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目当ての人は…
「ナマエヲイッテクダサイ」
入り口と同じ音の電子音が話しかけてきた。
「花園美麗」
それだけをハッキリと言った。
「何で、ここは名前だけでいいんだ?一番守りたい場所なんじゃないのか?」
とても不思議だ。
「一人一人の声が登録されている。だから、その声と同じかどうか調べる。ここまで何一つ、防犯システムに異常がみられなかったってことだから、比較的危険度が低い人物だしね。」
「防犯システム?」
「気づかなかったか…」
美麗は独り言のようにつぶやいた。
「オハイリクダサイ」
再び電子音が言い、前の扉がゆっくりと開いていく。
そこには今まで見たことがない、最新のシステムが完備された部屋があった。
大きな机の前に僕達の目当ての人はいた。
いかにも快適そうな椅子に腰掛け、僕に向かって意味ありげに笑いかけてきた。