減りゆく感情
僕にはけっして心を開いてくれない。
時々見せるあの悲しげな表情から人にはなかなか言えない何かがあるのだと思う。
この前、美麗が一瞬少女のような反応を見せ、僕のことを強と呼んでもいいかとたずねた時は嬉しかった。
もしかしたら美麗が心を開いてくれるようになるかもしれないと期待したからだ。
しかし、結局何も変わらなかった。
そんな美麗が月見勇士には、感情を出した。
恩人だからと分かっても、僕の心は鈍い音をたてて軋んだ。
「強?何を考えているの?」
怪訝な顔で美麗が言ってくる。
「何でもない。ただ、人の心の仕組みを考えていただけさ。」
出来る限り何でもないように言うのが今は精一杯だった。
月見勇士を正面から挑むような目で見た。
TTOには、感情表現が少ない人が多いのが理解出来る気がした。
感情表現が少ないのではない、喜びなどのプラスの感情が減っていくのだ。
理由はわからない。
そもそもTTOという組織自体が決して喜びを得ることが出来る場所ではないのかもしれない。
いつもお読みいただきありがとうございます!
評価、感想お待ちしております(*^^*)
お気に入り登録をしていただけたら嬉しいです(*・ω・)ノ