを思い出せないモヤモヤが頭の中を覆っていた
「君は誰なんだ」
僕の問いに少女は
「僕が君を知ってることが君が僕を知ってる証でもあるんだ。今は無理に考える必要はないよ」
なんだか聞き覚えのあるセリフだ
「それよりも」
少女がドームの手すりを持ち、立ち上がり
「君はどう感じたかい?」
「え?」
意味が分からなかった。
でも次の言葉を聞いた瞬間、僕は彼女を知っていると確信することとなる。
「星次君。今宵月は綺麗ですか?」
まずは序章として書かせていただきました。
構想上では約1シーズンでのストーリーとしていこうかと考えています
それでは次回またお会いできることを心待ちにしております。