成長しまして
さて、どうやら貴族の家に生まれたらしい元地球人ことリリシアです。
生まれた頃は流石に意識ははっきりしておらず、一歳ぐらいを目処に意識がはっきりしていった。
これに関しては、本っ当によかった…。
流石に赤ちゃんプレイなどはしたくない。
果たしてあの二人の神の仕業なのか、脳みその構造的な物かは分からないが、幸運であったことは間違いない。
突然だが、今生の私は前世と比べ物にならないぐらいに顔が整っている。
と、言うのも両親の遺伝子がきっちり仕事をしているからである。
母親はサラサラストレートの亜麻色の髪に、翡翠の眼の清楚系の美人である。
父親は柔らかい猫っ毛の白金の髪に、アイスブルーの少し冷たい感じの美形である。
そして私は、配色や顔立ちなんかは母親似で、髪質なんかは父親似である。
そんなわけで、黒髪黒目癖っ毛だったのが、亜麻色猫っ毛の髪に翡翠色の眼だったりする。
眼はやや垂れ気味で、メイドさんからはお淑やかな雰囲気があると評価を頂くが、自分から見たらただの眠そうな目にしか見えん。
それでも整った見た目なのだから遺伝子って凄い。
ちなみに初めて鏡を見た時は一周回って顔をしかめてしまった。
そしてこの二人有能で、母は琴の名手で城に呼ばれるほどとか。
父も魔術が得意で城に仕えていて、部隊長の一人だとか。
もし、この関係で面倒くさいことになるなら、廃嫡してもらって家を出る所存である。
ところで、魔術があるなんて説明を受けていなかったんだが…
だが、もし原因が説明をぶった切ったことか、私の容量を見ての判断だとしたら正直すまんかった。
実際他の理由が見つからないのも理解している。
さて、今日は姉であるエリシアと私の二歳の誕生日である。
私は今のところやることはないので、子供部屋でエリシアとゆっくり過ごしている。
流石貴族と言ったところか、この子供部屋だけで私が地球で住んでいた部屋が丸々入る。
まだ屋敷の外には出たことがないが、問題ないぐらい家は広く入ったことがない部屋もあるくらいだ。
正直な話、ここは博物館か何かの気分である。
普段なら探検と称して家の中を歩き回るのだが、今日は誕生日と言うこともあって自重している。
メイドさんやら執事さんが音や埃を立てないようにだが、忙しく動き回っているところに特攻する気はない。
しかし、やることがないのでかなり暇である。
子供部屋においてあるのは、おもちゃや人形であり、今更それがずっと楽しいということはない。
一応肌触りと感触が気に入っている、恐らく虎のようなヌイグルミはよく持っている。
この年齢だと昼寝の時に丁度いい抱き枕になるのだ。
とは言え、お昼寝の時間はもうとっくに終わっているし、今寝たら確実に夜中に目が覚めそうなので寝るのは却下だ。
なので、ひたすら窓から外の景色を眺めているのだが、街などは欠片も見えない。
立地の問題なのか、周りは庭と言うより半分森のような状態である。
おかげで鳥なんかはよく見かける為、暇つぶしにはなる。
しかし、幼女がひたすら窓の外を無言で見続ける、というのは些かシュールな気がしないでもない。
まあ、今日は他の人は忙しく働いているため気にする人ともいないが。
ちなみに同じ部屋にいる姉に関してだがこちらも問題ない。
何故なら彼女はその年にしては難しい本を黙々と読んでいるからだ。