小学校3年から…
「特製スパゲッティー頑張って作ったから、味わって食べろよ。」
僕は軽くふざけた調子で言った。
美麗はフォークも持たずに鋭利な目で見ている。
まるで鑑定しているような目つきだ。
その時、ふとこの前美麗の家に行った時、僕がコーヒーを普通に飲んだことを驚いていたことを思い出した。
「薬か何かが入ってないか、警戒してるのか?」
「ええ。あなたが入れてなくても、あなたのお母さんが入れてるかもしれないでしょう?」
「それはない。美麗が来ることは言ってないから。そこまで警戒するなら、僕が美麗の食べて見せようか?」
「そこまでしなくていい。」
そう言うと、慎重に食べ始めた。
一応信用してくれたみたいだ。
「どう?」
「美味しい。わざわざ作ってくれてありがとう。」
僕が作ったパスタを美麗はしばらくの間じっと見ていた。
「人が私の為に料理してくれたの久しぶり。」
「小学校3年以来始めて?」
一瞬食べる手を止めると、こちらを見た。
「誰から聞いたの?」
「杉吉からさ。11歳の時、最短3年でランク9になったって聞いた。だから、TTOに入ったのは8歳だから、小学校3年だろ。もしかしたら、その時から一人暮らしなのかと思ったんだ。」
少し感心するような表情をすると、小さく頷いた。
「そう。さっきの質問は私の反応を見たかった訳か。」
「まぁな。それより、僕にだけ美麗と言うのを認めているのはなぜ?」
色々なことを聞いては良くないとは思ったが、聞かずにはいられない。
「それは…」
一瞬何かを言おうと口を開きかけた様に見えたが、再び無表情に戻ってしまった。
「僕に会ったことがあるみたいなこと言うよな、それと何か関係があってそれで…」
「自分で考えて。今は言えない。」
言葉を遮る様に冷たく言い放った。
その表情からは何も読み取ることが出来なかった。




