リアル2の1
それはある日の俺の日常だった。
南東方面にある窓際のベッドでスヤスヤと眠っていると、窓の外からキャッキャッ! と子どもたちの楽しげな声が聞こえてきて、思わず目が覚めてしまったのだ。
勘弁してくれよ……。俺、昨日寝たの明け方五時だぜ。何をしていたというわけじゃないのに、ネットの大海原でサーフィンしてたら五時だぜ。今、九時。四時間しか眠っていないじゃないか……。
この後、いやこれといって毎日用事はないのだが、一度起きると中々眠れやしない体質だ。だから、一人だと単純に体が辛いだけで、「バイトで忙しくてさあー、俺、二時間しか寝てないんだよねえ~」的なノリの、大学生にありがちな眠っていない自慢をするのもアホらしく、子供たちに全く非が無いのは、東から西に太陽が昇るのと同じぐらい普遍的な真理なので、俺がどうこう言える理由も、矛先を向ける先もないのである。
てか、楽しそう……。何かラケット的な道具でスポーツを行っているらしい。嫌でも小さい頃を思い出すじゃないか。
俺だって小学生ぐらいまではそれなりに人と、色んな物事と上手くやれていたんだ。むしろ周りと比べても、平均以上であったと言っても過言じゃないと思う。
しかしだ。
この有様は一体何なんだ? プロスポーツ選手とか、科学者とか希望溢れる未来が待っていたんじゃないのか? 子どもの頃の俺が泣いている。今も子どもだろうって? そんな言葉遊びはどうだっていい。
いやさ、昔から薄々ではあったんだけど、そんなの無理だってことには気づいていたんだ。具体的な想像は出来なかったけれど、大して上手くいかないんじゃないかっていう、漠然としたイメージってやつにはさ。
それが大して上手くいかないどころか、こう現状ではどうしようもない方向に向かっているわけで、それが俺にとっては不満なわけだ。
なら、行動しろって?
有り体だが、それが出来たらこんな状態に陥っちゃいねえよ。わかるだろ?
夢なんてなくたって生きていける。そう子供たちに夢のないアドバイスを残しつつ、俺は再び眠る努力に取り掛かることにした。