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四章1【そびえ立つ、それは――ドラギア山脈!】

久々に投稿。拙い文章ですが、もし……良かったと思ってくれる人がいたら感想とか評価とか貰えると嬉しいです。

 主人公補正ってのは、そりゃもちろん主人公にしか効き目がないわけで、この世というか、どの世の主人公でもない俺は、もちろん病院へ行き、治療を受ける羽目になったのは言うまでもない。


 ただ、運良く大した毒性を持っていないサソリ

(そこらへん主人公補正っぽくね?)

 だったらしく、お陰で大事に至らなかったのではあるが、入院したベッドでの久々の強制引きこもり生活はそれはそれは中々悪くないもので、その降って湧いた、というか元々の俺の属性である懐かしさの余り、またこもるのではないかと自分でも、そして二人からも変なジト目で見られつつ、天使と悪魔の誘惑的天秤に陥りかけていたのであったが幸い、看護師さんが可愛くない

(失礼! だがしかし天使ちゃんの方に傾く)

 言い訳すると俺的美的センスでは可愛くなかったので、このケースの場合、まだ幸いだったのかもしれない。


「はあ……。ついこの間まで、そしてつい先日まで、部屋で引きこもっていたというのにこの傾斜はこたえるな……はあ。一体何度ぐらいあるんだか……もうこれは直角ってレベルなんじゃないだろうか。物理法則を軽くぶち破ってるんじゃないだろうか……」

「ブツくさ言っていないで行くぞ。陽が暮れるまでには越えたいんだからな」


 冗談をバッサリ切り捨てるんじゃねーよ。クソッ……。


 呪詛の言葉を吐きつつも、渋々登るしか選択肢はない。

 現在一行はどこだかわからないが、多分山の中腹辺りにいたんじゃね? (遭難フラグ)


「うっげー! ○君。これ凄く甘いようー! 酷いよう!」

「お前が選んで買ったんだ。ちゃんと最後まで飲めよ。甘いのは体力回復にも良いんだしな」


 途中、自販機で買ったこういう場所特有のべらぼうに高いジュースを一気飲みしながら、アホ毛を垂らしたゆるりがダラリと不満を述べやがった。


「しかし、限度ってものはあるだろうがな」


 同性の味方かお前は。振り向きざまに見切りカットで言いやがって。お化け屋敷で先陣切って見栄を張る男子かってーの。


「まあ……ちゃんとMPも回復しとけって話だ。魔法使いであるお前がこのパーティーの頼み綱でもあるんだからな」

「はあい! それならわかったよう!」


 素直で良かった。だがキャラに似合わず、「嘘だピョン! しめしめ」な感じで、こっそり脇道辺りで捨てるなよな? 嫌いな給食を牛乳パックに詰め込んで処理するみたいなさ。一見真面目で優等生しかし裏では……のドラマ的パターンが成立しちまうからよ!


「ゆるり、私にも飲ませてくれないか? 私は他人が不味い物が大好きなんだ」


 どんな性格の悪そうな味覚してんだよ……病院行けよ。


「だったらこのグミも食ってくれよ。スゲーあるし、スゲー不味いんだが」


 あの道具屋の親父、パチもんなんて掴ませやがって……どこ産なんだよ、ちくしょう。汚染なんちゃらとか、ヤバイの混じってねえよな?


「それに関しては例外だ。全部君にやると言ったはずだ」


 都合の良い舌してんな……。


 仕方なく見捨てられた体力回復グミ(偽)を、こんなんで回復すんのかよ? 仙豆かよ? (てか市販の100円グミって絶妙に量足りなくね?)とか半信半疑に思いながら不満を述べつつも、口に放り込む。


「はあ……ゲロ吐きそう……でももったいない……だけど捨てたくない……けど限界……」

「仕方ない。ちょっとだけだぞ」

「ゆるりも食ってくれよ」

「ええー!」

「ええー! じゃねえよ。連帯責任だよ」


 修学旅行三日目で次第に、友達のアラが見え始めてイラついてくる時期なんてのをとっくに通り過ぎた日々を過ごしていたわけだが、


「不味い。やはりよしておこう」


 半分だけ齧って残すなよ……。やっぱりムカつく。てか音を立てて食ったりするのはもっとムカつく……。


 そりゃあ俺だって、頂上に到達した「ヤッフー!」な達成感みたいなのは、無気力シンドロームを持病レベルで患っていたとしても何となくわかるんだけど、今行っている苦行は、単純に登って越えるだけの作業である。

 ベルトコンベヤーから流れて来る半製品をひたすら仕分ける作業なんかと同じで、待ち受けるのは達成感! なんかじゃなく、次の日も仕事、日曜夕方アニメが終われば明日は仕事……次へ進む過程なのである。

 だから、もちろんやる気なんてカンナで豪快に削ぎ落とされちゃってるわけで、いっそのこと悪例として疎まれる、手段が目的化してしまえば良いのにとさえ思った。



「「あ、痛!」」



 別に誰かに会いたいわけではないとは、小学生の頃に流行ったものだ。

 それは、よそ見をしていて電柱に頭をぶつけた時のように突然やってきた。


「ドジな奴だな」

「大丈夫ー? わわっ!」


 よく見なくても、壁がズズズズと地鳴りを響かせながら真っ二つに割れていくじゃないッスか……。やっぱり、何かのスイッチ的なの後押しちゃったんですかね? イベント発生の予兆ですかね?


「なるほど。トンネルか。真っ暗だな」

「なんにも見えないねえー!」


 急な停電時みたいにワクワクするなよ! 一生ロウソクで生活してろ!


 言うには及ばないがそこには、魔法によって仕掛けられたパズルが設置されてあった。要するに、動かしたりはめ込んだりして完成させないとこれ以上先には進めません。といった類のものらしい。面倒くせ……。


「仕方ない。こんな所で足止め食らってる場合じゃないし、やるしかないか……」


 とりあえず、目の前にあるブロックを持ち上げてみたんだが、


「重っ! 無理無理無理無理!」


 一人というか人間じゃあ到底持ち上げられねえよ!


「当たり前だよう、○君。そこに『魔法で持ち上げてね! 絶対!』って書いてあるじゃない。もおー、おっちょこちょいさんだなあー」


 確かにデカデカと書いてある……。掛けてる眼鏡を探しているような気分だぜ。


 というわけで魔法を使えるのは唯一、ゆるりさんだけなので、


 ブロック――ゆるり。

 指示――あい

 騎馬戦の後ろを支える役の人&雑用――俺。


 てな不満残る役割分担になった。(まあ、俺の指示が上手くいくとは思えなかった&責任回避も無きにしも非ず)


「それじゃあ、あい。適切な移動指示を頼むぞ。ゆるりも、一応ブロックは俺も支えるが、魔法でピッピッと頼む」



「「了解!」」



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