再びTTOへ
待ち合わせた横断歩道から学校までは普通に歩いて10分くらいだ。
鳥のピチュピチュという可愛らしい声がする。
その鳴き声は堅くなった心を少し和らげてくれた。
6時過ぎの空はまだ薄暗い。
会議は9時からだ。
僕はその前に名刺の受け取りや高性能防御服の採寸がある。
以前、美麗が着ていたstarの服を着れるかと思うと新しい制服を作る時のあのどこか浮ついた微妙な興奮が思い出される。
もう、学校の前。
すなわちTTO本部の前に来ていた。
北西支部、南東支部をいれる3支部の中心なのだ。
そう思うと、普段来ているはずの学校なのに瞳に映る景色はいつもと全然違っていた。
一旦立ち止まり大きな深呼吸をして自分自身を落ち着かせると再びTTOの本部に入っていった。
本部の廊下には、数人いる程度でまだ閑散としている。
5月から新しくTTOに入るものは僕以外いないらしい。
ちなみに、今回僕がTTOに入るということは公に言われていない。
公表すれば、僕の親にも来ることがわかってしまうのでやむを得なかったのだ。
「強、わかってるよね?タイムハーフであるあなたを邪魔だと思う人がいるの。あなたは普通の人からもTTOからも嫌な存在なの。だから、あなたの親はTTOにあなたを入れなかった。でも、私は逃げるべきではないと思う。必ずどちらかを味方につけなければならない。」
ハッキリとした口調で問い聞かせてくる。
「TTOを味方につけるほうが得策。人間を味方につけてもあなたのタイムトラベラーとしての力が覚醒した時、きっとあなたを切り捨てる。」
「美麗?」
微妙に声が震えているように感じた。
「上手くこの世界でやっていくのね。例え地べたを這いつくばってでも。あなたに…私の二の舞をして欲しくない。」
まだ目的の組合長室までは距離があることを確認し、少し歩くスピードを落とした。
「何があったんだ?」
美麗は遠い目をした。
その目が少しだけ翳りを見せる。
「これから言う話は絶対に誰にも言わないで。」
美麗の声はどこまでも深い闇に消えていくようだった。
「言わないさ。」
僕の目を確かめるように見た後、前後を確認し小さな声で話し始めた。
更新遅れて本当に申し訳ございませんでした。・゜・(ノД`)・゜・。