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引っかかる言葉

「君、名前は…」

「花園美麗と名乗っています。」

「花園…美麗…?」


 何かを思い出すようにゆっくりと呟いている。

 その後、驚いたように目を見開いた。


「確か、個人識別番号は、1397835で最年少最短でランクが9になったあの噂の?」

「よく細かいところまでご存知で。」

「そうか。君が…そうだったのか…知らなかった。君の名は、北西支部でも誰でも知っているさ。」


 二人の会話を聞いていて引っかかるところがあった。

 一年半一緒にいたんじゃないのか?

 なぜ月見勇士は名前を覚えていないんだ?忘れていたとしても、名前を聞けばわかるはずだ。


 もし、その名前を知っていたなら美麗の話を北西支部で聞いて、ここにいる美麗と一致したはずた。

 今になって、気づくなんて明らかにおかしい。

 まるで、初対面の人に言うような言い方だ。

 まさか、同姓同名の違う人だとは思っていなかっただろう。


「そういえば、君は?」


 ふと思いだしたようにこちらを見てきた。


「松原強です。」

「もしかして、松原杉子の子供だったりするのか?」

「はい。」

「そうか。」

 

 そう言った月見さんは複雑な表情だ。


「支部は、いくつあるんですか?」


 ぎこちない空気に耐えられなくなり、ふと思いついた質問を投げかける。


「本部と北西支部、南東支部の3つさ。ここは、本部だ。組合長が全ての支部に指示を出しているんだ。」

「そうなんですか。」

「そろそろ帰らせていただきます。」


 美麗が唐突に言うともう出口に行こうとしている。

 僕も慌てて出口に向かう。

 自動ドアが静かに開く。


「花園。成長したな。」


 月見勇士の呟くような言葉に一瞬立ち止まったが、頭だけ下げると美麗はそのまま部屋から出た。


 二人が出て行くのを見えなくなるまで目で追っていた。


「花園美麗、松原杉子と松原強か。荒れるな…」


 独り言を言い、ため息をつくと、横においてあった冷えきった緑茶を一気に飲みほした。その後は沈黙だけが続いていた。



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