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新科学怪機≪ギルソード≫   作者: Tassy
2. 少女リリーナと戦乱の女兵士 編
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第12章 暴力と陰謀と《ギルソード》(1)

登場人物紹介(追加分)


グレーネス=ディズレーリ(1?歳)…漆黒のマントを纏った少女、身体はトライバル模様の刺青に覆われている。ヴィザロからは〈革新の激戦地 (ヴェオグラード) 〉の最高幹部と呼ばれていた。


ヴィザロ=ディオロール(33歳)…〈革新の激戦地 (ヴェオグラード) 〉の構成員。〈旧政府軍〉のグスタフ少将から寵愛を受けている。


グスタフ=アッディーン(65歳)…〈旧政府軍〉の最高指揮官。独裁政治家かつ暴君。


「……ねぇ……リリーナ? 貴女は一体何者なの……?」




 震える唇と震えた声で、ラティファはリリーナに問いかけた。



 だが彼女は、険しい顔だけを見せて、その問いに答えない。



 ただ眉間に皺を寄せ、聞かぬ振りをするように、ただ周囲を《紅色の目》で、視界を探るように辺りを見渡す。





「………《粒子器探知の覚醒瞳ブレインセンサーアイズ》……全方向を確認……《ナノマシン》反応は無し……大丈夫……安全……!」




「……リリーナ!! まず私の話を聞きなさいよ……!!」




 彼女の態度に、ラティファは激怒し怒鳴る。



 回りの子供達もまた、リリーナを恐れるかのように、2歩3歩と離れていく。



 実際は、何を恐れ何を受け入れるべきか、彼女達は分からずに困惑していたのだ。



 得体の知れない少女か__


 いつ襲うか分からない敵の兵士か__


 野に放たれ、撒き散らされた殺人兵器か__




 彼女達は産まれてこの方、命を脅かす環境に囲まれて生きてきた。


 拒絶か信頼か__


 見極めて天平にかけて、これを判断することは、この上なく危険かつ、重大な責任を伴うことだった。





「………ごめん……ラティファ……ちゃんと……説明はするから……暫くここで……1人にさせてくれない……かな……」





「……リリーナ、悪いけどそれは難しい相談なの。私達はずっとこんな世界で育ってきたから、逆にアンタの正体が把握できない限り、とても恐くて目が離せられない……!」





 ラティファは、まるで凶暴な獣を見るような冷淡な目つきで、抱き抱えていた機関銃の引き金を握り、その銃口をリリーナの腰部分に向ける。





「お願い……話して……命の恩人であるアンタに……こんなものを向けたくないの……アンタみたいな優しい女の子に……」




 銃を構えたラティファの右手が震えていた__




 いくら自分の立場と子供達を守るためとはいえ、これは心を分かち合った相手への非道な所業__



 今この瞬間にも、その罪悪感に苦しみ葛藤していた。


 

 瞳が不自然に動き、銃の照準が安定しない。惑いと罪悪感が身体に表れ、彼女の動揺はリリーナの心に伝わってしまう__





「ラティファ……本当に……ごめん……! ……でも……私……!」





リリーナは言葉に悩みながら、恐る恐る口を開いたその瞬時__





「ラティファ! どうした!? 何かあったかぁ!?」





背後から、中年男性の胴間声が耳に響く。





「この声? ……アフメド司令……!?」




 ラティファが慌てて振り返ると、誰かが地下マンホールの梯子を勢いよく登る音がしたかと思えば、軍の司令アフメドが、即座に上半身を穴から覗かせる。



気がせいたような表情で、彼はラティファと周辺の子供達を見渡した。





「ラティファ……! 見張りの場所が騒がしいと思って駆けつけてみたが……! 一体どうしたんだ……!?」





 アフメドは深刻な表情で、ラティファに問いかける。





「あの……司令……! 見えますか……? 彼女の……目が……! それに……!」




「リ……リリーナ君が……? …………何だ? 彼女がどうかしたのか……?」




「えっ……!? だって……!」




 アフメドに呆けたような顔され、ラティファは面食らったように再度リリーナの方を見直した。その姿はごく普通だった。



 先程まで異様かつ妖しい輝きを見せた《紅色の瞳》は、なんと元通りの緋色に戻っており、何か身体にも妖しげな様子もなく、ただの無垢な少女の容姿と顔をしている。




「……何だ? リリーナ君がどうしたんだ? 何か様子が変なのか?

