狙われしタイムトラベラー
強い光が目に飛び込んできた。
「ここから、青井良彦さんがいる所までは遠い。」
前を向いたまま小さな声で言ってきた。
「何で遠い所に部屋があるんだ?近い方が便利じゃないか。」
「便利だけど、入り口から近かったら敵も入るのが便利になってしまう。」
「なるほど。」
当たり前のことかもしれないが、僕達は平和ボケしているせいかそういう知識がほとんどない。
平和政策を推し進める我が国家は異常なほど戦争の話をしないし、武器の話は聞いたことがない。
持っているだけで相当な罪だ。
美麗が前見せてくれた武器をみる限り、知らないところで武器や防具は開発されているようだ。
国民をないがしろにして裏で何を企んでいるのか知れたものではない。
「私達が今歩いている所は、両側に部屋が沢山ある。ここは、それぞれの係の部屋。誰か敵が入って来たら、部屋から出てきて挟みうちにする。」
「すごく、厳重に警戒しているんだな。」
「もちろん。狙われしタイムトラベラーだからね…」
「狙われし…」
悲しい運命の形容詞がついた組織ということなのか…
そのことを改めて思い知らされた。
「前に、学校に来たことあるかって聞いたよね。」
「え…ああ」
いきなり、以前の話を振り替えったことに軽く驚いた。
「TTOで、時々学校で話し合いとかすることがあったから、それで構造とかを知っていたってこと。」
「だから、迷わずに普通に歩けたのか…」
なるほどね…
あの時に、本当のことを言わなかったのも今なら理解出来る。
「着いた。」
美麗が静かな声で言った。
目の前には、堂々とした白い大きな扉が堂々と立ちふさがっていた。