有能な人物
名刺には3上と書かれてある。
美麗は9下だから、同い年だが大分ランクの差があるようだ。
「私は一昨年にTTOに入ったの。だから、ランクはまだまだ。花園さんみたいに頑張らないと。」
そう言うと、明るく微笑んだ。
「美麗ってそんなにすごいのか?9下のランクがすごくても、他にも同じランクの人いるだろ?」
僕の問いかけに驚いた顔をして、数回目をしばたたいた。
「花園さんって自分の話をしないのね。謙虚な方。」
そう言うと、くすっと笑った。
紅潮した頬に子犬のような無邪気な笑みを浮かべている。
TTOにも、明るい人がいると分かって少し安心した。
みんな、美麗の様に異様に大人びているのだと想像していたからだ。
記憶を手繰り寄せるようにこめかみに人差し指を当てて必死に話そうとしている。
その健気な姿に思わず笑いそうになる。
「花園さんはTTOに入ってから最短の3年、最少年齢の11歳でランクが9になったの。普通は9になるのは早くても20代で、TTOに入ってから、6年位かかる。」
「美麗って有能なんだな。」
「ええ。そうよ。それより、花園さんって私達と同じ12歳には見えないし、話し方も子供じゃないみたいだよね。だから、TTOの会議の時もランク別に座った時にあんまり違和感ないの。一人十代なのにね。」
言いたいことは何となくわかるような気がする。
あの落ち着き払った雰囲気は子供がつくり出すものとは思えない。
「会議ってどのくらいの頻度であるんだ?」
「基本的には一ヶ月に一回かな。まぁ、詳しいことは花園さんに聞いた方が私よりは知ってると思うけどね。」
「そうだな。色々ありがとう。」
「うん。隠れて見ててごめんね。もうこんなことしないようにする。」
「今回のことは大丈夫だよ。」
「良かった。それじゃ、また。」
ニコリと笑うと、軽やかな足取りで階段を降りていく。
僕は杉吉がいなくなった階段をしばらく見つめていたが、鞄を置いたままだったことを思い出して教室への廊下を歩き出した。
ここ最近、更新できなくてすみませんでした(*_*;
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