本部へ
授業終了の電子音が鳴り、みんな一斉に帰りの支度に入った。
先生の話も今日は短く、早く終わった。
「強、早くしてもう行くから。」
「え?」
なぜ美麗がここまで急ぐのかわからなかったが、適当に教科書を押し込む。
美麗は早々と教室の外に駆け出した。
周りのみんなが不思議そうに僕達を見てきたが、無視して美麗の後を追った。
廊下に出たときに危うく清掃ロボットにぶつかりそうになったが、そのまま走り続け、僕達は校舎の裏側、普通人が来ない所まで来ていた。
美麗が僕の腕をつかむ。
その直後、いきなり静寂がおとずれた。
「時間をとめた。」
それだけ言うと、美麗は僕から手を離すと、地面にあるレンガを持ち上げた。
「え?それ…」
そこには、1~9までの数字が書かれたボタンが綺麗に並んでいた。
「11210492553」
美麗はそう言いながらボタンを慣れた手つきで押していく。
「カチッ」
何かが外れるような音がして、目の前にあったレンガが正方形の形で下に下がり、真ん中で左右に開いた。
僕はただ呆気にとられてしまった。
「この先がTTOの本部。緑ヶ丘中学校の地下に作られている。」
それだけ言うと、地下に目をやった。
冷たい風が下から吹いてくる。
「まさか、学校の地下にあったなんて…」
てっきり本部はビルの様な建物だと思っていた。
真っ暗で先がどうなっているのかも見えなかった。
ただ、下に続く階段があることは見てとれる。
「行きましょう。」
美麗はそう言うと暗がりの中に足を踏み入れた。