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四章2【そびえ立つ、それは――ドラギア山脈!】


 テイク1! (1があるってことは、そりゃもう、最初から続編があることを示唆しちゃってるわけよ)


 それはもうありきたりな、しかし洒落にならない凡ミスから始まった。

 最初だし不慣れなので許そうとは思うが、ゆるりが魔法でブロックを持ち上げてる最中、突然、


「はふ……はふ……」


 魔法解除! ってクシャミーーー!


「「ゆ、ゆるりーーー!」」


 死ぬ! 死ぬ! マジで……死ぬ!


 魔法力の絶たれたブロックが、騎馬戦もどきをやってた俺の上にのしかかってきたよ! 三途の川に浸かりながら、足プルプル、腰グギグギ状態に陥っちゃったじゃねえか、馬鹿野郎!


「ふ……ごめんね、○君……」


 いいってことよ……。俺の命なんて所詮虫けらも同然さ、ハハッ。


「ハクション!」


 って、まだしてなかったんかーい!


「えい!」


 やっとのことで、魔法によりブロックがぶん投げられて俺はレスキューされた。 (代わりにあいがとばっちりを食らって潰されそうになったが、ざまあみろい! 飯が美味い! と一瞬心の中で思っちまったのは、実は性格が悪いのかもしれない)


 しかし、可愛いクシャミだったなあー。ハクション! なんてクシャミらしいクシャミ、久しぶりに聞いたぜ。女の子のクシャミフェチって実は、俺が第一人者なんじゃね?



 テイク2 (途中でボタン一つでやり直しなんて出来ないんだぜ。ブロックは自分たちでスタート位置まで戻さなきゃならない糞仕様だったりする。そんなつまらねえ設定に凝ってる割に、俺とあいは死にかけたわけだが……そこらへんはどうなってんのか、改めて設計者に問いたい。アップデートよろしく!)


 一通りのミスを演じるがごとく、俺たちはスタートを切ったわけだが、次はあいの指示ミスだった。これに関してはゲーム攻略上仕方ないんだけど、当事者になってみると中々辛いものがある。途中、


 あれ? 俺、宙に浮いてね? なんか宙に浮く術使っちゃってね?


「すまん。間違えたらしい」


 死ぬ間際のデジャヴ!

 

 短時間で上記のことを考え、下を見下ろし、パックリと穴が出現しちゃっていることに気づいたわけだが、時すでに遅し。後退した髪、永遠に戻らなし。



「「う……うわーーーー!」」


「「○くーーーーん!」」

 ………………。

 …………。

 ……。


 いやいや、実際はすぐに着地。ミステリードラマの飛び降りトリック以上に綺麗に着地。オリンピックなら9点、9点、9点……。

 まあ、ちゃんと安全設計が成されているのはありがたいんだけど、それにしても短か過ぎね? ピョン、スー、ダン、ベチャ! oh……じゃなくて、ピョン、ダン! ヒヤリ……なんだぜ? 最近の法令遵守の流れバリバリですか? そりゃこのご時世、死人が出たらどんなアトラクションだって営業停止どころじゃなくなっちゃいますもんねえー。


 段差が思っていたより低くて焦る感じ? お茶だと思って飲んだら牛乳でしたみたいな気持ち悪さ? と言ってもよく分からないと思うが、そんな感じの微妙な気分を味わった。


 というわけで、俺が痛ぶられたり、なぶられたりする姿に興奮を覚えたりする奇特な方には悪いが、ここからは無駄に長過ぎるので巻で行こうと思う。



 テイク12 (早々に12まで来ちゃったよ……。所々歴戦の勇者みたいにボロボロになりながら、ゲームに付き合わされていたわけだがやっと、「そもそも俺がブロックを支える必要はあるのか?」という真理に気づいてしまった次第である。


 まあ、何もやらないと無能に思われそうなので、わざわざいらん仕事を作り出して自ら火に入る夏の虫~、引くに引けなくなっていたんだけど、


「そうだ! ゆるりのためにMP回復用ドリンクを買いに行けばいいんだ!」


 という大義名分を発見した。

 しかし、自販機まで何度もパシッて買いに行ってたのに、誰も触れてくれなかったのは、男のプライドを傷つけまいと気遣ってくれたのだろうか? それともただ単に気付いていないだけなのか……どちらにせよ複雑な気持ちなのは確かだが)


 とりあえずスケートリンクみたいにブロックが滑って押しつぶされそうになったのを、ジャンプして避けたんだけどな。

 今回は、派手にジャンプし過ぎて天井に頭をぶつけたというおまけはなしだ!


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