隠れ少女
「こんな所で何してるんだ?」
そこにいたのはクラスメイトの杉吉 美香子だった。
返答に困っているようで、目を泳がせている。
「ごめんなさい。さっき、花園さんが屋上から降りて来られたから校則違反なのに何をしていらっしゃったのかと思って。花園さんにばれないように隠れたの。理由もなく、屋上に行くことはないだろうし、もしかしたら誰かと話されていたのかと思って、ここにいたの。そしたら、松原君が降りて来て…ごめんなさい。私、帰ります。」
杉吉はそういうと、もう階段の方に走りだす。
美麗に対しては敬語ということは…
「ちょっと待って。もしかして、杉吉も美麗と同じ組織の…」
杉吉は階段に向かいかけた足をとめ、驚いたような顔をして振り返った。
「なぜそれを…」
驚いた顔で僕を見てきた。
杉吉美香子もTTOだったのか。
「今、美麗に対しては敬語だったから。同じ組織かなと思ったんだ。組織に関しては全て美麗から。」
「なるほどね。それで、今もそういう話をしていたの?」
「まあな。一つ聞いていいかな。」
「ええ。何でもどうぞ。」
「杉吉が、今日のテスト返却の後に僕が美麗に話しかけた時、驚いたのはなぜ?」
僕を見上げると、歩みよってきた。
その表情からは笑みが消え真剣な表情に変わっていた。