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敵視

 僕らはしばらくの間、黙ってパスタを食べた。

 全て食べ終わり、空になった皿を意味もなく眺めいた。


「では、本題に移ります。」


 重々しい台詞を言うと姿勢を正しフォークを皿に戻した。


 気持ちを切り替えると美麗に向き直る。


「あなたをTTOの会議に連れていく。」


 そんなことを言われるとは予想もしていなかっただけに自分の耳を疑ってしまう。


「え?会議?一ヶ月に一回の会議だよな?結構重要なんじゃないのか?」

「それも杉吉さんから聞いたの?あの人も自分達が狙われてることを自覚してあまり話してはいけないのに。」


 飽きれたように溜め息をつく。


「TTOに連れていくとは言われたけど、会議とは知らなかった。わざわざそんな重要なものに行かなくてもいいんじゃないのか?」

「駄目。重要な場だからこそ、あなたは行くべき。」


 強い口調で言われてしまうと僕は何も言い返せなくなってしまった。


「その前にまず組合長の青井良彦さんに挨拶に行きましょう。会議はこの間終わったばかりだからまだ先だしちょうどいいと思う。大事な会議にいきなり連れていくことは非常識だし。」

「分かった。でも、なぜ美麗が僕を連れていくんだ?別に母さんでもいいだろ。」

「私の方がランクが高いから、ある程度融通が効く。あと、あの人は多分あなたを連れていくつもりはない。私達の世界に入れたくないのね。」

「そうなのか…」

「このことは会議までお母さんには絶対に言わないで。」

「ああ。でも、そんなに知られたくないんだな。母さんと会いたくないのか?さっきも母さんがいない事を確認してた。」

「ええ。いつも、忠実で謙虚でいい人だとは思う、ただ…私に対して何か敵意みたいなものを抱いているように見える。」

「そんな、なぜ?」

「分からない。」


 重い空気がのしかかってくるように感じる。


 もし本当に二人が敵なら、どちらの味方につくだろうか。

 そんなことを呆然と考えた。

 分からない…

 でも、美麗を敵にしたくはない。

 今はただそれしか分からない。

 そう、ただそれしか…

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