何人もの危険人物
「何?」
そっけない態度で美麗がコールに出た。
コールは、小型媒体に入っている機能だ。
相手が3D画像だから、わざわざ名前を言う必要がない。
「今日、帰り道でナイフが僕にめがけて落ちてきたんだ。」
美麗の表情を見ながら慎重に言った。
「え?あなたに?」
「ああ。」
僕がそう答えると美麗は考えるように眉間にしわを寄せる。
そして、ゆっくりと言葉を選ぶように言った。
「誰かに言ったの?親のこととか私と話してたとか、言わない方がいいって言ったと思うけど」
申し訳ない気持ちになった。
自分のことで美麗に迷惑をかけているのだ。
「特に言ってない。ただ龍と健太がこの間知り合ったらしい友達に言っていたけど…でもそれがナイフと関係あるのか?」
「わからない…でも私と話していたと言ったのよね」
「美麗と話してることを言ったら何で駄目なんだ?美麗の名前を出すと変な反応をする人がいるんだ。美麗って何かあったのか?」
「私はね、危険人物なの。ある特定の人から見ると。危険人物と関わる人は邪魔者なの、わかる?だからあなたを殺そうとしたのかもしれない。」
「なぜ危険人物なんだ?」
「話せば長くなる。私だけじゃなくて他にも危険人物と言われる人はいる。あなたのお母さんもあなたに言わなかった話。言いたくなかったんでしょうね」
美麗の声はどこかもの悲しかった。
「教えてくれ。」
「いいの?過去も知ることになるの。あなたのお父さんがいない理由とかね。」
「えっ?なんで美麗が父さんを…僕は知らないのに…」
「全て話す。この後、私の家に来て。でもね、知らぬが仏…かもよ。」
最後は僕ではなく、自分自身に言っている様に聞こえた。
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