具合でも悪いのか? それとも何かマズい事でもしでかしたのか?」





「あぁ……いぇ……それは……!」




 アフメドの問いに、ラティファは咄嗟に答えが出せなかった。



 冷静になって考えれば、リリーナは異様な姿こそ見せたけれど、またも幼い命を救ったという称えられるべき事柄を成したのだ。



 それだけを考えれば、誰からも恐れられたり敵視される筋合いなど当然ない__




「ちっ……違うって……! 俺だって見て……! ……!!」




「ダメっ……! 静かにしてっ……!」




 男の子の1人が、見たままの事を正直に話そうとしたが、即座に周りの少年少女達に、口を手で押さえられ阻止されてしまう。





「何だ……何事もなさそうならいいさ……


 だが近頃は、旧政府軍や民族ゲリラの連中が、この一帯に罠や爆弾だって仕掛けている……!


もう偵察隊がそれで殺されてるんだ……! 子供達を容易に外へ出すことはできないし、もう家に帰ることも敵わん……!


 ほら、お前達はいい子達だから、もう今日から地下豪に居ような……?」




 アフメドはそう言ってマンホールの梯子を降りると、子供達は彼の言葉に従い、静かに吸い寄せられるように集まって後に続いた。



 その時、リリーナに目を向ける者は、ラティファ以外誰1人としていなかった__





「正体……ばれちゃったか……もうみんなにとって……私は怪物でしかない……そうだよね……」





 リリーナはうつむいた姿勢と表情で、心の声を漏らしたように呟くと、マンホールとは逆方向に歩を進めて、地下豪を立ち去ろうとした。



 次の瞬間__





「どこ行くのよ!? リリーナ……!」




 すぐ背後から、ラティファの声が聞こえたかと思えば、強烈な握力で右手首を掴み取られた直後__



 ガチャリ、と堅い金属器がそこに固定されたような音が聞き取れた。




 __まさかとは思いつつも、怖々とその右手首を確認してみれば、悪い予感は見事に的中する。




「……!? 手錠……!?」



 リリーナは静かに仰天した__



 旧米国製の錆びた手錠が、リリーナの右手首に堅く固定され、鎖の代わり繋げられた細長いワイヤーの手綱が、ラティファの右手に力強く引っ張られていた。



 捕虜の拘束用に持ち歩いていたのだろう。




「ラ……ラティファ……!? ……これ……! どういうつもり……!?」





「……言ったでしょう? アンタの正体を知るまでは、恐くて目を離せないって!


 私はね、アンタのこと『敵軍のスパイ』にも見えるし、気味の悪い『生体殺戮兵器』にだって見える……!

 

 否定したい気持ちだろうけどさぁ、私達はまだアンタの事は何にも知らない……!



 信じられない……!



 だって……私達は常に死と隣り合わせの場で生きているもの……!



 信用した者に殺されるなんて日常茶飯事。なら知らない者に疑心暗鬼になるのは当然のことでしょ……?



 アンタの事を安全な人間だって認められたら、手錠を外して解放してあげる……!



ね……? リリーナ………!」





 ラティファはそう言って、リリーナを繋いだ手綱を握ったまま、ゆっくりと彼女の元へと近づいていく。



 冷たく凍った、兵士ならば持つべきの冷徹な瞳。ラティファはリリーナの目を突き刺すように、彼女の視界の焦点を奪うように、容赦なくそれを差し向ける。



 まずい事になった__



 リリーナが率直に思った感想がそれであった。




 第一、自分の《ギルソード》の正体を知られるなと、あれほど念を押されて言われたのに、その掟を破ったのは自身の不始末である。




 もはや殺されてもおかしくない事態。やむを得ない状況だったとはいえ、リリーナは、心臓が凝縮されるような感覚を覚えながら、己の行動の浅はかさを自責する__




 すると、ついにラティファはリリーナの耳元まで近づき、彼女に囁いた。





「見張り……続けましょう?


せめてこの一帯が本当に安全がどうかが保証されない限り、子供達は危険よ。


我が儘だけど、私につきあってね__?」





 ラティファはその言葉を最後に、無言で手錠の手綱を引っ張りながら脚を動かし、周囲を徘徊を始める。




「ラティファ……?」




 手錠の痛みを堪えながら後に続いたリリーナは、こう考えていた。




 どうして得体の知れない危険な自身を生かして、傍に置いておくのだろうか。



 即座に始末してやろうとは思わないのか。




 しばらくの間は、そんな疑問だけが、彼女の脳裏から離れられなかった__





◇◇◇◇◇




ユウキ「あー暇…何が暇っつったら出番ねーからだよな…ったく!筆者の××××がクソ×××××!!」

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